日本通信教育連盟  

コラム「たかが競馬というけれど」連載第36回〜第40回


連載第40回・夏の重賞回顧(8月編)
(2001年9月14日)
 前回に続いて夏の重賞回顧。今回は8月のレースから印象に残ったものを取 り上げる。

 8月5日の関屋記念(G3)は新装新潟競馬場での最初の重賞。1年5ヶ月 ぶりのレースとなったクリスザブレイヴが大きく引き離しての逃げ。 離れた単独2番手を進んだマグナーテンが直線半ばでようやく捕らえて勝利。 2着にはクリスザブレイヴが粘り込み。直線が長いから追い込み有利という単純な構図 ではないことを示した印象的な「行った行った」の決着となった。9月29日 からはじまる第3回新潟競馬での参考にしたい。

 勝ったマグナーテンは前走朱鷺S(オープン)でオープン昇格2走目での勝利。 マイルに伸びてどうかと思われたが初めての重賞出走で勝利。マイルCS(G1) が目標になるだろうが、この2走の内容だけではもう一皮向けないとG1での好走は厳しいか。 1番人気エイシンプレストンの追撃をアタマ差しのいだクリスザブレイヴは このあと京成杯AH(G3)に出走してこれまた2着好走。 2歳時にG1で1番人気に支持された素質馬が相次ぐ故障を乗り越えて 重賞にあと一歩のところまできた。

 8月19日の札幌記念(G2)はダービー馬ジャングルポケットの出走で 盛り上がったが、勝ったのは同期の外国産馬エアエミネム。 2着ファイトコマンダージャングルポケットは3着完敗。 エアエミネムは出世が遅れてダービーと同日の駒草賞(オープン)がオープン初勝利。 以後、巴賞(オープン)、そしてこのG2と3連勝で一躍脚光を浴びることになった。 このあと菊花賞(G1)を目指して9月23日神戸新聞杯(G2)に出走予定。 外国産馬のため勝たなければ菊花賞には出られない。春の実績馬が出てくることになるが、 ダービー馬に完勝の勢いで突破するか。今後を占う試金石。

 2着だったファイトコマンダーはこのあと札幌日経オープン(オープン)を 勝っていて、じわじわと力をつけている印象。いずれ重賞にも手が届く。 ジャングルポケットはこのまま菊花賞に向かう予定だが、きっちり立て直して本番 でベストパフォーマンスを見せてほしい。

連載第39回・夏の重賞回顧(7月編)
(2001年9月9日)
 7月8月に繰り広げられた夏競馬。重傷の数も少ないが、超一流馬たちがこ の時期を休養にあてる中、秋への飛躍を狙う馬たちが好勝負を繰り広げた。そ のなかから印象に残っているものを2回にわたって取り上げる。今回は7月か のレースから。

 7月15日の北九州記念(G3)はエイシンプレストンが1着、ロサードが 2着。エイシンプレストンはいつもの後方策ではなく、すんなり好位追走。内 をついて直線半ばで先頭に立って危なげなく勝利。1年3ヶ月ぶりに勝った前 走米子S(オープン)に続いての勝利で、2年前の2歳チャンピオンが復活。 この次の関屋記念(G3)では前2頭の行った行ったの競馬になっての敗戦だ が3着確保。2歳春に故障してNHKマイルC(G1)に出られず、休養明け 後も思うような成績があげられなかったが、この夏をきっかけにして秋のマイ ル路線で完全復活の期待がかかる。

 7月22日の函館記念(G3)は9番人気ロードプラチナムが1着、14番 人気クラフトマンシップが2着で馬連13220円の波乱。これでこのレース 5年連続の万馬券だが、逆にこの組み合わせだったらこの配当は安い印象。買 い手も波乱の目を予測していたということか。勝ったロードプラチナムはこれ が重賞初制覇。昨年オープン入りして、直後の大阪杯(G2)で2着、今年1 月のAJCC(G2)も2着と好走。この直前2走は中京記念(G3)14着、 巴賞(オープン)7着と精彩を欠いていたが、力は持っていた。今後も忘れた 頃に一発穴をあけそう。ちょうどこのレースを昨年勝って今回2着のクラフトマンシップ のように。

 次回は8月の重賞から話題を取り上げます。

連載第38回・皐月賞馬アグネスタキオン引退
(2001年9月2日)
 8月29日、アグネスタキオンの引退が発表された。4戦4勝で皐月賞(G1) を勝った馬になった後に屈腱炎を発症、少し前に年内休養との情報が回った直後の発表だった。 同厩でやはり無傷の4連勝後に故障休養中のアグネスゴールドとならんで、 ひさしぶりの大物だっただけに残念。

