第30号

今週のジェフのおすすめは

「ムーン」竹内海南江


 今週おすすめするのは、小説「ムーン」。 著者の竹内海南江氏は、 TBS系で放送中の「世界ふしぎ発見!」のレポーターとして活躍中。 本書は、氏の初の書き下ろし長編小説。1990年に角川書店から刊行、 1992年に角川文庫で文庫化。

 あらすじ。仕事も長続きせず、無気力にその日暮らしを続けるまりも。 酔っぱらって夜の公園をふらついていたまりもの前に、うさぎと名乗る少年が現れた。 はじめはうっとうしがっていたまりもも、無垢な少年とふれあい、また、 自分と同じ痛みを持っている人たちと出会ううちに、自分の素直さ、正直さを取り戻していく。

 作品全編をとおして、ふわふわした心地いい感じが漂う。むずかしい言葉は使わずに、 快いリズムをともなって物語は進んでいく。かなり読みやすい。 そしてそこには、愛、死、希望、そして生といったさまざまな主題が含まれている。

 疲れたときの気晴らしなんかにこの本はいいと思う。 全体をとおして感じられる優しさ、暖かさ、そういったものが、 なんのひねりもなくストレートに、疲れた体を休めてくれるかもしれない。 とにかく、この本はおすすめ。読み終わったあとの不思議な心地よさを感じてもらいたい。

 というわけで、今週のおすすめは、竹内海南江著、 「ムーン」でした。古本屋さんでよく見かけます。 気になった人はさがしてみて。



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