透明な蓋

JPEG(66KB) SIZE:640*430
Nikon NIKONOS V, W-Nikkor 35mm f2.5
2001/1/7 FUJI RVP(Velvia)
- 夜間の放射冷却により地表付近の空気が冷され形成される逆転層の内部では、通常とは逆に上空ほど暖かくなっています。
- 太陽の熱で発生する上昇気流や煙突からの煙は、周囲の空気より暖かい(=軽い)ので空へと昇っていきます。しかし逆転層があると周囲の空気の方が暖かくなってしまうので、上昇気流や煙はそれより昇ることができません。ちょうど透明な天井に押さえられているような状態となり、横に広がるしかなくなります。
- この写真はよく晴れた冬の朝、パラグライダーのエリアに向う途中で撮ったものです。これは煙だと思いますが、背後の山の中腹あたりに雲のように層状に広がっています。透明な空気が雲や煙の存在で可視化されると、本来は見えない空気の運動が見れるので面白いです。
- しかし見るのは面白くても、この状態でのフライトはあまり面白くありません。この逆転層が上昇気流を抑制してしまうので高度を稼ぐことができず、すぐに着陸しなければならなくなるためです。
- やがて昼になり地表が太陽の熱でより暖められると、地表付近の空気の温度もさらに上がり逆転層は次第に解消されてゆきます。地表からの暖かい上昇気流が、空気をよくかき混ぜてくれるからです。そのタイミングを見極めるのも、我々パラグライダーパイロットの重要な観察項目のひとつです。
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