 きっとアグネスタキオンは「幻のダービー馬」「幻の3冠馬」と呼ばれるだろう。 しかし、アグネスタキオンが順調だったとして、ダービーでジャングルポケットに 勝てたのだろうか。それは誰にもわからない。たしかに、事実としてジャングルポケットは ラジオたんぱ杯3歳S(G3)で2着、皐月賞(G1)で3着に敗れている。 しかし事実はそれだけではない。ジャングルポケットは5月27日にダービー(G1) に出走し、勝っている。「ダービー馬」と「幻のダービー馬」とでは雲泥の差である。 そう、「無事これ名馬」だ。アグネスタキオンは「幻のダービー馬」でも「幻の3冠馬」 でもなく、「皐月賞馬」。しいていえば「無敗の皐月賞馬」。

 この引退劇はなんとなく同じサンデーサイレンス産駒のフジキセキとダブる。 フジキセキも1995年の弥生賞(G2)まで無傷で勝ち進んだ後に故障して そのまま引退、「幻のダービー馬」と呼ばれた。若くして種牡馬になった馬は成功する とよく言われるが、フジキセキは種牡馬デビューの昨年がリーディングサイヤーランキング 6位、今年も8月17日現在で5位と活躍している。アグネスタキオンは 3代続けてクラシックを勝った超良血。その産駒には当然期待が集まる。 順調に行けば初産駒が走るのは2004年。

連載第37回・新潟巧者ブリリアントロード
(2001年8月25日)
 8月26日の新潟記念(G3)にブリリアントロードが 出走予定。このブリリアントロード、過去に新潟競馬場で大活躍している。

 ブリリアントロードは3歳の夏に3連勝して、秋戦線の伏兵として活躍。 京阪杯(G3)2着、4歳になって金杯(G3)2着と力をつけ、 1999年5月、人気薄ながら新潟大賞典(G3)で重賞初勝利。2走はさんで 8月、新潟記念で重賞2勝目。「新潟中距離完全制覇」を果たし、新潟巧者の肩書きを手中にした。

 しかし、悲しいかなその開催を最後に新潟競馬場は改装工事へ。 翌2000年は新潟開催は行われなかった。ブリリアントロードは1999年新潟記念以降、 重賞ばかり18走したが、勝ち鞍なしの【0.3.1.14】と長いトンネルに入ってしまった。

 そして、2001年7月に新潟競馬場は新装オープン。残念ながら新潟大賞典は行われなかったが、 新潟記念に満を持して出走。新潟巧者の復活に期待がかかるが、新潟競馬場は改装工事で コース体系が大幅に変わってしまった。左回りになっても、直線が超長くなっても、 ブリリアントロードは新潟巧者でいられるのか。それとも2年前の2戦2勝で 終わってしまう悲運の新潟巧者となるのか。ここ2走は金鯱賞(G2)3着、函館記念(G3)4着 と復調の兆しを見せているだけに、新潟の地で再度活躍の可能性は十分にある。

連載第36回・地味血統セイウンスカイ引退
(2001年8月21日)
 8月19日の札幌競馬場で7月に引退を発表した セイウンスカイの引退式が行われた。現役最後の勝ち鞍となった札幌記念(G2)の日に 札幌記念を勝ったゼッケン3番をつけての引退式だった。

 セイウンスカイは1998年3歳でデビュー。皐月賞(G1)、菊花賞(G1)を勝ち、 同期のスペシャルウィークキングヘイローらと一時代を築いた。 しかし、1999年の天皇賞(秋)(G1)を最後に左脚屈腱炎のため長期休養。 何度も引退がささやかれたが、2001年天皇賞(春)で復帰。1着テイエムオペラオーから 約16秒離された12着惨敗に終わったが、休養直前はなりを潜めていた逃げを見せ、 次走以降の本格復活に期待を抱かせたが、再び脚部不安で戦列を離れてそのまま引退となってしまった。

 セイウンスカイが皐月賞を勝ったとき、その血統が話題になった。 父シェリフズスターは既に種牡馬としては廃用になっており、その生死さえも不明ということだった。 セイウンスカイは血統的には極めて地味だったのである。廃用種牡馬の産駒が皐月賞と菊花賞を勝った。 そしてその勲章をもって堂々と種牡馬入り。 わずか13戦で引退することになってしまった無念を晴らすべく、そのスピードを産駒に受け継いでほしい。

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