良いスクール選び



 私の場合、ハンググライダーを始めるのにあたって考えた良いエリアとスクールの条件は、以下の3つでした。
1. エリアがなるべく自宅から近いこと。
 この理由は言うまでもありませんね。ほとんどすべての趣味に言えることですが、練習場所は自宅から近いのが理想です。通うのが時間的にも経済的にも楽だからです。スクールを卒業してからも、同じエリアを本拠地とすることが多いので尚更です。また車を持ってない人は、最寄の駅からの送迎をしてくれるかもポイントです。
 ただしハンググライダーが飛べるエリアやスクール自体が少ないので、選択の余地はないかもしれません。
2. いつでも、好きなだけ飛べること
 天候に左右されるスカイスポーツですから、年中無休のスクールが理想です。でも人の少ない平日は、スクールが休みの場合が多いかもしれません。平日休みの職場にいる人は、自分の行ける曜日にスクールがやっているか、事前に調べておきましょう。
 それと重要なのが、講習の内容です。常駐インストラクターは1人というスクールがほとんどですから、他の講習生や体験フライトの人が多いと、なかなか自分が教わる順番がまわってこないかもしれません。ハングをやっている友人に聞くのが一番ですが、そんな友人がいる人は少ないでしょう。そこで、できれば一度現地に行ってみて、講習生の話を直接聞いてみれば良いのではと思います。
3. 一人で飛べるようになってからも楽しめる環境であること
 スクールを卒業するまでに要する期間は人それぞれですが、続けていればインストラクターの指導なしに一人で飛ぶようになる時期は来ます。そうなったときに楽しめる環境にあるかも重要です。具体的には、
  • スクールの卒業生で作るクラブがあったり、もしくはそれに類する人の輪があり、なおかつエリア近くに本拠地とできるクラブハウスがあること(機体をそこに保管してもらえるし、夜は仲間と楽しく泊まれる)
  • そのエリア自体のポテンシャルが高いこと(中上級者でも楽しめる規模があり、人も集まること)
  • スクールがハング機材の保守整備に詳しいこと
といったところです。ほとんど全てのスクールがこの条件を満たしているとは思いますが。



○ライセンスについて

 ハンググライダーは航空法でいう航空機ではなく、国が発行する技能証明書(Certificate)や免許証(License)といったものはありません。その代わり、公的な民間団体が発行する技能証があります。
 公的な団体というのはJHF(社団法人 日本ハング・パラグライディング連盟)といい、ここが国内における技能証の発行や教員検定、競技会の開催や安全活動など様々な業務を行っている唯一の機関です。
 技能証は、所定のカリキュラムにそった練習をして合格レベルに達した者に発行され、練習生技能証A級からパイロット証まで順番にステップアップしていきます。

・HG練習生A級技能証(A級)
単独にてハンググライダー機材を取り扱い、ハンググライダーを操縦して指定された方向に直線飛行を行う。
・HG練習生B級技能証(B級)
単独にてハンググライダーを操縦し、左右の180度旋回を行うのに必要な技能及び指定された着陸地帯に着陸を行う技能を修得する。
・HG練習生C級技能証(C級)
単独にてハンググライダーを操縦し、左右の360度旋回を行う技能及び正確なアプローチにより決められた地点にランディングする技能を修得する。
・HGパイロット技能証(P証)
単独にてハンググライダーを操縦し、サーマルソアリングを含む長時間フライトを行う技能及び気象条件やエリアの条件を自己の責任で判断し安全にフライトする技能を修得する。
・HGクロスカントリー技能証(XC証)
単独にてハンググライダーを操縦し、ソアリングを含むクロスカントリー飛行の確実性と安全性の確保、及び航空交通の秩序と安全性を保つ技能を修得する

 正式な技能の定義は上記ですが、実際はインストラクターが各人のレベルを把握し、それに相応しいレベルに達した段階で認定してくれます。技能証のレベルをもっと具体的に説明すると、以下のような感じです。

 B級…斜面等での練習フライトを修了し、初めて高度差数百メートルの山の上から一人でフライト(ソロフライト)できるレベル
 C級…インストラクターの監視下でフライトするが、細かい指示を受けずに自分の判断で飛行経路等を判断できるレベル。
 P証…インストラクターがいなくても、他のエリアに出かけて自分の判断と責任でフライトできるレベル。

 この技能証をもたずに飛んでも法令には違反しませんが、日本各地のフライトエリアで飛ぶためには、技能証の提示が求められますので、事実上技能証がないと飛ぶことができません。




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