プレゼント情報とリンク集  

コラム「たかが競馬というけれど」連載第41回〜第45回


連載第45回・順当結果の秋華賞
(2001年10月15日)
 第6回秋華賞(G1)はテイエムオーシャンが完璧なパフォーマンスを 見せて桜花賞(G1)に続き2冠。以下、2着ローズバド、3着レディパステルで 単勝人気の順に123着。エリザベス女王杯(G1)時代から、最も「波乱」 の多いG1と言われていたが、今回は「順当」な結果だった。 この3頭、順序は違えどオークス(G1)でも123着。そのまま順調に夏を越し、 またいわゆる「夏の上がり馬」が不在だったことも原因だろう。 「荒れ」ないレースはつまらないという声を聞くことがあるが、 強い馬が強い競馬で「順当に」力を発揮するレースは見ていて気持ちがいい。

 勝ったテイエムオーシャンは抜群の折り合い。逃げたフローラルグリーンが とばしてくれたおかげもあって、単独3番手の絶好位置。 直線入口でじわっと先頭に立つとあとはゴールに一目散。強い。 2着ローズバドはスタートでつまずいてしまったのが悔やまれるが、 横山典騎手が直線最内をつく好騎乗。オークス同様力強い末脚を披露。 3着レディパステルは馬群を避けて外を回したが結果的にそれが2、3着を分けた。 2頭に比べて若干器用さに欠けるが、力は互角。

 3歳世代では力が抜けているこの3頭、今後に大きく期待したい。 たまたま同日に府中牝馬S(G3)が行われ、昨年の秋華賞1、2着馬が揃って出走。 しかしティコティコタックが2着惜敗、ヤマカツスズランが7着沈没という結果。 また、ファレノプシスフサイチエアデールは引退してしまって、 牝馬のスターホースといえばトゥザヴィクトリースティンガーぐらい。 今回の上位馬3頭には牝馬戦線をしょってたってもらいたい。

 これでG1を3勝としたテイエムオーシャンはエリザベス女王杯に向かう予定とのこと。 古馬混合となってから3歳馬はことごとく負けていることもあって、期待が高まる。 距離も伸びて外回りになるので今回よりも条件は厳しいが、まだ成長の余地はあるし、 可能性は十分ある。前述トゥザヴィクトリーとは脚質が似ているだけにその対決も気になる。 そしてローズバドレディパステルも出てくるとおおいに盛り上がるのだが。

連載第44回・アグネスデジタル芝ダートでG1制覇
(2001年10月10日)
 10月8日に盛岡競馬場で行われたマイルチャンピオンシップ南部杯(G1) で偉業が達成された。1番人気に支持されたJRAのアグネスデジタルが地元の トーホウエンペラーを3/4馬身おさえて勝利、前年のマイルCS(G1) に続くG1勝利で、史上初めて芝ダートの両方でG1を制した。

 過去、芝のG1馬がフェブラリーS(G1)や地方のG1レースに参戦した 例はいくつもあるがことごとく失敗。逆もまたしかり。記憶に新しいところでは 2000年のフェブラリーSでキョウエイマーチシンボリインディという G1馬が人気になったが、結果は1着ウイングアローをはじめ上位はいわゆる ダート馬が独占した。

 アグネスデジタルは芝での勝ち鞍はマイルCSのみに対して、 ダートでは今回の南部杯を含めて重賞5勝。本質的にはダート馬である。 勝ったマイルCSも13番人気だったし、過去のマイルCSと比べるとメンバーが手薄だったと いうことで、高い評価はえられなかった。その後芝を使われ、安田記念(G1) にも出走したが11着惨敗。今秋、再びダートに活路を求めての偉業達成となったが、 このニュースはあまり大きく扱われていない。G1とはいえ地方競馬では話題性に欠けるのか。 となるとこの次はフェブラリーSでの活躍に期待するしかない。

 そして、もっと期待したいのが再度の芝での活躍。このあとはマイルCSに 出走予定。本当に出走してくれば、その意気込みに敬意を表したい。マイル路線は 昨年からあまり顔ぶれが変わっていないし、安田記念の勝ち馬ブラックホークは 引退した。チャンスは十分にある。さらにその後は香港マイル(G1)も 視野に入っているとのことで、この芝での2レースに大注目。

連載第43回・スプリンターズS回顧
(2001年10月1日)
 9月30日に秋のG1第一弾、スプリンターズSが行われた。結果は高松宮記念(G1) 勝ち馬トロットスターが休み明けながら直線鋭く伸びてレコード勝ちで スプリント界制圧。2着は重賞連勝中だったメジロダーリングが 昨年の覇者ダイタクヤマトをハナ差おさえて、馬連3000円の中波乱。

 前回のこのコラムでスプリンターズSの展望をお届けしたが、そこでは、 トロットスターダイタクヤマトが人気を二分して、 穴人気でゼンノエルシドだけど人気しすぎと書いた。 まさかゼンノエルシドが1番人気とは。そのゼンノエルシドは 4角で先団に顔を出すもそこから伸びず。1600mがベストだし、力不足。 これを切ったのは正解だった。

 予想外に高オッズになっていたトロットスターダイタクヤマトの 馬連を持って観戦していたが、メジロダーリング2着には驚いた。 ハイペースで飛ばしながら、苦手だった坂も力強く駆け上がってぎりぎり粘った。 夏の重賞連勝はダテじゃなかった。てっきり坂で止まると思って喜んでいたのに。 記念すべきアイビスSD(G3)の勝ち馬を切ったのは失敗だった。

