うっちいの音楽箱!特別企画『もっと!MOZART』

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生家前ゲトライデ通り

モーツァルトの生家前「ゲトライデ通り」。観光客で賑わうこの通りは、旧市街の城壁の中にある。 この石畳に、神童の弾くクラヴィアやバイオリンが響きわたったのだろうか。。。

驚きは継続し続けた。
この子には「苦労」というものがない、父はそう思う。教えたら教えただけ瞬時に上達する。一年もするとヴォルフガングは、 クラヴィア曲ならばたいていのものは弾けるようになってしまった。

それだけではない。教えてもいないヴァイオリンを弾く。

もちろん、ヴァイオリニストである父レオポルドが弾くヴァイオリンを、ヴォルフガングはよく聴いていた。 それに興味を持った息子は、はじめはヴァイオリンをいじっているだけだった。かと思ったら、いつのまにか弾けるようになっている。

そして極めつけは、作曲をし始めたのだった! 幼い子が即興で鼻歌を歌うようなものとは次元が違う。だいたい、旋律を作っただけでは作曲とは言えない。 が、教えてもいない和声をきちんと処理し楽曲として成り立つ曲を、 やっと5歳になった我が子が楽しそうに作り始めたのだ。


「神童が現れた!」

噂は矢のように広まっていく。もともとザルツブルクという地は、塩の交易で栄えた街であり、商人をはじめたくさんの旅行者がいる。 彼らがこの神童の話を、旅の土産話にしないわけがない。

「大司教のお膝元ザルツブルクに、とんでもない子供がいる。」

噂が広まるに連れ、父レオポルドは悟らざるを得なくなる。
私の使命は、我が神童を天下に示すことだ。
こうして、親子の旅が始まった。


旅はミュンヘンから始まる。
バイエルンの都・ミュンヘンで6歳のヴォルフガングは姉ナンネルと共に御前演奏をする。 驚く人々。過分な褒美。

シェーンブルン宮殿 その後ウィーンに到着したモーツァルト一家は、ついに皇帝の前で演奏するチャンスを得る。 フランツ1世とマリア・テレジア。世界にとどろく名門ハプスブルク家のシェーンブルン宮殿のことである。 ヴォルフガングは恐れ多くも、女帝の膝に跳びのって首筋にキス三昧。はしゃぎすぎてすべって転んで、挙げ句の果てには、 皇女マリーアントワネットに抱き起こされた。

「ありがとう。あなたをぼくのお嫁さんにしてあげます。」

神童は言った。

それにしてもなんという能力。目隠しをしようが、鍵盤に布をかけようが、体をひっくり返そうが確実に弾きこなす。 譜めくりをしてくれた当時の一流作曲家ヴァーゲンザイルをつかまえて、「あの人は音楽が分かる人」まで言う。 6歳の神童はまさに天真爛漫。そして噂はさらに広まっていく。

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