日本通信教育連盟  

コラム「たかが競馬というけれど」連載第76回〜第80回


連載第80回・ダービー大反省
(2002年5月30日)
 5月26日に行われた日本ダービー。1番人気タニノギムレットが快勝、 これまで皐月賞、NHKマイルCと1番人気ながらいずれも3着に敗れたうっぷんを晴らして 春シーズンを締めくくった。2着はシンボリクリスエスで昨年から出走可能になった外国産馬の初めての連対。

 前回のこのコラムで、過去のダービー連対馬の臨戦ステップを紹介して、 NHKマイルCや青葉賞からの出走はデータ的に厳しいと指摘、 皐月賞直行組がよいのではないかと書いた。しかし、 1着タニノギムレットはNHKマイルCから、2着シンボリクリスエス は青葉賞からの出走。さらに5着までが皐月賞直行組ではなかった。

 青葉賞については、これまでは、皐月賞で負けた馬が青葉賞を使って、というパターンが多くて、 ダービーでの活躍馬が出ていなかったとすれば説明がつく。シンボリクリスエスは外国産馬で、 青葉賞に勝たなければダービーに出られないから青葉賞に出たので、 これまでの青葉賞勝ち馬とは力が違っていたのだろう。

 しかし、皐月賞→NHKマイルC→ダービーというステップで勝ったタニノギムレットには、 ただただ脱帽。前々回のこのコラムでタニノギムレットのローテーションにふれて、 これで勝ったら、松田国英厩舎にノウハウが蓄積されての三度目の正直 (昨年のクロフネ、タニノギムレット自身の皐月賞→NHKマイルC)か、 タニノギムレットがクロフネ以上の馬であるか、どちらかだと書いた。おそらく両方。 関東への輸送をともなう中2週でのG1で万全に仕上げた厩舎スタッフと、 それにこたえて最高のパフォーマンスを見せたタニノギムレットと、 加えてきっちり導いた武豊騎手と、すべてが凝縮されたダービー制覇だった。

 反省。

連載第79回・ダービー連対へのローテーション
(2002年5月7日)
 いよいよ日本ダービーが5月26日。皐月賞は馬連5万馬券の大波乱だったし、 桜花賞やオークスも万馬券で、さらにNHKマイルカップも馬連4830円と、 今年の3歳G1は派手な配当が続いていて、ここもそうなるのか、一転して堅く収まるのか。

 堅くといっても、意外と人気は割れそう。皐月賞、NHKマイルCと圧倒的 支持を集めたタニノギムレットはその両方とも3着。 今回も1番人気のような気はするが、過去2回のような圧倒的なものにはならないだろう。 皐月賞馬ノーリーズンは15番人気から激走。前残りの流れを差しきる強い勝ち方で、 今回は当然人気になる。そして別路線では、青葉賞を勝った外国産馬 シンボリクリスエスが人気。圧倒的な1番人気で圧勝した勢いで、 ノーリーズンよりも人気になるかもしれない。NHKマイルCを勝った テレグノシスもいるし、青葉賞2着バンブーユベントスも上位人気だろう。

 ただ、過去5年のダービー連対馬10頭の臨戦過程を見てみると、8頭が前走皐月賞で、 残りの2頭は皐月賞不出走で若草S、京都新聞杯(京都4歳特別)を連勝の 関西馬アグネスフライトとシルクジャスティス。皐月賞から1走はさんだり、 関東のトライアルからというローテーションで連対した馬はいない。

 これに今回の出走予定馬を当てはめてみると、皐月賞から直行は、アドマイヤドンサスガタイガーカフェダイタクフラッグノーリーズンバランスオブゲームの6頭。京都新聞杯は皐月賞15着のファストタテヤマ が勝ってしまったので、この6頭がダービー連対の可能性が高いと思う。 タニノギムレットシンボリクリスエスもいない。ノーリーズンの2冠か、 2歳チャンピオンのアドマイヤドンの復活か、といったあたりが気になる。

 日本ダービーまであと数日。記憶に残る好レースを期待。

連載第78回・タニノギムレットのローテーション
(2002年5月7日)
 5月4日のNHKマイルカップは4番人気テレグノシスが G1になってはじめて内国産馬としての勝利で、2着はアグネスソニック、 圧倒的1番人気タニノギムレットが3着に敗れて馬連4830円の中波乱。 1、2着馬はタニノギムレットが勝ったスプリングSの2、3着馬だった。

 スプリングS後、皐月賞に出走権はあったのに出なかった2頭が1、2着で、 皐月賞から中2週で臨んだタニノギムレットが負けた。 この結果は偶然ではない気がする。長い審議の対象になるごちゃつきがあり、 加害馬のうちの1頭がテレグノシス、被害馬のうちの1頭がタニノギムレットだったが、 それ以前の問題として。

