フジTV系 水曜ドラマ

『世界で一番パパが好き』

〜たみの日記帳〜

第11話「最後のけんか」

○月○日

_朝、部屋に入ってきたら善三は、針に糸通してた。それであたしにアテツケで一人芝居やったり「佳代ちゃんにやってもらお・・・」なんてこと言うから、いやになってあたしボタン付けやってあげた。ちょっと照れくさかったから、ぶっきらぼうに渡してしまったけど、ホントはうれしかった。

ビル出た時、清水が「泥棒だよ・・・」ってギルティ入ってみたら、アヤシイオジサンがいて、警察呼ぶつもりでいたら、小百合さんやって来た。何も変な感じでもない・・・。え?この人がマスター?

_予備校から帰って来て、ギルティで清水と勉強してて、「お父さんってまだ呼べないんだ。なんで呼べないの?」ってしつこく言ったから、あたし、むっとした。そしたら、小百合さんがいきなり「たみちゃーん、たみちゃんと善三さんのおうち、なくなっちゃう・・・・」って言って来た。なんなの、いきなり?

家に帰って来たら、善三と所長がいた。「どういうこと?」って聞いたら、所長さんが事情を話してくれた。ビルの共同所有者であるギルティのマスターが借金してしまって、ビルを手放さなくてはならなくなったらしい。「ビルを手放さなくてもいい方法ってありませんか?」聞いたけど無理だって。

清水と本屋で家探しの雑誌見てたけど、清水って「・・・この際3人で暮らそうよ!」って言ってたけど、何考えてるの、人が大変な時に・・・。

_夜、善三が帰って来て「またボタン付けお願いしようかな? デートする時困るさかいな・・・」って言ってたけど、「まぁだ、もてようと思ってるの?・・・」って言い返してやった。だけど、ホントに善三って、男としていけてないんだもん!

○月○日

_ギルティで、福岡さんや佳代さんの今後どうするか?を聞いた。「あたしも善三とがんばらなくちゃぁ・・・」って思ってるけど、善三の再就職先はまだ聞いてない。二人から「善三さん、大阪の事務所断ったみたいだよ。」って言ってた。所長さんに会って理由聞いたら、あたしのせいみたい・・・。

事務所にいた善三を公園で引っ張り出して、「なんで大阪の事務所断ったの?・・・善三がしたいことをすればいいじゃん!」って言ったけど、善三「俺は俺でやりたいことしとるんや。俺はお前と一緒に住みたいんや!」って言ったけど、ばっかじゃない!清水は「いいお父さんじゃない・・・俺欲しい」って言うけど、あんなのでいいんだったら「あげる」。あたしを5歳児のままに思って、全然信用してくれない父親でよかったらね!

_夜、寝転がってたら、善三がいきなり「お前、屋上に行ったことないやろ?」って言い出した。いきなり何なの?って思ったけど、ついて行った。ものすごく散らかってた屋上で、善三と話してた。ホント今年の夏は、暑くて色々あった夏だった。「お前、ほんまがんばってくれたなぁ。感謝せな・・・俺もがんばらななぁ・・・」ってさ。いきなりそんなこと言われたら、気持ち悪いって!

大きな事務所で善三は、大きな事件扱いたいみたいだった。あたし「やりたいんでしょ、やるべきよ!」って言ってやった。善三はあたしが一人暮らしすることに心配してるみたいだけど、「それほど(しっかりしてる)でもないけど、やっていけるって!」ってはっきり言ったよ。

_結局、善三は大阪で仕事、あたしは東京で受験・・・ってことになった。あたし「クリスマスに会いに行っていい?」って聞くのが精いっぱいだった。善三の「離れて暮らしてても、親子やからな・・・」って言葉が、一番あたしには印象に残った。

・・・・(数日間の日記 省略。だって、受験勉強で忙しかったの。ただ、清水が「いいの? 離れ離れになってもいいの?」って言ってたけど、いいんだ!)

9月15日(あたしと善三の同居生活最後の日)

_善三とあたし、それぞれ身支度して出て行く時、仕送り金額がきっかけになって、大ケンカになっちゃった。10万円必要なのに、8万2千円しかくれないなんて・・・「過去のことを蒸し返さんとって!」と思ったよ。それぞれ言いたいこと言いまくったけど、最後は「ほんじゃ、元気でな」って別れた。途中振り向いたけど、善三は前を向いてそのまま進んでいた。それぞれ別の生活が始まるけど、別れていく気持ちは、再会した時と違って、善三への憎しみなんてなくなってた。


第12話「そして二人は・・・・」

9月15日(あたしの一人暮らし最初の日)

_善三と別々の生活が始まったけど、部屋に着いた途端に、善三電話かけるんだもん・・・。「心配し過ぎだよ。」あんたは大阪で仕事がんばりなさいって!

