〜危ないらしいけど、本当?〜

100%安全ではない。だが安全率を100%に近づけていくことは可能です。




 パラグライダーを始めようと考えるのにあったって、だれもが心配するのが、お金のかかり具合に加えて、安全性ではないでしょうか? 実際、パラグライダーは危険な趣味なのでしょうか?

 いえ、そうとは言い切れません。確かに、無理な気象条件で飛んだり、常識を超えたような操作や用具の使い方をすれば、墜落も有り得ます。しかしそれは車やバイクでも同じで、スピードの出しすぎやわき見などによって障害物に激突すれば無事では済みません。つまり、「操縦の仕方によって安全にも危険にもなる」のです。
 そして私はパラグライダーが車やバイクと比べて、そんな何十倍も危険な乗り物であるとは思えないのです。

 確かに、こんなに楽しいパラグライダーですが年に何件かの重傷以上の事故があります。話題性があるためか、「パラグライダーが墜落...」云々といった目立つ見出しで新聞等に掲載されているのを目にした方もいると思います。

 自然を相手に、本来飛ぶ能力を持たない人間が道具の力を借りて空を飛ぶ、そんな時に予期せぬ事態が起こる可能性は皆無だと言いきることはできません。
 「落ちたら死んでしまう」ような場所(つまり、空です)で遊ぶわけですから、少なくとも家で寝ているよりは危険だと言えるでしょう。

 しかしその危険が果たして心配するようなレベルなのか、言いかえればどの程度危険なのかという点については、考慮の余地があると思います。

 以前、NHKテレビでパラグライダーの特集をやっていました。その中で、パラグライダー競技の世界で有名なドイツのトップパイロットがパラグライダーの危険性についての問いに対して、次のような趣旨で答えていました。

 「危険...と一言でおっしゃいますが、実際それはどういうものなんでしょうか。
 確かにこのスポーツ(パラグライダー)は危険と隣合わせで語られがちです。しかし、常日頃ビールを飲みながらインスタント食品を食べ、心筋梗塞か何かで死んだ人がいるとすれば、その人はそれこそ毎日、危険を冒していたと言えるのではないでしょうか?」と...

 パラグライダーと、普段の食生活による生活習慣病の危険性は次元の違う話ではありますが、この意見、一理あると思います。
 もちろんパラグライダーはあくまで趣味のスポーツですから、これをやらないからと言って生きていけないわけではなく、収入を得るために必要な手段でもありません。わざわざ危険そうな事に首をつっこまなくてもいいという論理は、まったくその通りだと思います。

 しかし私は思います。空を飛ぶ前から滅多にない墜落の心配をするような人は、きっと慎重な人に違いありません。そしてパラグライダーを始めた後も自分の技量をわきまえ、先生や仲間の話に耳を傾けることでしょう。そんな人は、きっと危険な目に遭う可能性はとても小さくなるのではないか、と。

 もちろん私はここでパラグライダーの安全を保障しているわけではないし、不意の事故があなたの身にも襲いかかることは無いと言っているわけではありません。
 必要以上に恐れることはありません。でも、だからといって自分の腕を過信して無謀なことをすればそれはケガにつながります。そしてスクールではインストラクターの指示をよく聞き、自然・天候などに対する観察力を普段から磨いておくようにしましょう。

 まあ、基本的にアウトドアスポーツですし、斜面を駆け下りたりするスポーツなので、転んで擦りキズを作るくらいは覚悟しておいてください。またパニックになりやすい人、問題を他人のせいにする人、とにかく危ない思いはしたくない人は、やめておいた方がいいでしょう。



ページ最終更新:2003/6

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