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コラム「たかが競馬というけれど」連載第56回〜第60回


連載第60回・クロフネの抜けた穴
(2002年1月8日)
 有馬記念も終わって暮れも押し迫った12月26日、2日前に屈腱炎が発覚したクロフネの 引退が報道された。ジャパンカップダートを大圧勝した直後だけに、衝撃のニュースだった。

 明けて2002年、最初のダート重賞ガーネットSが1月6日に行われた。 ブロードアピールが1番人気に応える派手なド追い込みで重賞6勝目。 8歳牝馬での重賞勝ちは史上初ということだが、裏を返せば他の馬がだらしないということ。 サウスヴィグラスワシントンカラーゴールドティアラゲイリーイグリットといった見慣れたメンバーがブロードアピールに負けた。 また、昨年のフェブラリーSを勝ったノボトゥルーはその後勝ち鞍はないし、 2着ウイングアロー、3着トゥザヴィクトリーは今春の引退が決まっている。

 そんな停滞状態のダート戦線に現れたのがクロフネであり、ジャパンカップダートの 7馬身差はダート王としての今後の活躍を期待させた。まだ平安Sと根岸Sが残っているので そこに期待だが、クロフネに匹敵する馬が現れるはずもなく、 フェブラリーSでの主役不在感は大きい。

 しかし、フェブラリーSおよびその後のダート戦をもりあげられる馬が1頭いる。 現在G1を3連勝中の5歳馬、アグネスデジタル。まだ出走するのかどうかわからないが、 天皇賞(秋)ではテイエムオペラオーに引導を渡し、返す刀で香港カップ勝利の力は現役屈指。 再度ダートの舞台で最高のパフォーマンスを見せてくれれば、 クロフネがいなくなった穴も埋められる。直接対決が実現しなかったのは残念だが、 ぜひ出走してほしい。

連載第59回・クリスザブレイヴ種牡馬入り
(2001年12月21日)
 JRAは2001年の全日程を終了。テイエムオペラオーメイショウドトウステイゴールドといった超一流馬が引退していく中、ついに超一流になれなかった クリスザブレイヴも引退した。

 クリスザブレイヴは1996年にデビュー。ステイゴールドと同期。 簡単に2連勝後、朝日杯3歳S(G1)では1番人気。しかし15着に敗れ、 そのまま長い休養に入る。1年5ヶ月を経て復帰、次の勝ち鞍までは4戦かかったが、 福島民報杯(オープン)まで4連勝。ここまで10戦すべて1番人気はマーベラスサンデー と並んでJRAタイ記録。このころから「ノーザンテースト最後の大物」という 肩書きがつくようになる。

 天皇賞・秋(G1)で2度目のG1の舞台を踏んだが、見せ場なく16着。 その後、オープン特別を2勝したが、重賞では3、6着とはがゆい結果のまま、また1年半休む。 5年間の競走生活だったが3年間は休養していたことになる。しかし、最後の年に、輝く。

 復帰戦となった関屋記念(G3)では持ち前のスピードを生かして大逃げ。 マグナーテンに差されたが、2着に粘って重賞制覇にあと一歩のところまで来た。 次走京成杯AH(G3)では好位から直線で抜け出したが、ゼンノエルシドの強襲にあって また2着。そして富士S(G3)を迎える。ここも好位から直線で力強く抜け出す。 1番人気のダイタクリーヴァが猛追でまたかと思わせたが、3度目の正直で先頭ゴール。 18戦目にしてようやく勲章を手に入れた。

 その勲章を手にマイルCS(G1)に進むが8着に沈む。その後は中山金杯(G3)を 目指していたとのことだが、3度目の屈腱炎発症で無念の引退となった。 引退発表のあとしばらくして、クリスザブレイヴが種牡馬になるという報道があった。 ノーザンテーストの血統と、デビューから10戦連続1番人気に支持された素質が評価された のだろう。それを思うと順調な競走生活を送れなかったのが改めて残念だが、 種牡馬として、そのスピードと父の血を多くの産駒に引き継いでほしい。

連載第58回・テイエムオペラオー対メイショウドトウ最終章
(2001年12月21日)
 12月23日の有馬記念(G1)を最後にテイエムオペラオーメイショウドトウの2頭が引退予定。1つの時代が終わる。

