空撮テク(5) ビデオ撮影−ハーネス固定



 「静止画」である写真だけではなく、空からビデオを撮ってみたいというのは、パラグライダーで飛んでいる方なら誰でも一度は思うことと思います。写真と違って動く映像が撮れますし、音も一緒に記録されるので、フライトが終わってからもそれを再生すれば、あの感動が再び味わえます。
 しかし地上で撮るのとは違って、空中ではビデオカメラを持ってファインダーを覗きながら長時間撮るというのは難しい話です。そこでビデオカメラをどこか操縦の邪魔にならない所に固定してやる必要があります。

 この場合、カメラ部分が分離できるタイプなら、ヘルメットやライザーなどいろいろ自由が効くことと思いますが、そうではない一般的なビデオカメラですと、その大きさ重さから取り付けには工夫が必要になります。

 ただし、私自身ビデオカメラでの空撮はあまりやっていないため、友人の小林秀喜氏(ご協力感謝です!)の方法をご紹介したいと思います。

一脚ビデオ  小林さんが使用しているのは、比較的小型軽量なデジタルビデオカメラ。これを写真にあるように、一脚を用いてハーネスに固定。広角系のコンバータレンズを付けて、パイロットの斜め後ろの視点からの映像を撮るというわけです。ヘルメットに固定するのと違い、ここならビデオの重さも気になりません。

 ポイントは、まず一脚の固定方法にあります。写真のように、ハーネスにある無線機のアンテナを出す穴から一脚を出すのが良く、そこ以外のチャックでは、テイクオフのショックなどでずり落ちてしまう危険があります。いくらデジタルビデオが軽い(600〜700g)とはいえ、チャックは簡単にズレてしまうようです。

 ただしハーネスによっては、このアンテナ用の穴がなかったり、あっても一脚を通すには小さい場合があると思います。そんな場合は通常のチャックを使うしかないわけですが、十分なズレ防止策が必要です。例えばチャックのスライダーが二つある場合なんかは、そのスライダー同士をヒモやナス環で結んでやれば良いでしょう。

一脚拡大写真  また一脚をただ挿しているだけでは、回転したり、何かの拍子で抜け出てきてしまう恐れがあります。
 そこで背面チャック内の収納スペースに、パラザックなどをぎゅうぎゅうに詰め込んでやる必要があるわけですが、それ以外にも一脚自体の回転を防ぐため、左の写真にあるような比較的大きくて平べったいものを一脚の軸に固定しておくといいと思われます。

 (ちなみにこの写真のはサッカーで使う「スネ当て」で、これを使って自分の腿(もも)に一脚を固定して、前方から自分の飛んでる姿を撮影することもできるようになっています。)

 そしてこれは当たり前のことですが、最終バックアップ用として、落下防止用のヒモをビデオか一脚のどちらかに結んでおけばいいでしょう。


 最後に、このビデオを搭載してテイクオフする場合の注意点を。
 特にクロスでのライズアップの場合、振り返る向きによっては、カメラがライザーに引っかかります。 事前にグラハンなどで確認しましょう。

 小林さんも、この一脚ビデオをハーネス右半分に設置してクロスハンド(右振り返り)でライズアップしたところ、ビデオがライザーにひっかかり、録画スイッチが押されて録画停止となり、何も写っていなかった...ということがあったそうです。
 また、ライザーが引っかかったことにより、かなり右に取られながらのテイクオフをしてしまったこともあるそうで、十分注意する必要があるとのことでした。

 安全に十分注意して、楽しい映像をモノにしましょう!
 (1998.12)





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