5.ハーネスのレッグベルトを締め忘れる

報告者:自分 & 金井裕之さん

テイクオフ直前
 パラグライダーのハーネスには通常、三つのベルト(というかバックル)があります。ひとつが体の前にあるウェストベルト、残り二つが両足太股部で固定するレッグベルトです。
 (これ以外にも「クロスベルト」のあるハーネスもありますが、基本的に体を固定するのが目的ではないので、ここでは除外します。)

 もしこれらを締め忘れてしまうと、どうなるでしょうか? 特にそれがレッグベルトの場合、事態は深刻です。
 テイクオフすると、機体の揚力によりハーネス(のカラビナ部)が吊り上げられますが、ハーネスに尻入れをして椅子に腰掛けたような通常の飛行姿勢になるまでは、人間の体はこのレッグベルトによって支えられています。

 だからもしレッグベルトがないと、支えを失った人間の体はテイクオフ直後にハーネスからスッポリと抜け、落下してしまう可能性があります。(これは山飛びのパラ,モーターパラ両方とも同じことが言えます)
 ハーネスと離れ離れになってしまうわけですから、当然エマージェンシーパラシュートも投げることはできません。

 もちろんハーネスのセッティング等にも依存するので、すぐに落下事故に繋がるとは言い切れませんが、大変危険であることは確かです。実際これが原因と思われる事故もあったようです。

 ハーネスのベルトを締め忘れるなんていう基本的なミスは、普通するはずがないと誰もが思うことと思います。報告者の金井さんからも、「通常考えられないようなミスを人は犯すものです。あんなこと(レッグベルトの絞め忘れ)は、私の4年4ヶ月のモーターパラ暦で初めてのことです。」と、先日経験したヒヤリ体験を語って頂けました。
 このように、「ちゃんとチェックしたはず」のベルトが実際は締まってなかったという事例があることを考えると、視点を変えた、なお一層の心配りが必要だと思います。

 具体的な例として、第三者によるプレフライトチェックや、鉄道の駅員さんがやっているような指差し呼称(自分でベルトを指差し、「ベルトよし!」などと声を出して確認する)のクセをつける、などが対策として挙げられると思います。

(写真と本文は関係ありません。)


ページ最終更新:1998/11

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