日本通信教育連盟  

コラム「たかが競馬というけれど」連載第91回〜


連載第95回・ナリタトップロードの思い出(後編)
(2003年2月5日)
 前回から続く。。。      (見逃した人はバックナンバーを見てね)

 古馬になってからのナリタトップロードは、好走しつつも勝てないレースが続いた。 しかしそんな戦績が、根強い人気の一因だったかもしれない。

 2000年、同期のテイエムオペラオーが5つのG1を含む8連勝というものすごい成績をあげ、 この年に台頭してきた外国産馬メイショウドトウがそのライバルとして好勝負を演じたが、 ナリタトップロードは7戦して【0223】と未勝利に終わる。 ジャパンカップを除外になって出走したステイヤーズSでも、格下の相手に4着敗退。 それでもファンは復調を待ち続けた。

 2001年、緒戦の京都記念でも3着に敗れたが、続く阪神大賞典で復活の勝利。 4コーナーで先頭に立つと、直線ではいままでの敗戦がうそのように伸びる伸びる。 2着に8馬身差をつけ、レコードのおまけもついた。この勝利をひっさげて、天皇賞(春)に参戦。 デキも最高で、テイエムオペラオーに次ぐ2番人気。 テイエムオペラオーは前走大阪杯で4着に敗れていて、今度こそ逆転の期待がかかったが、 無情にも雨。道悪にめっぽう強いテイエムオペラオーが7度目のG1制覇を果たし、 メイショウドトウが5度目の2着。ナリタトップロードは前年に続く3着に涙を飲んだ。

 2002年になると、テイエムオペラオーメイショウドトウの同期2頭が引退。 現役続行のナリタトップロードは目の上のたんこぶがいなくなり、京都記念、阪神大賞典を連勝。 阪神大賞典では前年の年度代表馬ジャングルポケットを一蹴。そして3度目の天皇賞(春)で1番人気に支持される。 菊花賞以来、2年半ぶりのG1制覇の期待がかかったが、またしても3着。超スローペースになり、 苦手の瞬発力勝負でマンハッタンカフェジャングルポケットに屈した。 このペースなら、菊花賞のときのように自分でレースを作る展開がほしかったところで、 不完全燃焼な一戦だった。

 2002年秋のG1戦線はすべて苦手の中山開催。天皇賞(秋)では久々の2000mで追走に手間取り後方から。 直線で大外からド追い込みという似合わない競馬だったが、展開はまって2着。ここでは結果オーライだったが、 続くジャパンカップ、有馬記念は10着、4着と敗退、惜しまれつつ現役を退いた。

 ナリタトップロードの全成績は【8688】で、G1に限ると【1256】。 これだけ見ると全くの脇役なのだが、根強い人気を誇り、引退式には多くのファンが詰め掛けた。 惜敗を続けながらようやく勝った菊花賞でファンの心をつかみ、それ以降、負けても負けても今度こその期待をもたせてくれる馬だった。 そしてなにより、大きな故障もなく、4年間30戦、ほぼ同じローテーションで走り続けたからこその人気だろう。 2002年有馬記念で引退ということを早くから表明していたが、有馬記念後に現役続行の話があったりなかったりして、 最後の最後まで話題を提供してくれた。ナリタトップロードは記録以上に記憶に残る名馬。 産駒の活躍にも期待したい。

連載第94回・ナリタトップロードの思い出(前編)
(2003年1月26日)
 昨年の有馬記念を最後に引退したナリタトップロード。一時は復帰の話もあったが、 1月19日に京都競馬場で引退式が行われた。そのナリタトップロードを2回にわたって振り返ります。

 ナリタトップロードは1998年12月に阪神でデビュー。デビュー戦は出遅れが響いてクビ差の2着。 雨で稍重だった。道悪が苦手なのはデビュー戦からはじまっていた。続く折り返し新馬戦できっちり勝ちあがり。

 3戦目は伝説の福寿草特別。伊藤雄二厩舎期待の素質馬スリリングサンデー、 牝馬クラシック候補トゥザヴィクトリーに続いて3番人気。500万下のレースにこれだけ揃うのも珍しい。 スリリングサンデーが絶妙なペースで逃げ切り、2着に2馬身差でトゥザヴィクトリーナリタトップロードはメンバー中最速のあがりで追い込むが、さらに半馬身差の3着。 ちなみに、スリリングサンデーはこのあと故障してクラシックどころか2年間戦線離脱。復帰後も故障がちで素質を開花させられずにいる。

