あかねが作ってくれた昼食は、さまざまな種類のサンドウィッチだった。クラブハウスサンドもあれば、普通のタマゴサンドもあったし、ハムサンドもあった。考えてみれば、今までに鷹通があかねの前で「これはおいしいです」と言ったものばかりだということに思いが至ったのは食事を終えて満腹した後だった。
鷹通はいつものように、礼儀正しく、ごちそうさまの挨拶をすると、あかねが嬉しそうに微笑んで食器を片付けにキッチンに入っていく。洗い物をしているあかねの後姿を見ながら、鷹通はただ幸せだなぁと改めてしみじみ思った。午前中までの、死にそうなほどの落ち込みようとは雲泥の差で、なんとすばらしい午後になったのだろう。今、ここにあかねがいるということの幸運を龍神様をはじめ、ありとあらゆる神様に感謝して回りたい気持ちで一杯だった。
やがて、あかねが手を拭きながらキッチンから戻ってきた。
「片づけまでしてくれてありがとうございます。」
「作るときに散らかしちゃったから、ね。」
あかねはにっこりと微笑んでからテーブルの正面にちょこんと座った。
「まだ、2時ですね。…どうしましょう?あかね、映画に行きたいですか?」
「うーん。」
あかねが少し考えるように首をかしげた。
「上映開始時間、間に合いますか?」
鷹通はマガジンラックに入れてあった雑誌の映画のページを開いて映画の開始時間を調べた。あいにく、今からだとあかねの門限までには到底間に合わない。
「ああ、残念ながら間に合わないですね…。」
「うーん、そっかー。」
「他にどこか行きたいところはありますか?」
鷹通の問いにあかねが笑いながら返す。
「今日は鷹通さんの誕生日でしょう?私じゃなくって、鷹通さん、どこか行きたいところはありませんか?」
「そうですね…。」
あかねに云われて鷹通は頭の中で少し考える。あかねと行くのは図書館とか、映画とか、買い物がほとんどで、あとはビデオを見たりである。今からだと何をするのにも、中途半端な時間になってしまう。
「特にありません。…強いて云えば…。」
「強いて云えば?」
「あかねが側にいてくれるのなら、どこでもいいんです。」
「もうっ、そんなのじゃ返事になってなーいっ!」
あかねは頬を膨らませた。返事になってないといえども、それは本心なのだから仕方がないと、鷹通は思うのだが。
「では、あかね、ここに来てください。」
鷹通が自分のすぐ隣を指し示す。あかねは微笑んで立ち上がると、鷹通の隣に移動した。ふわりと隣が埋まったことで、ほんのりした熱が伝わってくるようだ。鷹通はほんの少し、あかねにもたれるようにして頭を預ける。もちろん、それはあかねが重くないように、気を使った重心の係り具合なのだが。
あかねの柔らかな暖かさが頬から、腕から、触れたところ全てから伝わってくる。夢ではなく、本当にあかねが隣にいる実感。
京で暮らしていたときには自分がこんなに大切に思う人ができるなど予想もしていなかった。ましてや、京を離れ、遥か時空を超えた世界で暮らすようになるなど露にも思わなかった。それをためらいもなく決断させたのは隣に座って微笑んでいる少女。八葉として、彼女に付き従っているうちに、気持ちが膨らんでいき、それに戸惑って何度も諦めようとして、諦められなかった人。
「鷹通…さん?」
あかねが黙ってしまった私を不思議そうに覗き込んだ。
「あかね…。」
鷹通は頭をもち上げると、あかねの華奢な体をそっと抱きしめた。最初、少し驚いたように身じろいだあかねだが、すぐに体の力を抜いて私に体重を預けてくれる。あかねの髪から香るほのかな花の香りがあたりを漂っている。
「すいません…しばらくこうしていていいですか?」
あかねは無言のまま小さくうなづいた。
手の中にいるのに、そばにいるのに、わかっているけれど、時々不安になってしまう。あなたは、私の元を離れてしまうのではないかと。私の側から消えてなくなってしまうのではと、どうしてもその考えが頭の中からぬぐいきれない。それは手に入れた幸せを失いたくないという恐怖。そして、あかねに愛されているという自信の喪失。
あかねの実在をもっと感じたい。恐怖と自信喪失に打ち克つほどの実感と今、ここに自分がこうしていることの存在を確かめたい。ずっと鷹通はそう思っていた。
