〜ハインリッヒの法則とパラグライダー〜



 産業災害研究の世界には、"ハインリッヒの法則"なるものがあり、これは「同じ人間の起こした同じ種類の330件の災害のうち、300件は無傷で、29件は軽い障害を伴い、1件は重い障害を伴っている」というものだそうです。さらに、「障害を伴うにせよ伴わないにせよ、すべての災害の下には、おそらく数千に達すると思われるだけの不安全行動と不安全状態が存在する。」のだそうです。

 この数字がそのままあてはまるわけではありませんが、ケガをするような事故を起こす前に、少なくともその数倍以上の「無傷の災害」(ハードランディングやテイクオフ失敗など)を体験するといえるのではないでしょうか?

 その時の経験をもとに、その原因となった「不安全行動」と「不安全状態」は何だったのか・そしてどうすればそれらをなくすことができるのか、を学べると思うのです。

 しかし例えば、サーマル(上昇気流)も乱気流の一種だと考えれば、サーマルを使い上昇することを目的とするパラグライダーの飛行においては機体が不安定になりやすいという「不安全状態」をなくすことは構造的に不可能なわけです。

 いいかえれば、ただやみくもに安全を求めるだけであったらパラグライダーのもつ面白さや楽しみを半減させてしまうことになるわけで、これは人それぞれの考え方や技量、体力などによっても変わってくると思います。
 ただ、いずれにしてもなにもやらないよりはましだと思いますので、ここでは前述の「無傷の災害」や、ヒヤリとしたり・ハッとしたりした経験、そして実際にあった事故などをもとにその原因と対策を考えてゆきたいと思っています。


ページ最終更新:1997/4

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