 ナリタトップロードは順調に成長し、きさらぎ賞、弥生賞と重賞2連勝で皐月賞に臨む。2番人気。1番人気は弥生賞で下したアドマイヤベガ。天気は雨。 2連勝はいずれも中団よりやや前から抜け出す競馬だったが、ここでは後方の位置取り。それでも直線外を回してよく伸びてきたが、 さらに外からテイエムオペラオーが一気に突き抜ける。内のオースミブライトにも粘られ、初めてのG1は3着に終わった。

 巻き返しを期したダービーでは1番人気の支持。2番人気が皐月賞6着アドマイヤベガ、3番人気にテイエムオペラオー。今度は快晴、良馬場。 中団からテイエムオペラオーとともに抜け出し、それを振り切って先頭に立つも、大外からアドマイヤベガが急襲。ゴール直前で交わされてクビ差の2着。 ナリタトップロードは好勝負を演じながら主役になれずに春を終える。

 夏を越して京都新聞杯。ダービー馬アドマイヤベガも出てきたが、1番人気はナリタトップロード。 中団より前の位置取りで直線に入ってすんなり抜け出したが、ダービーと同じようにアドマイヤベガの末脚に屈してクビ差2着。 このままでは菊花賞でも同じように負けてしまう、なにか乗り方に工夫がほしい、というのが前哨戦を終えてのナリタトップロードファンの声だった。

 そして1999年11月7日菊花賞。人気はアドマイヤベガテイエムオペラオーナリタトップロードの順。ナリタトップロードは1枠1番。 最内枠、乗り方の工夫。ひょっとして大逃げをうつかもしれないという予想もあった。 スタートは良くなかったが、いつもより前の位置取り。渡辺騎手はやはり工夫してきた。 ペースは超スローになり、アドマイヤベガが折り合えずにちぐはぐな追走。 ナリタトップロードは先行集団でじっくり我慢し、3コーナー過ぎからじわじわ進出、ロングスパート。 直線入口で先頭に立つと、ぐいぐい伸びる。アドマイヤベガは沈み、今度はテイエムオペラオーが外から猛追してきたが、 クビ差抑えてゴール。最後の1冠をすばらしいレース運びでもぎとって、3強で3冠を分け合った。 この菊花賞が、内容、結果ともにナリタトップロードのベストレースだっただろう。

 次回に続く。。。

連載第93回・JRA賞最優秀4歳以上牝馬
(2003年1月16日)
 2002年のJRA賞が発表された。シンボリクリスエスが圧倒的支持を受けて 年度代表馬と最優秀3歳牡馬を受賞、ファインモーションが満票で最優秀3歳牝馬を受賞と、 古馬をしのぐ活躍をした両馬が順当に選出された。 一方、最優秀4歳以上牝馬の投票では票が割れ、投票者281名のうち、 133票を獲得したダイヤモンドビコーが受賞したが、 2位ビリーヴも109票を獲得していた。

 ダイヤモンドビコービリーヴの2002年の成績は以下のとおり。

  ●ダイヤモンドビコー
    成績  :【3302】(すべて重賞)
    勝ち鞍 :中山牝馬S、府中牝馬S、阪神牝馬S
    G1成績:エリザベス女王杯2着
  ●ビリーヴ
    成績  :【5132】
    勝ち鞍 :準オープン3勝、セントウルS、スプリンターズS
    G1成績:スプリンターズS1着、香港スプリント12着

 端的に言うと、年間を通して牝馬重賞で安定した成績を残したダイヤモンドビコーと、 準オープンから短い期間にG1制覇までのぼりつめたビリーヴ、といった感じ。

 路線の違いから、この2頭でどちらが上位なのかというのを一概に言えないのは 投票結果にも表れているが、どうもダイヤモンドビコーファインモーション の2番手という印象がぬぐえない。今回のJRA賞ではファインモーション とはカテゴリが違うから、「ファインモーション以外でいちばんはダイヤモンドビコーね」 という理由も間違ってはいないのだが、それではなんとも消極的。 それならいっそ該当馬なしにしたいし、 違う路線でG1勝ちの事実のあるビリーヴにとらせてあげたかった。