今日は特別な日。その願いを叶えたい。
鷹通はあかねの耳元で囁いた。
「私は、今日で20歳になりました。」
「ええ。」
「こちらの世界では20歳からが大人なのですよね。」
「そうですけど…?」
何を言おうとしているのだろう。不思議そうにあかねが返事をする。
「では、私の成人の祝いにもうひとつ、プレゼントをいただけますか?」
鷹通の言葉が何を意味しているのか、あかねにはすぐに理解できた。
みるみるうちにあかねの顔が真っ赤に染まって俯いた。けれども全く否定の言葉を発しないあかねに鷹通は承諾と理解して抱きあげてベッドに横たえた。
緊張のためか、わずかにあかねの肩が震えている。それでも、決心したように、迷いのない瞳でまっすぐに自分を見詰め返してくれるあかねだった。鷹通は額にかかったあかねの前髪を手で払うと、そっとキスをする。柔らかな唇の感触を充分に味わうように、なんども軽く吸い上げてから、あかねの口内にそろりと舌先を送り込んだ。最初は硬く閉じていた歯も、ゆっくりと何度か舌で往復するうちに緩んでくる。薄く開いたところからさらに奥に入り込むと、おずおずとあかねの舌がそれを出迎えてくれる。互いに絡ませるようにしていたが、やがてあかねが息が続かなくなったのか、ふうっと息をついた。ゆっくりと顔を離すと、あかねの顔が紅潮している。
そのまま桜色に染まった首筋へと唇を這わせると一瞬、びくりとあかねの体がすくむのがわかった。
「くすぐったいですか?」
「なんだか…へんな…かんじ。」
あかねは放心したような、どこか熱に浮かされたように返事をする。さらに首筋にある唇を移動させるとぴくぴくっとあかねの体がわずかにひきつける。
右手であかねのブラウスのボタンをはずし始めると、あかねが少しいやいやをするように身をよじった。それでも、すっかりとボタンをはずして前をはだけさせると、下着もはずしてしまい、あかねの胸が露わになった。
「や…。」
あかねは隠そうと左右に見をよじったが、逆に鷹通はそれを利用してすばやくブラウスやブラなどの衣類を袖から抜き取ってしまった。何も上半身につけていないようになったあかねは慌てて両腕で胸を隠そうとしたが、鷹通の腕に優しく制止される。
「綺麗ですよ、あかね?」
初めてみるあかねのふくらみは、やわらかな曲線を描いている。普段は着やせをするのか、鷹通が思った以上にそれは大きく、先端にはまだ本人以外には誰も触れたことのないであろう、淡い色の突起があった。
右手で胸の片方のふくらみを包むようにして触れると、吸い付くような感覚がする。壊れ物でも扱うかのようにゆっくりと揉みしだくと、あかねの唇から小さな声が漏れた。柔らかな乳房は手のひらの中でふわふわと、いままで感じたことのないような感触で踊っている。そのたびに、きゅっと目をつぶっているあかねからは短い息継ぎのような喘ぎがもれてくる。それは、まるで天女の声のする楽器を奏でているようだった。
鷹通は指先で淡く色づいている先端を摘んでみた。
「きゃぅっ…。」
先ほどよりも幾分、声が高くなる。予期せぬ感覚にあかねが戸惑い、先端をくりくりと弄ぶ鷹通の指に力が入るたびにあかねの声があがる。また、声をあげるたびに、逃れようとするのか、身を左右に捩り、その感覚を散らそうとしているようだ。けれども、それは決してあかねにとって嫌悪を感じる行為ではないということはすぐにわかる。最初は悲鳴に近かったそれは、だんだんと甘味を含んだ声色になってきている。
鷹通はすっかりと硬く立ち上がった先端を口に含んだ。舌先でころりと転がすようにすると、余計にあかねの体は硬直したように跳ね、甘い声が一層高く部屋に響いた。
「あかね、あんまり声をあげると隣に聞こえますよ?」
耳元で囁かれてあかねの顔が羞恥で再び真っ赤に染まる。すぐに声をあげまいと、あかねの歯が赤い唇をかみ締めた。
けれども、そんなのは気休めにしかならなくって。鷹通に舌先で胸に愛撫を受けるたび、あかねはその細い体を戦慄かせ、かみ締めたはずの唇は開いて甘い声をあげてしまっていた。甘い声は、鼻にかかったような、どこか艶めいた響きを帯びてきていた。
