Photo Sonnar ショーケース
☆Contessa Opton Tessar 45mm F2.8付
<紹介・使った印象>
世界最大の光学機器メーカーであったZeiss Ikon社が、ドイツ敗戦の影響で本社のドレスデンがソビエト連邦占領下に置かれ、工場設備がソビエト軍に接収されたのに対して、経営幹部や主要な技術者はアメリカ軍によって西側に連れ出され、シュトゥットガルトにあった工場で会社の再建を図り、1950年に発表したレンズシャッター式の距離計連動機である。ドイツ・コダックのレチナに代表されるフォールディングタイプのもので、コンテッサはセレン式非連動露出計を搭載し、距離計連動はイコンタに代表されるドレーカイル方式を用い、フォールディングタイプでの距離計連動の困難を解消している。外観もかなり小型で直線を基調としたデザインで「コンテッサ(伯爵夫人)」の名に恥じないメッキ・皮張りの質である。店主は1999年の冬頃にYahoo オークションでジャンク品扱いを\13000程度で購入したが、巻き戻しボタンのネジが頭がなくなっている以外は、外側からのクリーニングで露出計以外は完全動作するようになった。外装はかなり使い込まれているが、実用品として購入しているので、問題は感じていない。

この写真機を使ってみて、まず特徴としては、シャッターがセルフコッキングではないので、撮影後はフィルム巻き上げとは別でシャッターチャージを行う必要があり、それをせずにシャッターを切ろうとすると、シャッターは切れず、チャージを後からしても切れないので、注意が必要である。あと、フィルム巻き上げは下側のノブを用いたり、シャッターレリーズは、レバー式なので、慣れが必要だと思われる。レバー式シャッターは、フォールディングがよくないと、手ぶれの元なので、気をつける必要がある。(店主が人に御願いして店主本人を撮影してもらったら、全部ぶれていた。ピント・露出は合っていても、ぶれていたのでは写真にならない。)あと、フィルム巻き戻しは、巻き上げ部中心のボタンを押しながら、巻き戻しノブを回す方式で、Zeiss Ikon社製写真機では、Contaxなどよく使われている方式である。

 レンズは、OptonのTessar 45mm F2.8である。典型的なテッサー型であり、コーティングが施されている。順光では問題がないが、逆光などには弱いのでフードは必需品である。レンズ周囲のメッキがハレーションの原因の可能性もあるが、国産のフードを使う方が、よい結果をもたらしてくれる。色は割合穏やかで階調豊かで柔らかい感じがする。解像力は割合あるのだが、コントラスト再現性よりもトーンを重視していると思われる。古い町並みをのんびりとスナップしていると、建物の柱などの木目の質感などはいい感じで写し出してくれるような気がする。

 
作例写真