 確かに、夏の小倉で本格化して準オープンからG1まで4連勝の2ヶ月間だけの活躍では、 不足といえば不足。ビリーヴは最優秀短距離場部門でも85票を獲得、 アドマイヤコジーンに25票およばず惜しくも2位だった。

 こうなったらビリーヴには今年、なんとしてもJRA賞を獲得できるような活躍を してもらいたい。ファインモーションを上回って最優秀4歳牝馬に輝けるような。

連載第92回・トーホウシデンが金杯勝利
(2003年1月10日)
 年のはじめの重賞レース、中山金杯を勝ったのはトーホウシデン。3歳時に 期待され、好成績も残した素質馬が6歳にしてようやく重賞初勝利をあげた。

 トーホウシデンは2000年2月にデビュー。皐月賞は間に合わなかったが ダービーには出走、4着に入って素質をうかがわせた。秋、セントライト記念 2着を経て出走した菊花賞で、皐月賞馬エアシャカールと一騎打ちを演じて、 クビ差2着。この時点の成績は【2401】で、将来に期待をもたせてくれた。

 しかし、その年のジャパンカップで2冠馬エアシャカールが14着、ダービー 馬アグネスフライトが13着で、この世代は最弱世代と呼ばれる。トーホウシ デン自身も有馬記念で14着に敗れている。

 有馬記念大敗の後、トーホウシデンは故障で長期休養。クラシックを戦った 馬たちが最弱世代の名をほしいままにしている間ずっと休んでいて、2002 年春復帰。復帰戦の日経賞で4着して、復活の糸口になるかと思われたが、続 く金鯱賞は13着。そしてまた5ヶ月休み。なかなか次が勝てない菊花賞2着 馬のジンクスを踏襲しつつ、再度の復帰戦は天皇賞・秋。ペリエ騎手を鞍上に、 並居るG1馬に肩を並べる5着。やっぱり強いかもという声が聞こえ始める中、 京阪杯4着。そして休み明け3走目、2003年金杯で、ダービートライアル 以来の3勝目をあげた。

 先日、エアシャカールが引退を発表。ダイタクリーヴァは既に引退している し、アグネスフライトは屈腱炎から復帰はしたものの苦戦続き。トーホウシデ ンは2000年クラシック上位組の最後の一角となった。最弱世代のレッテル を貼られた内国産馬とは対照的に、アグネスデジタルエイシンプレストンと いった外国産馬がひときわすごい活躍を見せる特異な世代。6歳になったこの 世代にトーホウシデンがまた違った色をつけられるかどうか。今後に注目。

連載第91回・菊花賞2着馬ファストタテヤマ
(2002年12月13日)
 12月8日に行われた鳴尾記念。天皇賞(秋)6着のイブキカバメントが 1番人気に応えて勝ち、2着はマイルCS16着から立て直した4番人気エイシンスペンサー。 そしてもう1頭、前走G1からの出走となったのが菊花賞2着馬ファストタテヤマで、4着。

 レースはゴーステディがややハイペースで引っ張る流れ。ファストタテヤマ は4コーナーで外に持ち出して、菊花賞でも炸裂させた末脚を繰り出そうという構えだったが、 思ったほど伸びずに3着ビッグゴールドとクビ差。

 菊花賞は、1番人気ノーリーズンの落馬、思わぬハイペースなど波乱の展開となったが、 ファストタテヤマはじっくりためて、直線で瞬発力発揮。16番人気ながら、 重賞を2勝していた得意の京都の舞台で、勝ち馬ヒシミラクルにハナ差の2着に入った。 そして今回の鳴尾記念では不得意な阪神コースでもそれなりの格好をつけて、 力をつけたことをうかがわせる。京都コースなら大きいところを狙えるかもしれない。

 ここ2年の菊花賞2着馬、マイネルデスポットトーホウシデンは その後は勝ち鞍すらあげられていない。菊花賞2着後に勝ち鞍のある馬は、 菊花賞以前にG1を勝っていたということで別格のテイエムオペラオースペシャルウィークを除くと、1994年のヤシマソブリン までさかのぼらないといない。そんな不吉な流れをファストタテヤマが断ち切るかもしれない。 京都で行われる天皇賞(春)には、ぜひでてきてもらいたい。

  素敵な出会いが待っている  

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