第14号

今週のジェフのおすすめは

「BURN(紫の炎)」栗本薫


 今週のおすすめは、小説「BURN(紫の炎)」。 栗本薫と聞くと、「グインサーガ」を思い出す人が多いと思いますが、ジェフはそれについて全然知りません。 ここではこの作品だけをとりあげ、作家についてはまったくふれません。

 で、おすすめですが、この作品は1980年に発表され、1983年に文庫化。「時の石」 という小説を表題作にした本に「黴」という小説とともに併録という形を取っています。 ジェフは、この「時の石」という作品を読みたくて文庫本を買ってきたのですが、 「BURN(紫の炎)」のほうが気に入ってしまった。

 ジャンル分けというのはあまりすきじゃないですが、便宜上、あえて分けるとすれば、この作品はSF、 あるいはファンタジーと言ってもいいかもしれない。 あらすじを紹介。ある朝、目覚めてみると、なんだか様子がおかしい。自分以外、誰もいなくなっている。 そのうちに建物も崩れはじめ、見たこともない植物らしきものが増え、街はどんどん滅びていく。 世界中でただひとりの人間になってしまった・・・。

 フジテレビが「世にも奇妙な物語」で使ってしまいそうな、いかにもニヒルな状況設定であり、 言ってしまえばかなりありふれた話のネタかもしれない。 しかしこの小説はおもしろい。主人公は、そのいつもとまったく違う世界をはじめは信じようとしなかったらのに だんだんと慣れてしまっていく。世界がそうなってしまった理由などどうでもいいと思うようになる。 そして、その世界を受け入れ、適応していく。結末を書いてしまってはいけないので書かないが、 終わり方はかなりかっこいい。

 小説を紹介する場合、どこまで書いていいものかわからなくなってしまう。これだけの説明でどうかとも思うが、 気になった人は読んでほしい。栗本薫がすきというのをきっかけにしてもらってもいい。 小説「BURN(紫の炎)」、おすすめです。 書店などでさがす場合は、「時の石」という本をさがしてください。



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