 勝ち馬トロットスターは休み明けで馬体重は+24キロの456キロ。 それを見て人気が4番手まで落ちてしまったのだろうが、春は高松宮記念がぎりぎりの 436キロ、安田記念(G1)はさらに4キロ減ってやせすぎてしまっていたので、 今回は数字ほどの太めではなかった。いつものように後方からじっくり追走して、 直線は馬場のいい内をつく蛯名騎手の好騎乗とそれにこたえてぐいぐい伸びた トロットスターは名実ともにスプリント王者となった。まだ5歳。 浮き沈みの激しいスプリント路線ではあるが、今後に期待大。でもマイルCS(G1) でもう一丁というのは壁が厚いかも。

 スプリンターズSがこの時期に移って2回目。施行時期にはまだ慣れないが、好レースだった。

連載第42回・スプリンターズS展望
(2001年9月28日)
 いよいよ秋のG1戦線開幕。9月30日はスプリンターズS(G1)。この レースからはじまるのにまだ慣れないが、レース展望をしてみよう。

 昨年の覇者ダイタクヤマトと春の高松宮記念(G1)を勝ったトロットスター が人気を二分することになりそう。ダイタクヤマトは最低人気からあっと言わせてはや1年。 その後も重賞を2つ勝ってフロックでないことを示し、前走セントウルS(G3)では 好位からじわっと伸びて2着。上々のデモンストレーションで、おそらく当日1番人気だろう。 一方のトロットスターは休み明け。高松宮記念は重賞連勝の勢いそのままに 大外一気の豪快な勝利だったが今回はまったく別の臨戦過程。日程が10月になった昨年、 同じような臨戦過程で高松宮記念馬キングヘイローが沈んでいるのはいやな例だが、 幸い春のメンバーとほとんど変わっていないので、再現は十分にありえる。

 この2頭が若干抜けているというのがもっぱらの評判。この馬連は300円程度か。 ならばなんとか他の馬をひねり出して一角くずしを期待したいところ。 重賞連勝中のメジロダーリングは平坦コース得意で今回は狙いずらい。 先行馬で狙いはセントウルSを勝ったテネシーガール。2歳時以来の重賞勝ちで、 同型馬の出遅れから単騎逃げに持ち込めたタナボタ勝利だったが、 現実にダイタクヤマトの追撃はしのいでいるわけで、それは評価できる。 高松宮記念でも同型ユーワファルコンが出遅れてくれてすんなり先行、3着に粘った。 意外と盲点かもしれない。

 差し馬では京成杯AH(G3)を勝ったゼンノエルシドが穴人気しそうだが、 1000万下を勝ったばかりでハンデ53キロでの勝利だったし、1200mの経験がない。 未知の魅力はあるが信頼はできず、人気とつりあわない。で、他を探すとビハインドザマスク。 4連勝で臨んだ昨年のスプリンターズSは直線で不利があって11着惨敗。 その後はオープン特別を1つ勝っただけで、状態は昨年のほうがはるかにいいが、 今回は比較的少頭数になりそうで、展開次第で馬群をさばいてくる可能性はある。

 ダイタクヤマトトロットスターのどちらかを軸にとって、 前残りでテネシーガール、差し馬の展開でビハインドザマスクという感じでどうか。 あと、このような、2頭が人気を二分するレースでおすすめの馬券は、どちらかの単勝。 それを握り締めてゴール前で2頭の競り合いになったら猛烈に興奮する。

連載第41回・少頭数のオールカマー
(2001年9月20日)
 9月23日は産経賞オールカマー(G2)が行われるが、歴史的少頭数の重 賞になる可能性があるという。

 レースへの出走登録は10頭。予定していたエアシャカールは熱発があった ために登録なし。そしてその10頭のなかでも、サイレントハンターは毎日王冠(G2) に回る公算が高く、3歳馬ハッピールックも神戸新聞杯(G2)に 出走がほぼ確定。他にもアメリカンボスなどが9月19日現在で出否未定で、 最少の場合は5頭立てとなり、そうなれば1989年の新潟3歳S(G3)以来の 少頭数ということだ。

 これはいったいどうしてだろう。天皇賞(秋)(G1)へのステップとして は中4週で悪くない。その意味では番組編成的には問題ないように思える。考 えられるのは9月半ばというのはまだ暑く、またこれに出走させるためには暑 い8月の終わりごろから臨戦体制を整える必要があるためくらいか。ここ5年 で見てみても昨年が9頭、以下、9頭、13頭、9頭、9頭と多頭数の競馬に なっている例は少ない。

 また今回出走を予定しているメンバーも、言っては悪いが一線級とはいえず、 盛り上がりに欠ける。もう一度過去を振り返れば、昨年はメイショウドトウが 外国産馬初の天皇賞出走権を獲得したし、一昨年はホッカイルソーが3年半ぶりの勝利、 その前はダイワテキサスが5連勝、その前は3歳牝馬メジロドーベルが 古馬を一蹴など、少頭数になってもそれぞれに話題を持ったレースだった。 今年はたいした話題は提供されそうにない。

 このオールカマー、外国馬も地方馬も出走することができ、そのレース名に はいろんなところからの参戦を促して交流を深めようという意味もこめてある はずである。しかし、このレースで12年ぶりの少頭数重賞を記録するとはな んとも皮肉だ。

  日本通信教育連盟  

バックナンバー目次に戻る