舌先を尖らせ、くるりと突起の回りを滑らせると、それだけであかねの体が反応する。軽く吸い上げ、きゅっと歯を立てると体を痙攣させるようにして反応を返した。感じやすい体質なのか、あかねは鷹通から受ける初めての強い刺激に息が詰まってはぁはぁと呼吸を乱すようになってきた。
今度は反対側の胸の先端を、先ほどと同じように舌先で弄びながら、鷹通の右手はするりと白く滑らかなあかねのおなかを滑り、穿いていたスカートのホックとファスナーに手をかけた。ホックを外して、ファスナーをおろすと鷹通はあかねのウエスト部分にあるスカートと、ストッキングとパンティを一気に引き剥がした。白い肌が鷹通の目の前にさらされる。あかねは顔を両手で覆い、足をもじもじと擦り付けて、大事な部分を見せないようにする。その艶かしさに鷹通は陶然として、一瞬見とれてしまった。
「私ばっかり…ずるい…。」
消え入るようなあかねの抗議の声に鷹通ははっと我にかえった。鷹通は、そこでようやく自分の衣服に手を掛けると、ゆっくりと傍らのあかねの裸身を愛でながら脱いでいく。全てを脱ぐと、鷹通はあかねの足の方に座ってあかねの両膝裏をひょいと持ちあげた。
「きゃっ!」
いくら足を閉じてはいても、足を胴につけるようにしてたたまれては元も子もない。すぐに鷹通の目の前に柔らかそうな襞の重なる花が咲いた。そこは、中心からすでに蜜が溢れ、部屋のあかりに照らされて光っている。花弁から毀れそうなほどの蜜はかろうじて、その襞の間まで潤してとどまっていた。
「ああ、とても綺麗ですね…。」
鷹通は人差し指で花弁の回りからなぞるようにしていく。その刺激に先ほどよりも大きくあかねの体が跳ね、甘い声が唇から漏れる。しまったとでも言いたげにあかねは口を両手で抑えるが遅かった。
続いて花芯に指を運ぶとつうっと芯のまわりを露出させるようにして撫で上げ、やや赤みを帯びた芽をすっかり露出させると丹念に人差し指でくりくりと刺激を加えていく。
「ああっ…ん…。」
あかねは不意をつかれたように媚びた声をあげ、背をしならせてその愛撫に答える。震える足は、最初は強く閉じられていたのに、そのあまりの強烈な刺激に油断したのか力が抜け始め、膝頭が割れていた。さらに花芯への愛撫を加えると、ひくひくと襞がうごめき始め、足も完全に力を失ってしまった。鷹通は膝に手を掛けて大きくあかねの足を左右に割った。電灯のもとにあかねの秘所がさらされる。恥ずかしさに慌てて閉じようとする足に、鷹通は自身の体を滑り込ませて閉じさせないように防いだ。
さきほどの花芯への愛撫で、新たな蜜があふれ、とうとう襞の間でとどめることができなくなり、零れ落ちていく。みずみずしい果物を思い起こさせるそれに、鷹通はためらいもなく口付けた。
「や…ん…。」
絡み合う襞を押しのけて蜜の毀れだす秘裂に舌を差し入れるとあかねの腰がわずかに動きだし、さらに蜜が毀れだしてきた。あかねの唇から紡がれる声も、もはや意味もなさず、先ほどの甘い声からだんだんと媚びた声に変わってきていた。
鷹通はわざと水音を立ててあかねの秘所を責めていく。あかねはあがってしまう声をこらえようとして唇をかんだりするが、そのあまりにも甘美な刺激に思わず声を漏らしてしまう。ぴちゃぴちゃという鷹通のたてる水音がやけに響き、あかねの恥ずかしさを一層あおっていった。
快感にこらえきれなくなったあかねの発する声が、やがて、媚びたものから切なげな響きを含むものに変わっていった頃、あかねの内腿が痙攣をするようにがくがくとひっきりなしに震え始める。
「や…おかしく…なっちゃうよ…。」
荒い息の下から涙ぐみながら訴えるあかねに、鷹通は微笑んでさらに秘裂のあたりをさまよっていた舌先を上に向けた。そうして、花芯を舌が捉えると、さきほど胸の突起にしたのと同じようにして愛撫し始める。
「ああっ…はぁっ…っく…。」
あかねの声がだんだんと高くなり、やがて切羽つまったような声になったとき、鷹通は歯先でかりっと軽く芯をかんだ。
「きゃぁっああん…。」
あかねは一瞬、からだを大きくのけぞらせ、やがてかくりと崩れるのと同時にその体のこわばりを解いた。あかねはぐったりとして荒い息遣いのままベッドに横たわっている。目の焦点はぼんやりとしてあってはいずに、呆けたように天井にむけられていた。
