6.強風で前に出ず、ツリーラン
報告者:Y.Sさん
その日、ホームエリアの南テイクオフは瞬間で南風4〜5m/s、時折7m/s程度のブローが入るといったコンディションだった。
しかし「強風」と感じる程でもなく、すでに仲間が7機ほどフライト中だった。 無線連絡によると、空中はそれほど乱れてはおらず、せいぜいアクセルを使えるようにしておけば平気だろうということだった。
もちろんテイクオフせずに風待ちをしているフライヤーもいたが、この程度であれば自分なら十分フライト可能と判断し、早速テイクオフすることとした。テイクオフ後、リッジを拾い100m獲得、ある程度遊んでから山際を離れることにした。が、機体をランディング方面へ向けてみてもなかなか前に進まない。そのうえシンクが強くなり、高度は下がる一方となった。
それでも最初のうちは何とかランディングに届くだろうと考えていたため、ランディングへ向かう途中にある緊急用ランディングには降ろそうとはせず、その上空を通過してしまった。
その見通しが誤っていたことに気付いた時はすでに遅く、アクセルを踏んでも前に出ないほどの吹き抜けの強風に捕まってしまった。高度はどんどん下がってゆく。既に緊急ランディングに戻る高度的余裕はなく、少し先にある伐採地へも届きそうもない。
もう”途中下車”するしかない、そう覚悟を決め、せめて山道(見通しが悪いが)のY字路周辺に降ろそうと高度処理を始める。
ランディング体勢に入った時、1台の車がその山道でやって来て、なんと今着陸しようとしている場所へ車を停めて自分のランディングアプローチの見物を始めたではないか。 「どいてくれー!」 そう思ってもどうなるものでもない。仕方なく反転し、フォローで松林へ突っ込むハメになった。
ツリーラン!!松の木を巻くように機体が引っ掛かる。損害はかなり大きく、機体の破れは数箇所にわたったうえに、愛用の手袋がパーになってしまった。
機体は木の上だが、体は地面に着いていた。大した怪我もなく、軽い打撲程度で済んだのが幸いといえば幸いだが、精神的ショックは大きかった。
教訓:
- みんなが飛べる条件でも、自分の腕・機体を考える。(一年半ぶりのフライトだった)
- 山道であれ道路は道路、アウトランディングに違いはない。早めに緊急ランディングに降りる。(判断が遅かった)
- コースどりのミス(早めに尾根を越し風上で遊ぶべきだった)
- 何日も空振りで飛びたい一心だった。(3日間天気図を見て、1時間半かけて通ったのにダメで、明日からくずれる天気図だった)
- フォローでのランディングの怖さを知る。
ページ最終更新:1999/6
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