 タニノギムレットがNHKマイルカップ出走を決めたのはおそらく皐月賞のあと。 皐月賞は万全の状態での出走だっただろうし、そこから中2週で、 しかも関西から関東への輸送をともなっては、疲労があったのではないか。 テレグノシスアグネスソニックは中6週で、ここを目一杯の勝負に調整された。

 そして次走ダービーもまた、中2週、関東への輸送である。 NHKマイルカップからダービーというローテーションといえば昨年のクロフネがそうだった。 NHKマイルCを圧勝したクロフネも、中2週のダービーでは5着に敗れた。 負けた理由はいくつかあるだろうが、このローテーションでの疲労の影響も少なくはないだろう。 そしてタニノギムレットはクロフネと同じ松田国英厩舎。 今回のNHKマイルカップでは昨年のダービーと同じ轍を踏んだことになる。

 これでタニノギムレットがダービーを勝てたら、松田国英厩舎にノウハウが蓄積されての 三度目の正直か、タニノギムレットがクロフネ以上の馬か、ということになる。 過剰に人気していたら、疑ってかかったほうがいいかもしれない。 テレグノシスもダービー出走のプランがあるようだが、こちらも危険。 ただ、関東馬なので輸送がないというのが救いではある。

連載第77回・エイシンプレストンとアグネスデジタル
(2002年4月26日)
 4月21日に香港で行われた国際G1クイーンエリザベス2世カップで エイシンプレストンが1着、アグネスデジタルが2着という うれしいニュースが入ってきた。ドバイワールドカップで6着に敗れた アグネスデジタルの巻き返しを期待していたが、この結果には驚き。

 いままであまり気にしていなかったが、この2頭のこれまでの戦績を見ると、 似たような道を歩んでいて、いくつか接点もあった。

 2歳、エイシンプレストンは朝日杯3歳Sを勝ってエリート街道に乗り、 アグネスデジタルはこっそり川崎で全日本3歳優駿を勝っていた。 3歳時、アグネスデジタルがあっと驚くG1初勝利を飾ったマイルCSで エイシンプレストンは5着だった。そして4歳、前半は2頭とも低迷。 秋、アグネスデジタルは日本テレビ杯、浦和記念と連勝、 エイシンプレストンも毎日王冠を勝って、そろって天皇賞に名乗りをあげたが、 外国産馬の賞金順で、アグネスデジタルが出走、エイシンプレストンは除外。 アグネスデジタルが大外強襲で日本のエースへの第一歩を飾り、 エイシンプレストンもマイルCSを2着して復活をアピール。 2頭そろって参戦した香港の国際G1、エイシンプレストンは香港マイル、 アグネスデジタルは香港カップを勝利、 香港ヴァーズを勝ったステイゴールドと3頭で日本競馬史に残る共演。

 同世代の2頭がときどき交わりながら違う道を進んで、アグネスデジタルが 現役最強馬の呼び声高くなったところでひさしぶりに対戦、エイシンプレストンが勝った。 しかも海外での国際G1の舞台で。あるかどうかわからないが、再戦の機会を期待したい。

 弱いと言われていたこの世代が、外国産馬2頭の活躍で、他の世代とは違った語り方をされるだろう。

連載第76回・皐月賞大荒れでダービーはどうなる
(2002年4月18日)
 4月14日の皐月賞は15番人気ノーリーズンが1着で単勝万馬券、 2着も8番人気のタイガーカフェで馬連は53090円で、 1997年サニーブライアンが勝った皐月賞を上回ってクラシック史上最高配当となる大波乱だった。

 この波乱を生んだのが、前半平均で後半じわじわと速くなったペースで、 外からまくってくるはずだった人気馬にとっては、仕掛けてあがっていこうとしても 前との差が縮まらないという状況になってしまった。このペースを作って 最下位に玉砕してしまったメジロマイヤー以外は先行した馬が前に粘った。 1番人気タニノギムレットはエンジンのかかりが遅いのが幸いしての 直線ド追い込みだったが、粘るタイガーカフェをとらえきれなかった。 そんな中、勝ったノーリーズンは、中団から内の経済コースを通るドイル騎手の 好騎乗もあって、完璧に流れに乗っての差し切り。人気は全くなかったが、 すばらしいパフォーマンスだった。

 戦前はレベルが高いと言われていた今年の皐月賞だが、終わってみれば人気馬が 軒並み馬群に沈んだ。この結果を受けて次のダービーをどう考えるか、というのが難しい。 過去、皐月賞2桁着順からダービーで巻き返した馬はいなくて、チアズシュタルクローマンエンパイアモノポライザーあたりは厳しい。 そうなるとまたタニノギムレットに人気が集中しそうだが、いままでのレースぶりを見ると 一瞬の切れ味タイプな感じで、東京コースでどうなのかが未知数。

 まだダービーまでは時間があるので、別路線組みも含めてじっくり検討すればいいが、 とりあえず、ノーリーズンの単勝だけは忘れずに買っておきたい。きっと人気しないだろうから。 1997年、サニーブライアンの単勝を買わずにものすごく後悔したから。

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