5.特徴1・「使用頻度別に3区分」されている

 まず字種総数の4600字についての解釈を述べてみる。
 漢字総数といわれるのは、諸橋轍次の大漢和辞典によると約5万字もあるという。だが我国で使われているのはそのうち2割ほどの1万字前後である。
 学生向きに作られた各社の漢和字典をひもとくまでもなく、実際に使われる文字種としては、1万字以内と断定して差支えないだろう。

 ここのところ「文章作成機」として一般的になってきたワープロの搭載字種数をみても、JIS第一水準で3000字、第二水準で3000字の約6000字ほどである。
 この字種一覧表を覗かれた方はお判りだろうが、我々が読める文字はせいぜい4000字、書ける文字としては半分の3000字を超えることがないのが普通であろう。

 もう一方の基準となる文部省国語審議会の制定では、学校教育で教える漢字形は「学習漢字1006字」であり、一般で使用する目安としては「常用漢字1950字」である。

 我々が日頃目にする新聞・雑誌では、原則としてこの常用漢字の範囲内で製作されている。使用出来る字種数が約2000字に制限されているために、時々「けん(拳)銃」「り(罹)災」とか「被ばく(曝)」「しゅん(逡)巡」などの、仮名交じりのおかしな表記にぶつかるが、それでも日常記事の新聞作りには、この2000字前後で間に合っているのである。

 結論として私の言いたいのは、日本語での表記にあたっては2000字では少し足りないが、だからと言って6000字では多すぎるということである。
 勿論誤解されては困るのだが、ワープロ搭載の字種数が多すぎてまずいというのではない。ただ第1水準の3000字が50音別であり、第2水準の3000字が部首順というその設定のありように素朴な疑問を感じるからであり、さらに言えばこれらの区分が文部省設定の「常用漢字」などと連携してほしかったというというような意味もある。

 その意味で「文選ケース」の4600字(漢字形のみでは4407字)という設定は、本作りという仕事の性質を織りこんだとしても妥当な所だと思うのである。

 その三者の関係を量的イメージで示してみると次のようになる。

■■■(1006字)学習漢字
■■■■■■(1950字)常用漢字
■■■■■■■■■■■■■■■■■■(6000字)JIS第1・第2水準
■■■■■■■■■■■■■■(4600字)文選ケース
■■■■■■■■■■■■■■■■■■〜■■■■■(5万字)漢和辞典

 そして、文選ケースのその4600字(4407字)は、使用頻度別に見て、出張字177字、本場(常用)字1670字、外字2560字の3つに区分されており、それぞれが辞典でおなじみの部首順に配列されている。

 いうまでもないが、出張字177字種は、一般記述の上で頻繁に使われる文字種であり、本場字1670字種は、同じく常用される文字種ということである。
 いみじくも、その両方を合計すると、1847字種となり、現行の常用漢字1950字種とほぼ匹敵する。
 このことは、とりもなおさず現在の新聞記事程度のほとんどは、この2ブロックで十分に賄われると理解して頂けることだろう。
 それに外字の2600字を加えれば、一般の書物や小説などで使われる文字形は殆どが賄われるはずである。我田引水で言うのではないが、先ほどに例題で挙げた「拳」「罹」「曝」「逡」なども、その範囲内に存在しているのは言うまでもない。


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