ミュージカル

『銀河の約束』インプレッション

前置き

_ミュージカル『銀河の約束』(中村雅俊主演、共演:広末涼子、河合我聞、森久美子、谷啓など)の公演を、11月1日午後1時からの大阪フェスティバルホール公演を、観てきました。席は前から12列目の真ん中ぐらいで、舞台の全景が一目で見渡せるような位置にいました。だから、広末涼子さんの表情とか様子とかは、あんまりよくわかりませんでした。ちょうどTVで観ているような錯覚(ズームアップはないけど)に陥り、TVのような感じで、見てました。だから、出演してる広末涼子さんの表情を追わないで、ストーリー全体を通してのインプレ書かせてもらいます。

インプレッション(社会派モード)

この公演を見始めた時、「コメディタッチのラブストーリー」かなぁ・・・という 印象を持 っていた。ちょっと不思議な形で、ロックスターと異星人が出会い、恋する・・・ という 感じで。(この部分は結構笑わせてもらったり、ロマンティックさを感じるシーン もあったけど。)

だけど、そういった「甘い内容」ではなくて、非常に重みのあるメッセージを含ん だ 形で、物語は展開していく。私たちに色々なことを考えをめぐらさせながら・・・ 。

不治の病を抱えたりゅう君を、リマは自分の力でなら治せるが「銀河のルール」で 使えない。そんなもどかしさ、医師の規則に縛られた様子に「人間が起こしたもの を・・・人間が治せないなんて!」という憤り。私達が生きている社会には、文明 の恩恵も多くあるが、その裏返しとして、様々な環境破壊、病気、貧困、社会の 崩壊(犯罪、様々な形での抑圧など)をももたらしてきた。私も含めて、こんな現 実を どれだけわかっているだろうか、またどれだけ真摯に向き合おうとしているだろう か。 私は、これらのシーンを見てそんなことを考えさせられてしまった。

だけど、そういった状況へ「音楽」が希望をもたらす役割を果たしていく。式場が 病院(院内学級というような設定だろうと思う)を訪れ、演奏していく。りゅうが 倒れて 式場は演奏を止めようとするが、りゅうは演奏を続けろ・・・と怒鳴る。彼の心の中にいる力強い式場と現実にいる弱さを見せた式場とのギャップに・・・。

リマは、りゅうが死神に命を取られた姿を見た後、ルールの枠に従って見守ってき た ことが、実は「見殺し」になるのではないか・・・という思いを抱く。そんな中で リマは、人類の目を覚まさせる目的で、月を飛び立たせよう・・・・ということを思い立つ 。自分の 命と引き換えに・・・。地球人の生活について、田中家が間違えて受け取った1960 年代 は、様々な形で社会的問題が多く表面に出る中で、学生運動・市民運動などという 形で 真摯に向き合おうとしていた時代であった。そういった出来事も過去のこととして しまった のが今の時代であるように思えてしまうのは私だけだろうか・・・。

田中家の人々の「願い」へ、りゅうの死を通して、自分の音楽に対する姿勢を問わ れた 式場は、「自分は唄うことができない!」と断るが、何とか赴いていく。ぎりぎり の状況の 中で式場は彼女への思いを絞り出すように歌を紡ぎ出す。「小さな祈り」という形 で。 式場の思いがリマに届き、リマは帰って来る。そして、自分は家族と別れ、地球に残る。 人がぎりぎりの状況で切迫した時、何を出すだろう。自分が一番言いたいこと、願ってることなのではないか・・・・。リマには、地球人のことがもっとも「大切でいとおしい」もので あったが、そこで生きている私達は、彼女ほどの思いを持てるだろうか・・・・。

(ちょっと、重い感じになってしまいましたが、ごめんなさいね。 ちょい社会派してしまいました。ストーリー全体から見るといびつなインプレです が(笑))

インプレッション(お手紙モード)に続く