夜、福岡さんと清水とで引越しパーティしてる時にも、善三は事務所から電話かけてきた。福岡さんと清水とがいることで怒ってた。「善三が自分で言ってよ!」って言ったら、「お前ら出て行け、このあほんだらぁーっ!」ってさ。事務所の中でそんな大声出していいのかなぁ?

○月○日

_みんな、あの根岸法律事務所から出ていって、それぞれの道を歩き出した。所長と小杉さんは残務整理、福岡さんは研修所に戻って研修、佳代さんは新しい会社で法律顧問、坂口さんは事務所開設したみたい。あたしは予備校通いの一人暮らしだけどね。善三が毎晩電話してくるのには、参った。「あたしがいないから寂しいんでしょう・・・。仕事頑張って!あたしも頑張るから・・・」って言ってやった。

○月○日

_家で勉強してる手を休めてポーっとしてたら、所長さんがやってきた。生活はどうだい?って聞いて来たから、善三がうるさい・・・って言ってやったら、善三が出て来た。なんでいるの?って思ってたら、一日でクビ?「大きな法廷で弁護したい・・・って言ってたのに。サイテー。出ていって!」って追い出した。所長さんも「新しい家見つかるまで、置いてやってくれ」って説得して来たから、しょうがいないから、置いてやることにした。

寝る時、あたしが布団敷いてる時から、色々ぐちゃぐちゃ言ってたけど無視してやった。

○月○日

_朝っぱらから、色々善三がグチャクチャ言うから、「食事は別々、お風呂はあたしが入った後、新しい家と仕事が見つかったら、すぐ出ていって! あたしの生活にあんたが入り込んで来たんだからね」って言ってやった。予備校行く気なくなったよ・・・ちょい用事あったしね。清水は心配してたけど・・・。

_午後、清水が善三の仕事始めた・・・って言って来て見に行ったら、弁護士ではなくてラーメン屋だった。善三は「あれ(弁護士)はもう、えぇんや。やったるでぇ!」って言ってるけど、あたしには、なーんかなじめなかったけどね。

_夜、善三が疲れて帰って来た。あたし「弁護士はどうでもよかったの?・・・一度くらいの失敗でやめちゃうほどのものなの?!」って聞いたら、善三は「お前を大学に行かせて生活させたらなあかんのや。俺が決めたんや、文句言うな・・・」って言ってた。

○月○日

_あたし、清水から授業ノート借りた後、予備校行かないで、喫茶店で待ち合わせしてた人に会って色々相談した。

_前の家で調べ物してたら、清水から話聞いたらしい善三がいきなり入って来て「男と会うてるんやとぉ〜っ!何考えとるんや!」って怒鳴り始めた・・・色々言い返したけど、「一度くらい失敗したからと言って、挫折するような親から生まれて来たんだから、期待しないでよね。」って言って、あたし出ていった。善三って、いつも人に自考え押し付けるんだから・・・。あたしやってられないよ。

_夜、清水がやってきた。「ひどいよ、清水」善三にばらすなんてさ。

僕はいい、仲町が何やっても・・・。もし仲町が世界中の人に嫌われても、お父さんは仲町のこと好きでいると思う・・・。」って言いながら、清水は善三のファイルから、写真取り出した。あたしの机の上にあるママとの写真と同じ写真・・・。あたしはっと思ったよ。

_清水が帰ってから、善三と同居始めてから色々あったことを思い出してた。ホント色々あったよねぇ。色々ありすぎて、走馬灯のようにめぐって来たよ。

そうしてたら、善三が帰って来た。善三が弁護士辞めた理由を話し始めた。夫婦間の殺人未遂事件の公判で、子どもを証人に立てる・・・っていう話で、善三はあたしを思い出してしまって、いたたまれなくなって、結局弁護士辞めてしまったらしい・・・・。善三の頭にはあたしがいつもいて、「もう、一度嫌われた男だから、嫌われたくないんよ。」って言ってた。

あたしもホントのこと話し始めた。会ってたのは法学部行ってる先輩で、善三が弱い人と向き合ってる姿見て弁護士になろうと思ったの。「親のこと嫌う子どもがどこにいるのよ・・・。」

ついでに、額縁の写真を折ってた部分を善三に「切らなくてよかった・・・」って見せた。

○月○日

_善三ったら、朝早くスーツ姿で出ていった。え?ラーメン屋やめちゃったの?

新しい事務所に、清水と一緒に見に行った。法学部へ志望変更したから、頭のいい人ばっかり周りにいたら、勉強はかどるもんね。善三が「俺じゃあかんのか!」って怒るから、「お父さん、すぐ怒るから・・・」って言い返したら、追っかけて来た。法学部の勉強とか、引越しの話とかに色々文句言ってたけど、まぁがんばらなくちゃね・・・。これからも頑張ってね、善三お父さん!


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