 テイエムオペラオーは初勝利から皐月賞(G1)まで4連勝。 2歳時にクラシック登録をしていなくて追加登録料を払っての勝利が話題となった。 その年はアドマイヤベガナリタトップロードと3冠を分け合う。 一方のメイショウドトウは3歳1月のデビュー戦を勝ったが条件戦でもたつき、 11月に準オープンをようやく卒業と、出世が遅れた。

 2000年宝塚記念(G1)で2頭が初対決。天皇賞・春(G1)で2つ目のG1を獲っていた テイエムオペラオーに対してメイショウドトウはG1初出走。 直線で先に先頭にたったメイショウドトウテイエムオペラオーが外からねじ伏せた。 これ以降、G1でのこの1、2着が丸1年、5回続く。 この宝塚記念で故障して引退したグラスワンダーに替わって新たな時代となった。

 そして2001年の宝塚記念でついにメイショウドトウテイエムオペラオー の追撃をしのいで初のG1勝利。2頭の秋の新たな展開に期待を持ったが、天皇賞・秋(G1)を アグネスデジタルが、ジャパンカップ(G1)をジャングルポケットが勝利。 残念ながら世代交代を感じさせる結果となった。しかし、有馬記念には新興2頭は出走せず。 最後の対決、直線は他馬をちぎって2頭の一騎打ちが見たい。この馬連馬券ははずせない。

連載第57回・アグネスデジタルってすごい
(2001年12月17日)
 12月16日に香港国際競走が行われ、4つのレースに6頭の日本馬が参戦、 2400mの香港ヴァーズ(G1)をステイゴールド、 1600mの香港マイル(G1)をエイシンプレストン、 そして2000mの香港カップ(G1)をアグネスデジタルが それぞれ勝利する大活躍となった。日本はG1の谷間だったが、すばらしいニュース。

 なかでも香港カップのアグネスデジタルはこれでG1を3連勝で通算では 4勝目。そしてそのバリエーションがすごい。列挙すると、
 2000年11月 マイルCS  京都    芝1600m
 2001年10月 南部杯    盛岡    ダ1600m
 2001年10月 天皇賞(秋) 東京    芝2000m
 2001年12月 香港カップ  シャティン 芝2000m
で、芝もダートも、右回りも左回りも、1600も2000も、関東も関西も地方も海外も。 すごい。それからレース展開にしても、基本的には天皇賞(秋)で見せたド追込みなのだが、 香港カップでは4〜5番手から4角で先頭に並びかける競馬。強い。

 このコラムの第44回や48回(バックナンバー参照)でも取り上げているが、 あらためてこの馬のすごさに感服。こうなったら、一度獲ったG1には出ずに、 いろんなローテーションでいろんなG1を獲りまくるっていうのをやってほしい。 年明けで5歳。まだまだ十分。とりあえず次はフェブラリーS(G1)でクロフネと対戦か。

 まだ有馬記念(G1)が終わっていないが、今年は年度代表馬争いがなんとなく混戦模様。 そんな中、アグネスデジタルのパフォーマンスはそれに十分値する。 ただ、3つのG1のうち2つがJRAではないということで、選ばれないかもしれない。 そうなっても、心の年度代表馬に決定。

連載第56回・ファン投票上位馬が出ない有馬記念
(2001年12月14日)
 有馬記念(G1)の出走登録馬が出ている。報道で事前にわかっていたことだが、 メンバーはなんとなく物足りない。テイエムオーシャントゥザヴィクトリーマンハッタンカフェといった、各クラスのG1馬の参戦はすばらしい。 しかし肝心の、天皇賞(秋)(G1)とジャパンカップ(G1)で テイエムオペラオーの牙城を崩した2頭、 アグネスデジタルジャングルポケットがいないのはさびしい。

 その2レースはこの下半期を象徴する、世代交代を感じさせたレースだった。 ここでこのメンバーでテイエムオペラオーが勝ってしまっては後味が悪い気がする。 確かにファン投票はテイエムオペラオーが1位で、5位ジャングルポケット、 7位アグネスデジタルを大きく引き離しているのだが、それでも5位と7位。 この支持に応えて出走してもよいのではないか。

 宝塚記念(G1)も同様だが、ファン投票は出走馬を決めるという機能はまったく果たしていない。 ファン投票の結果はどこにも反映されることなくグランプリは行われる。せっかくのファン投票。 馬主さんや調教師さんはその結果を考慮して出否を決めてもよいのではないか。 前述の2頭しかり、2位のクロフネしかり。

 例えば、今回のファン投票上位16頭で競馬したらとても楽しそう。

  日本通信教育連盟  

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