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危ないらしいけど、本当?



 翼を操り空を自由に飛び回るその姿に憧れつつも、危険性あるいは経済的な面の不安から、いま一歩を踏み出せないでいる方もおられるかと思います。経済性に関してはハンググライダーを楽しむための条件など他の項目をご覧いただければと思いますが、危険性に関して私は下のように思っています。


 はっきり言って、ハンググライダーは安全な乗り物ではありません。気象条件や機材の扱い方等によっては、意外なほど危険な乗り物に豹変します。飛んでいて怖い思いをすることも、無いわけではありません。そして私の短いハング経験でも、怪我をしたという話は結構耳にします。切創、捻挫、脱臼、そして骨折。だから私はここを読んで下さっている皆さんに、ハンググライダーは誰でも飛べるとか、安全だと主張するつもりもないし、危険は無いと保障することもできません。

 しかしその危険性は、大部分がコントロール可能なのです。
 例えば自分の技量では制御できない程の強い風が吹いている時に無理して飛べば事故に繋がりますし、ろくに機体を点検しないで飛べば機体破損による事故の可能性が高くなります。これらの危険を防ぐ知識はスクールに入れば徹底的に教えてくれますし、皆と一緒に飛んでいるうちに自然と身につきます。
 そしてその知識を元に行動すれば、事故の確率は大幅に下がります。オートバイで一般道路を時速200キロで暴走したりすれば高確率で死亡事故となりますが、交通ルールを守り防衛運転に努めれば、滅多に事故るものではないのと同じです。

 しかしそれでも防げない不慮の事故が起こる可能性はゼロではありません。でもその危険に関しても一言で言ってしまえば、程度問題なのです。墜落するからジェット旅客機には乗らない、大型トラックに追突されて死ぬかもしれないからクルマには乗らない、年間1万人も交通事故で死んでるのだからクルマは全面廃止にすべきだ、と、そこまで言う人がほとんど居ないのと同じです。
 そして私は、ハンググライダーを他人に無条件に薦めることはしなくても、家族を持つ自分自身として、そのデメリット(=ハングで飛ぶリスク)とメリット(=ハングで得られる楽しみなど)を天秤にかけ、後者が勝っていると考えているからこそ、この趣味にのめりこんでいるわけです。


 他のスカイスポーツと同じようにハングでの事故は、ほとんどが着陸時に起こります。具体的には、状況判断の誤りによりランディングエリアを飛び出して障害物にぶつかるとか、急に横風をくらって機体をとられるなどの理由により、切創・打撲・捻挫等の怪我をすることがあります。運悪く、打ち所が悪くて腕や脚を骨折してしまうこともあります。
 しかしこれも価値観の問題だと思います。野外で体を動かしてスポーツするのですから、多少の怪我のリスクがあるのは止むを得ないことです。例えば、草野球はどうでしょうか。私からみれば、あんな硬いボールが至近距離から激突する可能性のあるスポーツ、危ないんじゃないかと思います。 もし顔面にボールが直撃したら、もしバットが飛んできたら、もしスパイクで踏まれたら... よく皆さん怖がらずにできると思います。
 もっと安全そうなスポーツ、例えばジョギングにしても、肉離れや膝の故障など、無視できないリスクがあります。道路を走るわけですから自転車やクルマに轢かれる可能性もあります。

 ハンググライダーも同じようにリスクがあるわけですが、特に初期の練習段階では転んで打撲したり、擦りキズを作る程度のことは覚悟しておく必要があります。
 まあ正直な話、怪我といっても滅多に骨折して家族や会社に迷惑かける事態になるもんじゃないし、別に切創・打撲・捻挫程度の怪我をしても少々痛いだけでどうってことはないし、それらは人生で考えられる様々なリスクの中でも許容できるレベルだと思うし、安全装備や生命保険(損保はハング免責なので生保でカバー)等でリスクもある程度ヘッジできてるのではと思っています。




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