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連載第35回・新潟コースの前残り
(2001年8月7日) |
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8月5日、新装なった新潟競馬場での初めての重賞、
関屋記念(G3)が行われた。新潟名物外回りの長い直線を利用してのレースということで
人気の差し馬に期待が集まったが、終わってみれば道中単独2番手で進んだマグナーテンが
勝利、大きく離して逃げたクリスザブレイヴが
差してきた1番人気エイシンプレストンをアタマ差おさえて2番手に粘るという結果。 そもそも、直線が長いということは差し馬に本当に有利なのだろうか。 直線が長いということはトップスピードで走れる距離がゴール前に長いということで、 レースの後半にトップスピードに持っていく差し馬に有利な条件だと言えなくはない。 ただ、長い間トップスピードを持続できるタイプの馬はよいが、 切れ味タイプで、一瞬のスピードで勝負する馬にとっては必ずしも有利ではない。 また騎手にとってはその一瞬をどこに使うかが難しい。一概に差し馬に有利とは言えないのだ。 今回の関屋記念は、人気になっていたエイシンプレストン、スティンガー、 ネイティヴハートといった差し馬たちが大きく逃げたクリスザブレイヴと 離れた2番手のマグナーテンをとらえるタイミングを逃してしまったということと、 エイシンプレストンあたりは一瞬の切れ味で勝負するタイプだからということが もたらした結果だろう。 東京コースも直線が長いが、やはり意外と逃げ馬が残るケースがある。 また、新潟コースは直線がほぼ平坦ということで、東京以上に前残りの展開が多い可能性がある。 差し馬でも中山のような比較的小回りのコースが得意で、長い直線は苦手というタイプもいることを 覚えておくと、人気の盲点をつけるかもしれない。 |
連載第34回・函館2歳S傾向と対策
(2001年7月27日) |
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7月29日は今年最初の2歳重賞、函館2歳S(G3)。
新しい世代の戦いのはじまりということで注目だが、過去のレースを振り返ってみるとある傾向がある。
それは、距離実績。 過去5年で見てみると10頭の連対馬のうち芝1200mで勝ち鞍があったのが7頭、 2着があったのが1頭。芝1200の連対実績がなくて函館3歳Sで連対したのは 1998年の勝ち馬リザーブユアハートと1999年の2着テネシーガールのみ。 この時期の新馬戦が1000mと1200mしかないことを考えるとこの差は大きい。 新潟、小倉、札幌と続く他の2歳重賞でも距離実績さらにコース実績のある馬が比較的好成績という 傾向がみられるが、函館が最も顕著である。 そうはいってもあくまで統計データであり、芝1200mの連対実績馬は何頭も出走するのだから これでバンザイというわけではないが、予想の一助にはなると思う。例えば今年の出走登録馬で 芝1200の連対実績馬は、サダムブルースカイ、サンヴァレー、 テイエムタイクン、ノアパンチ、ブルーショットガンの5頭。 人気薄の馬も含まれているし、人気になりそうなスターエルドラードや オメガスターライトは含まれていない。 データと人気が一致していないときはデータを頼ってみるのもひとつの手。 それくらいの軽いノリで買ってみると意外と高配当にめぐりあえることもある。 |
連載第33回・新装新潟競馬場
(2001年7月18日) |
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7月14日ついに新装なった新潟競馬場がオープン。
その売り物はなんといっても長い直線だが、1開催終えて、これがとてもおもしろい。 コース形態でおもしろいのは当然直線コースを使った1000mのレース。 1日目1レースからいきなり1000mのレースという番組編成が心憎い。 横一杯に広がったゴール前の攻防は今までとまったく異なった光景だし、 実況の戸惑いもはっきりと伝わってきて、おもしろかった。 2日目の疾風特別で飛び出した54秒2というスーパー時計もすごい。 8月19日の重賞、アイビスサマーダッシュ(G3)が楽しみ。 もうひとつおもしろいのが外回りコース。なにしろ4角を曲がってもまだ3ハロン以上ある。 それに東京コースと違ってほとんど平坦だから仕掛けどころが難しいだろう。 直線を向いてからもしばらく隊列が崩れず、前のほうで我慢している馬にどこでムチが入るか を見るのはかなりエキサイティングである。こちらも重賞が待ち遠しい。 そして、開幕週ということも手伝って、時計が速い。前述の直線競馬でのレコードもすごいが、 それ以外でも上がり3ハロンの計時が軒並み33秒台、速いときには32秒台が出ていたのは その3ハロンすべてが直線だからで、こちらも今までにない要素である。 芝の状態のよいあと1、2開催くらいは好時計連発だろう。 これほど大幅なコース形態の変更は過去に例がなくて、新鮮な楽しみがある。 馬券的にはとりあえず東京コースに良績のある馬、あるいはこちらも東京得意のトニービン産駒 あたりを狙ってみたが、そう簡単にはいかなかった。しばらくは傾向を探りたい。 こう考える人は多かったらしく、来場者数の記録を更新したものの馬券売上はダウンだったとか。 しかし、エキサイティングな直線の攻防は自分の買った馬が絡んでいるとさらに熱が入るもので、 傾向は傾向として、1レースずつ積極的に勝負したい。 それにしてもこの大改修なった新潟競馬場、夏のローカルだけにしておくのはもったいない。 というのは既に使い古された言葉だろうか。 |
