別名「エマージェンシーパラシュート」略して「エマパラ」とも呼ばれます。文字通り、緊急事態による最悪の事故を防ぐために使用します。
緊急事態とはどういう時かといいますと、ひとつには機体が何らかの原因で翼としての機能を失ったときが挙げられます。
例えば乱気流に巻き込まれたことにより、機体が潰されラインが絡み付くなどして回復せずに落下が止まらない場合や、他機との空中衝突によって機体が損傷した場合です。
空を飛ぶという、本来の人間の能力にはないことをする以上、最悪の事態を想定してこういった装備をしておくのは当然のことと言えます。
(もちろん、例に挙げたような最悪の事態はそう起こるものではなく、私を含めてエマパラを使ったことのないパイロットが大部分なのですが。)
さてこのエマパラ、どんな形をしているかというと、半円形のいわゆる ”パラシュート” そのまんまです。
地上でエマパラを広げて風をはらませて見ると構造が良く分かるのですが、写真は撮ってないことに気付きました。そこでとりあえず自分の持っているエマパラのカタログ写真を載せておきます。
(右の写真: 第一興商'96カタログP20より)

ところでエマパラは常時、どこに収納されているかというと、ハーネスです。
ほとんどのハーネスにはエマパラを収納する部分が設けられています。エマパラとハーネスをしっかり接続してから、ハーネス内に収納します。
そしてエマパラを使用する時には、ハーネス側面(種類によっては前面)に付けられているトグルを引くことによりピンで止めてあったロックが外れ、中からエマパラが飛び出してくるという仕組みです。
引き出されたエマパラはそのまま人間の手で放り投げることにより、風をはらんで開傘します。ただし中にはスプリングの力や空気圧でエマパラを放出する機能を持ったものもあります。
エマパラを装備するにあたって、忘れてはならない事がひとつあります。
それは定期的な「リパック」が必要であることです。リパックとは一旦エマパラを広げたあと再び畳みなおすことを言い、普段小さく畳まれている生地に空気を通し乾燥させることにより生地どうしが張り付いて開傘時間が遅れるのを防止する目的があります。
リパックの頻度はエマパラの種類にもよりますが、だいたい3〜6ヶ月間隔で行うことが推奨されています。エマパラを広げるのは簡単ですが、畳むのがけっこう大変です。もちろんテキトーに畳んでいいわけはなく、決められた手順・畳みかたがありますので、インストラクターからしっかりと教わる必要があります。
さて、このエマパラにも、いくつかのメーカーと、種類・サイズが選べます。
前述した空気圧で広がるタイプもあるし、パラグライダーのようにある程度コントロール可能なタイプもあります。
価格は7〜12万円、最多価格帯は8万円近辺です。常時使用するものではないので(当たり前)、しっかりと保管・手入れすれば長く使えます。
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