鷹通はそっと己のものに目をやると、それは既に我慢ができないほどに怒張し、痛いくらいになっている。あかねの蜜も充分すぎるほどに潤い、とどまりきれなかった分は既にこぼれてシーツに水染みとなっていた。
あかねの足をひらくと鷹通は腰を前に進め、あかねの秘裂を覆っている襞にぴたりと己をあてがった。あかねはその異物感に一気に我に返り、目を鷹通に向けた。
「あかね。いいですか?」
鷹通の問いかけにあかねがこくりと小さくうなづくと、鷹通はそのまま一気にあかねの中に押し入ってきた。
「…っく!」
今度は痛みをこらえるためにあかねは唇をきつくかみ締めた。
鷹通は窮屈なほどに狭いあかねの中でどくんどくんと激しく脈打つ己のものを抑えるのに苦心していた。うねうねとまとわりつくあかねの襞の感触に、今にも爆発してしまいそうになる。入り口で誘うようにひくついていた花弁がさらに強く蠢いている。このまますぐにでもあかねの中で己を擦りあげ、果ててしまいたい欲求をなんとか抑えながら、あかねの様子の落ち着くのを待った。苦しそうな表情で、必死に痛みを逃そうとしているあかねだが、その内部ではきゅうっと鷹通のものを柔らかく締め付けて、快楽にいざなっていた。
鷹通のものの怒張は少しだけ落ち着き、あかねもまた少し落ち着いてきたようだった。
「動きますよ?」
鷹通はそう断ってから、ゆるゆると腰を引き、あかねの中に収まったものを引き抜き始める。あかねはほっとした表情を顔に浮かべたが、次の瞬間、再び鷹通のものが勢い良くあかねの奥まで一気に押し入り、その表情も一気に苦悶に変わった。
あかねのなかは狭くて、一気に押し入ると中で押し広げられた襞が反動で強く絡みつき、余計に擦れて鷹通を絶頂へ導こうとする。歯を食いしばってそれを我慢しながら、何度もあかねの奥を突きあげる。そのたびに部屋の中にはあかねの秘所から湿った粘性の水音がしていた。
「あ…ふぅん…んんっ…。」
やがてあかねから再び甘い声が漏れてくるようになる。鷹通が勢い良くあかねの奥を突き上げると同時に嬌声があがり、沸きあがってくる快感を振り払うかのようにあかねはふるふると頭を振った。わずかづつ、あかねの足に震えが走る。
「ひぃ…んんんっ…あんっ…。」
「あかね?お隣に聞こえてもいいのですか?」
鷹通は意地悪く微笑みながらあかねの耳元で囁くが、もはやあかねには強烈な快楽に声を出さずにはいられないのである。
「やぁ…も、だめぇっ…。」
鷹通の下で切れ切れにあかねのこぼした言葉に鷹通はあかねの限界が近いの知った。自分もそう長くはもたないだろう、そう判断し、あかねの腰をしっかりと押さえつけると今までとは比べ物にならないほどの速さと強さで一気にあかねの中を行き交い始めた。あかねに腰を打ち付けるようにして激しく中に押し込めば奥にめり込むような感触を得る。
「うくっ…。ふ…ああああぅ!」
あかねはやがて、背をのけぞらせ、足や手を突っ張り、がくがくと大きく震えた。それと同時に鷹通のものを飲み込んだまま、きゅううっと強く収縮し、その急激な締め付けに耐えられず、鷹通はあかねの奥に向かってどくどくと精を吐き出した。
「んもー、ひどいっ、だましたのねっ!」
あかねは鷹通の胸に抱かれながら怒っていた。
「お隣の方が帰省しているのなら、早くそういってくださいっ!」
そう、鷹通の部屋のとなりは鷹通同様に大学生で、正月休みに入ったのでおととい既に帰省してしまっているのだ。だからあかねが声をあげようとも聞こえるはずはない。
「ほんとに、恥ずかしかったんだからっ!」
あかねは真っ赤になって怒ったままだった。
「でも、彼が戻ってくる前に声をあげないように少し慣れなければなりませんね。」
いけしゃあしゃあと言う鷹通に、あかねは抗議の声をあげるがそれは鷹通にとっては可愛いらしい仕草にしか映らず、鷹通のキスに声も奪われ、結局、声をあげなくなるための練習をもう一度されてしまっただけであった。
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