空撮器具7(レンズ交換式デジカメ・横から撮る/失敗編)



 左右どちらかの翼にカメラを付けて横から撮影する場合、シングルサーフェスの機体であればカメラを付けるのも簡単です。大きくて重い一眼レフ型デジカメでも、キールから1〜1.5m程度の場所であれば、操縦性にほとんど影響を受けることなく、比較的安全に空撮ができると思います。

 カメラ位置がパイプ至近ばかりだと芸が無いので、下の写真のように不要バテンを利用したステー(支柱)でカメラを下方にオフセットさせた器具を作ったりしました。パイプに固定する部分はクロスバー廃材を使用し、縁に丸ゴムを縦に2つに切ったものをスーパーXで接着して滑り止めにします。ステーは長さを変えられるように何箇所かネジ穴を開けておき、カメラの上下方向の角度は黒いアングル材を手で曲げて調節します。
 この器具は、クロスバー装着だけでなくキール後端に付けることにより真後ろからの撮影にも使えます。その場合、着陸時に地面にぶつからないよう取付場所に注意が必要です。




 ところで、ダブルサーフェス機の場合はどうするか。
 GoProHDのような小型軽量のデジカメであれば、下面セールを挟んで磁石で固定する方法で何とかなると思いますが、大きくて重いレンズ交換式デジカメに使うには無理があります。そこでどこか、機体のしっかりした部分に固定する必要があります。

 翼の後縁近くにはバテンやスプログといった準構造材が出ていますが、ここに重いものをつけると翼が変形しそうな気がするし、それもウォッシュアウトを打ち消す方向なので、ピッチ安定的にもかなり不安があります。
 やはりレンズ交換式デジカメを付けるためには、前縁に近いスパーかクロスバーに付けたいところです。そのための唯一の場所と思えるのが、セールに穴が開いているサイドワイヤーの取り付け部。ここからステーを差込めば固定できそうです。

 しかし私の機体の場合セールの開口部が小さいため、そこから差し込んだステーを内部のスパーかクロスバーに固定したくてもできません。
 いろいろ試行錯誤しましたが良い手は見つからず、どうしたものかと考えていたある日。ふと、サイドワイヤーが目に入りました。飛行中、ここは張力がかかってピンと張っています。全装備重量の大部分を支えているわけだから、カメラ程度の重さが加わったところで大した影響があるとは思えません。
 そこで、ここにカメラを固定すれば(というか吊り下げれば)良いのではないかと思いついたわけです。


 ←その結果生み出されたのがコレです。

 下方にオフセットさせた器具を改造し、サイドワイヤーに吊り下げられるようにしました。具体的には、二つ折りにしたアルミ板の内側をゴムシートで養生し、そこにサイドワイヤーが通るようにします。ネジと蝶ナットを使って締め付け、滑り落ちないようにワイヤーを固定します。そして万一の落下防止用の紐も忘れず用意して器具完成です。
 下方にオフセットされているので、サイドワイヤー自体の画面への写り込みを小さくできます。

 出来上がったものを地上でセットしてみたのが左の写真です。
 「・・・・・。」
 VGオフだし、地上ではサイドワイヤーが緩いこともあるでしょうが、ワイヤーがくの字に折れ曲がり、見た目にちょっと微妙な装着状態です。
 試しにグラハンしてみると、視界の隅でカメラ部が激しく揺れて気になります。しかも、その揺れがアップライトまで伝わってきているような感じです。静止画を撮るのが目的なので、カメラがブラブラ揺れても何とかなるでしょうが、操縦性に与える影響が(実影響はともかく、精神的に)気になります。
 そんなわけで、せっかく作った器具ですが、未使用のままお蔵入りとなりました。

 とはいえ、吊り下げたカメラから撮影するというスタイルは他にも応用が効くので、今後も安全性に留意しながら研究していきたいと思っています。




ページ最終更新:2012/5

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