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日本人の気概を教える追試シリーズ5
TOSS加賀 福岡美智雪
小林義典氏実践「自衛官の殉職」http://www4.ocn.ne.jp/~yoshirin/junshoku/junshoku.html (TOSSNo.2210125)の一部修正追試である。平成11年、航空自衛隊のジェット練習機が河川敷に墜落した。エンジントラブルを起こした機体が民家に墜落することを避けるため、2人の自衛官は脱出をせず、最後まで操縦し続けた。その気概を児童に伝える。
プロジェクターで墜落した自衛隊機の写真を映す。
発問1 これは何の写真だと思いますか。
・乗り物。 ・飛行機。
説明1 そう飛行機です。平成11年11月22日午後1時43分頃、埼玉県狭山市の入間川河川敷に、航空自衛隊のT-33ジェット練習機が墜落するという事故がありました。
指示1 埼玉県狭山市を地図帳で見つけなさい。見つけた人は隣の人と確かめなさい。
さすが6年生である。さっと見つけられた。「入間川」も出ていた。
T-33ジェット練習機の写真を見せる。
説明2 これがT-33ジェット練習機です。この練習機を操縦していたのは、中川尋史さんと門屋義廣さんです。
発問2 お二人はどうなったと思いますか。
・死んだ。 ・大けがをした。 ・脱出した。
説明3 お二人とも地面に激突され、お亡くなりました。中川さんは47歳、門屋さんは48歳でした。皆さんのお父さんよりちょっとだけ年上ですね。お二人ともベテランのパイロットでした。
発問3 このような事故が起きた原因は何だと思いますか。
・エンジントラブル。 ・何かの故障。・お二人ともベテランのパイロットだから、操縦ミスではない。
説明4 ジェット機の故障が原因でした。T-33ジェット練習機は大変古いジェット機でした。1956年(昭和31年)にアメリカからタダでもらった機体でした。46年も前です。アメリカではすでに十数年以上も前にスクラップにされている飛行機です。しかし、日本ではパイロットの練習用にあと2年使う予定になっていました。
(以下は略図を板書しながら説明します。)墜落する4分ほど前、午後1時38分、基地管制塔に「マイナートラブル発生」という連絡が入りました。「軽い故障が発生しました」という意味です。ところが、その30秒後に「変な音がして、ちょっとオイルのにおいがしますので降ります。」という連絡が入りました。この時の高度は760m位。次第に高度を下げていきました。更に1時39分49秒、「コックピット・スモーク。リクエスト、ストレート・イン。フルストップ」という連絡が入りました。「操縦室から煙が出ている。基地の滑走路に直接飛んで行き着陸する」という意味です。この時の高度は360m位。そして、午後1時40分14秒、「エマージェンシー!(緊急事態)」と告げられました。その2分後にT-33ジェット練習機は地上に叩きつけられます。
「ええっ、そんな古い飛行機?」「(墜落に対して)そんなあ。」という呟きがあったので、「この事故の話を聞いてどう思いましたか。」という発問は取り止めた。
発問4 T-33ジェット練習機は大変古い飛行機でしたが、実はみなさんが海外旅行などで乗る旅客機などより安全なのです。その理由は何だと思いますか。
これは知らなかったようだ。
説明5 万一の場合の脱出装置が付いているんです。座席ごと空中に打ち出されてパラシュートが開き安全に地上へ降りられるのです。T-33ジェット練習機にも当然この脱出装置はついていました。100mの高度があれば確実に脱出できるのです。
発問5 「エマージェンシー!(緊急事態)」とお二人が告げた時には、まだ確実に脱出できる高度にいました。その時に脱出しなかったのはなぜだと思いますか。
・下に家や店があったから。 ・みんなに大きな被害を出したくなかったから。
・脱出用のボタンを押しても壊れていたから。・何とか着陸できると思っていたから。・もし脱出して助かっても、飛行機が墜落すれば他の人の命が危ないと思ったから。・近くに家などがあったから、自分たちは助かったとしても家にいる人たちが死んでしまうかもしれないから。
墜落現場を上空から撮影した写真を見せる。
発問5で考えが出されたので、「墜落現場を上空から撮った写真です。脱出しなかったのは何故でしょうか。」という発問は省いた。
説明6 緊急事態だと分かった時、お二人が脱出していたら、T-33ジェット練習機は民家や学校に激突したでしょう。中川さんと門屋さんは、助からないことを覚悟した上でジェット練習機を操縦し続け、ぎりぎり低い高度で河川敷上空までたどり着きました。墜落直前まで何とか機体をコントロールさせようと必死でした。そして、他人に被害が及ばないことが確実になった段階で、万一の可能性にかけて脱出ボタンを押しました。しかし、その時はもう遅すぎたのです。死の瞬間、思い浮かべたのはご家族の顔でしょうか、それとも民家を事故の巻き添えにしなくてすんだという安心感でしょうか。これは永遠に分かりません。
この後の発問「中川さんと門屋さんの行動をどう思いますか。書けた人から立って聞かせてください。」は、次の指示と似た内容が出てくると予想されたので、省いた。
指示2 自分が思ったこと、どんなことでもいいです。ノートに書きなさい。
子どもの感想は、授業後のサイトに掲載した。
説明7 自衛隊員は入隊するときに次のことを約束するそうです。「国民の生命財産を守る、その使命のためには命を懸けても自分の役目をやり遂げる」と。この約束をしっかり守り、他の人たちの命を守るためには自分の命を捨ててもかまわないと、このギリギリの瞬間にためらうことなく決断できた航空自衛隊の隊員が二人いたことを、先生は胸に刻んでおきたいと思います。