○斜張橋



 橋の上が好きだ

 なぜなら、そこが空を見るには絶好の場所だから。

 地面よりずっと高い場所にあるし、川の上に視界を遮る建造物はない。

 建物に囲まれた都会にあっても、橋の上なら確実に見晴らしが良い。


 橋の種類の中でも、斜張橋が好きだ

 真っ直ぐ、垂直に空へと伸びる支柱と、そこから放射状に張り巡らされたケーブル。
 その直線で形作られた造形と青空の対比は、ありふれた構図かもしれない。しかしそこには、いかにも都会的な匂いが漂う。


 斜張橋は、主塔と呼ばれる大きな支柱から張った多数のケーブルで、橋桁を吊っている。直線のケーブルが斜めに張られているその構造から、この名がある。

 普通の吊り橋と違うのは、主塔から左右対称にケーブルが延びていること。ヤジロベエのように、両側に掛かる荷重がバランスしているのだ。だから吊り橋みたいに両岸でワイヤーを地面に固定するための巨大なアンカーは必要なく、スマートな外観になる。
 人工的な建造物ではあるけれども、人間の知恵と技術が産み出したそれは、機能的な美しさを兼ね備えている。


 左の写真は、大都市の中心部と湾岸の埋立地を結ぶ斜張橋の主塔を見上げたものだ。対岸は江戸時代からの歴史をもつ埋立地で、古い町並みと未来的な高層マンション群が共存している。橋の上の歩道の幅は十分あり、空を見るには絶好の場所だ。

 一方、下の写真は川を斜めに縦断する高速道路の斜張橋。自動車専用道路なので橋の上には歩道がない。しかし、この橋の下にはサイクリング道路があり、そこからS字を描いて伸びる美しい橋と、空を見上げることができる。






○撮影データ(ページ上の写真より)
・1枚目  日時:2005年5月3日   場所:東京都中央区
 カメラ:ミノルタ TC-1  レンズ:ミノルタ G-ロッコール 28mm F3.5
 フィルム:フォルティア  その他:絞り優先 F5.6
その昔、霊岸島と呼ばれていた東京都中央区新川と、石川島と呼ばれていた佃1,2丁目北側を結ぶ中央大橋。東京の中心部を流れる隅田川に架かる橋の中では最も新しく、平成5年に架橋されました。個人的には隅田川の橋で最も美しく、優雅な橋だと思っています。

・2枚目  日時:2005年2月1日   場所:東京都葛飾区
 カメラ:ミノルタ TC-1  レンズ:ミノルタ G-ロッコール 28mm F3.5
 フィルム:ベルビア  その他:絞り優先 F8
首都高速 中央環状線の「かつしかハープ橋」。2本の川に挟まれた中州状の土手に高速道路の高架が続いていて、この場所で斜めに川を渡っています。そのために世界的にも珍しい、S字型にカーブした曲線の桁を持つ斜張橋になっています。



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