○躍動する−積雲3



 天気の良い日に空に浮かぶ積雲、そしてそれが巨大な雲塊へと発達した雄大積雲、雲頂(雲の上端)が高度10〜15km付近の成層圏界面にまで達する積乱雲。こういった積雲系の雲は、なぜあんなに表面がモコモコしているのだろう?

 その丸みを帯びた凸凹が形成されていく過程を、手軽に再現できる方法がある。

 必要なものは透明なビンまたはコップと、それに入れる水、そして牛乳だけ。牛乳がなければ墨汁とか水彩絵の具の溶き汁とか、色のついた濃い液体なら多分なんでもOKだ。
 実験方法は簡単で、ビンに水を入れて、そこに牛乳を少々垂らしてやるだけ。すると牛乳は周囲の水を押し分け、取り込み、巻き込みつつ沈んでゆく。真っ直ぐ底へと沈んでゆくのではなく、その軌跡は不規則で、時には枝分かれしたり、コブのように溜まる部分ができたりしていて凸凹している。上下を逆さにして考えてみると、その凸凹しているさまは積雲に似ている。


 大気中を上昇してゆく暖かい空気は、水の中に垂らした牛乳がそうであるように、すぐに周囲の空気と混じり合うことはない。境界部分の摩擦によって丸く巻き込むような形状になりながら、まわりの空気を押し分け、渦を作りながら上昇してゆく。
 ただ、実際の積雲が成長してゆく過程は、その一連の動きを人間が肉眼で鑑賞するには、少し遅すぎると思う。しかし今回の実験なら実にわかりやすく、(かなり簡易的にだけれど)その動きを再現できる。





もどる