緊急安全セミナー

その2 エマパラでの安全な着地、五点接地
ページ作成 : 2004/6/19
最終更新 : 2004/7/5



 その1ではエマパラを投げる有効性について紹介しました。次は、エマパラを投げたあと安全に着地する方法についてまとめたいと思います。

 まず最も大切な基本は、必ず足から降りることです。足を上げ、腰から接地してしまうのは最悪です。しかしながらパラグライダーの場合、ハーネスの吊位置が胸周辺にあり重心が後ろにあることや、ハーネスの構造上、深く腰掛けた姿勢でフライトしていることから、立ち姿勢での接地は簡単とは言えません。それでも、立ち姿勢での接地は守らなくてはなりません。

 そして、足から降りれば安全かというと、必ずしもそうではありません。着地の衝撃をいかにやわらげるかが重要なのです。
 自衛隊の落下傘降下においては、五点接地というテクニックが使われています。足をぴったり揃えて接地し、体を捻り転がることによって衝撃を吸収する着地方法です。パラグライダーの場合は嵩張るハーネスをつけているので若干の違いはあるものの、基本はこれを参考にするのがベターです。
 その方法ですが、私のホームページで救急法について執筆されているサムソンこと後藤望さんから教えていただいているので、それを紹介したいと思います。

 五点接地の動作を説明するにあたって、文字だけではイメージをつかみづらいと思いましたので、同時に画像を載せました。これは以前に後藤さんからいただいたビデオをパソコンに取込み、それを静止画としてキャプチャーしたものです。多少画像は荒いですが、動きはつかめると思います。


五点接地の方法



両足を揃えて脱力して軽く膝を曲げ、爪先から着地する。
接地と同時に左右どちらか転がりたい方向に膝を揃えて突き出す。突き出す角度は30度くらい。
両手は拳を作り、後頭部にあてがい、肘を締める。

前にスピードがある場合、着地した瞬間に足が急に止るので、上体はつんのめるように前へ投げ出されようとする。これを防ぐために足の力を抜いて、着地した瞬間フニャッと膝が突き出せるように注意します。なかなかこれが難しい。

脛の外側に接地する。
突き出した膝と逆方向に上体というか腰を捻っていることに注目! コレが大事です。

水平方向の速度が速ければ叩き付けられるような着地になる。それを防ぐためにも「身体が棒みたいにならないように」身体の力を抜く。

腿の外側に接地する。腹筋を思い切りブロックしておきます。

上体を逆に捻るとともに、肘をしっかり締めておくのも大切です。というのも、回転するとき、つい怖くて肘で地面を支えようとしてしまいがちです。そうすると肘を骨折する可能性が高いからです。

ひねった上体は自然に逆側の背中に接地する。

逆側の肩先に自然に回転して抜けてゆく。

例えば右側に接地する場合、揃えた膝を右に突出し、右側の脛→腿と接地してゆく段階において上体を思い切り左側にひねる。すると、右のお尻から着地しながら、背中→左の肩の方に抜けてゆく。その後、背中が接地した勢いで足が上がり、そのままくるっと後転する。

サムソンさん、決めのポーズ(笑)

ちなみに、水平方向のスピードがあった時は何回もごろごろ転がります。
4,5で上体のねじりが足りないと叩き付けられるし、腹筋に力を入れてブロックしないとうまく回転できない。また、頭は手でブロックし、かつアゴを引いて丸め込まないと頭を打つので注意。


 この五点接地の動作は、平地で練習しておくのが大事です。いずれにしても、下記のイメージを持って練習すると良いと思います。

1 立つ。
  膝を柔らかく曲げリラックスする。
  拳を後頭部にあてがい、肘をグッと締める。
2 膝を柔らかく斜め前に突き出しながら(左右どちらでもいい)、上体を思い切り逆側に捻る。肩ごと肘を逆に捻る感じ。
3 膝は座り込む程深くまげない。
4 そうすると不思議なことに、脛外側、太腿外側、お尻、背中を斜めに通って逆側の肩先にくるりと抜けてゆく。



サムソンこと後藤望さんは、航空自衛隊のレンジャー部隊出身という異色のパラグライダーパイロットです。パラワールドやJHFレポートなどでの執筆をはじめ、各地での講習会などを通じ、パラグライダーの安全のための啓蒙活動を行なわれています。
  後藤 望
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  TEL: 0577-32-6244(兼FAX)
  携帯: 090-1108-5570
  e-mail: samjii@joy.ocn.ne.jp


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