連載第32回・ダート女王ファストフレンド引退
(2001年7月7日) |
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交流重賞を中心にダートで活躍したファストフレンドが帝王賞(G1)を
最後に現役を引退。一線級の牡馬と互角に渡り合ったその38戦のキャリアを振り返ってみる。 デビュー戦はキャリア唯一の芝でのレース。3歳5月の未勝利戦、18頭立て9着という凡庸な ものだった。しかし次走で2着、3戦目で初勝利をあげると、500万を2戦で、900万を1戦で卒業、 ダート馬としての活躍がはじまる。準オープンクラスでもまれながら約1年半をすごして迎えた5歳4月、 大きな転機となる船橋でのマリーンカップ(G3)へ遠征。ここで初めての重賞挑戦ながら勝利。 以後、積極的に交流重賞に出走することになる。この年は11戦してすべて掲示板に載る【6122】の成績、 交流重賞3連勝など本格化。年末には東京大賞典で初めてG1に挑戦、ワールドクリーク2着と健闘。 ちなみにこのレースは地方馬初の中央G1制覇など快進撃を続けていた岩手の雄メイセイオペラが 11着に沈んだレースである。 6歳となった2000年、川崎記念、フェブラリーSとG1を連戦していずれも3着。 高齢牝馬ながら安定した成績を残し、ファンもそれに見合った支持をするようになる。 そして6月、4度目のG1出走となった帝王賞を勝利。2月のフェブラリーSを完勝したウイングアロー を退けての初戴冠だった。秋にはこの年新設のジャパンカップダート(G1)に出走、 1番人気に支持されるもウイングアローの5着。年末の東京大賞典はウイングアロー不在で ファストフレンドが1番人気。好位からきっちり抜け出して2つ目のG1タイトル獲得。 この年のダート路線はウイングアローが中央G1を2勝、ファストフレンドは南関東G1を2勝。 テイエムオペラオーの快挙に沸いた年だが、この2頭の覇権争いも非常にエキサイティングだった。 そして2001年、7歳になったファストフレンドは1月の川崎記念2着以降、6、3、5、11着と不振。 帝王賞を最後に繁殖入りすることになった。 1998年は南関東のアブクマポーロ、1999年は岩手のメイセイオペラが ダート界を制覇。2000年は前述のとおりウイングアローとファストフレンドが分けあった。 その牡馬3頭と並び称されてもよいくらいの成績を残しているし、1番人気でG1を勝ったりもして、 ホクトベガ以来の「砂の女王」の称号に値する活躍なのだが、いまひとつ認知が低い感じのファストフレンド。 それは中央馬でありながら交流重賞に主戦場を求めたためだろう。重賞9勝のうち中央では1勝のみ。 初めて地方のレースに出たマリーンカップ以来、22戦中14戦を地方で走っている。 しかし、それは中央のダート馬にとって新たな道を切り開いたというすばらしい功績である。 また、牝馬でありながら足掛け5年、38戦のキャリアというのも極めてまれである。 その数々の功績を、ささやかだがここで称えたい。そして、その仔がまた交流重賞で活躍してくれたらすばらしい。 |
連載第31回・格言いろいろ
(2001年7月5日) |
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競馬には「格言」がいろいろある。
「人気薄の逃げ馬」「クラス再編成での降級馬」など。
「府中のトニービン産駒」も格言の域にきているかもしれない。
そして現在開催中の夏競馬に関する格言も多い。
「夏は牝馬」「夏は芦毛」「格より調子」など。 超一流馬が軒並み休養に入る夏の重賞レースは他の季節とは性格が異なる。 準オープン馬が挑戦してきたり3歳馬が古馬重賞に出てきたりして 人気が割れることが多く、馬券の検討も比較的難しい。 そこで、格言の助けを借りてみてはどうか。 例えば7月8日のマーメイドS(G3)。例年に比べると小粒なメンバーで突出した馬はいなく、 1番人気馬はちょっとわからない。いくつかの格言であてはまる馬をあげてみよう。 「夏は牝馬」はここでは使えないとして、「夏は芦毛」でいけばラティールが浮上。 「格より調子」ということなら、これは調子の見極めが必要なのだが前走勝ちということで、 インディアナカーヴ、フサイチユーキャン。 夏に限らない格言でも考えてみると、「人気薄の逃げ馬」でヤマカツスズラン。 そうはいっても格言にはまゆつばなものも多く、そもそもいくつもの格言がお互いに 矛盾する場合もある。あくまで参考ということで、ちょっと穴っぽいの狙っちゃおうかな、とか、 もう1点買うのにこの2頭のどっちにしようかな、とかいうときに、 そういえばこんな格言があったよね、という程度に楽しめるとよいと思う。 あるいはレースのあとで、あぁやっぱり格言どおりかよぉ、と悔しがってみるのもよし。 |
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