温泉に行こう4 その壱

 

晴れはしなかったが雪でもなかったので日中はスキーに興じていた。マリアはほとんど一人で自由に滑れるようになった大神の後ろからついていきながらふと不安に思う。
今日はあのいつもの明るさがない。
まぶしい太陽のような笑顔は見せず、笑うと言ってもわずかに口元で微笑むだけで、目はけして笑っていないのだ。
やはり、昨夜のことをまだ怒っているのだろうか。
今朝起きたときにはきちんと挨拶したし、食事の間も言葉はいくつか交わした。こうしてスキーをしていても話をしたりする。けれども、様子が違うのだ。
自分の思い過ごしだろうか。大神に確かめたくて、何度か言い出そうとしたが、怖くて、もし肯定されてしまったらと思うと、考えるだけで背筋が凍るようになってとても口には出すことが出来なかった。


日中はなんとかもった天気も宿に戻る頃にはちらほらと雪が舞い始めていた。大神は何か用があるといってマリアを先に部屋に戻して帳場に向う。とぼとぼと廊下を一人で歩きながらマリアは今日、何度目かのため息をついた。
「昨日のお客さんは朝発ったそうだよ。」
「まぁ、もうですか?」
「行商だからね、ゆっくりとはできないんだろう。今日あたり、ふもとの町に下りているらしいよ。」
こんな他愛もない会話は何度となく交わされたが、それでもマリアは不安を打ち消しきれない。二人の間に見えない壁があるような気になる。
食事が終わって、部屋に布団が敷かれた。どうしたものだろうかとマリアが考えあぐねていると大神が何か薬のようなものを飲んでいる。
「隊長…?どうかなさったんですか?」
大神はふっと口元だけで笑うとコップに水を継ぎ足した。
「ああ、栄養剤みたいなものだよ。マリアも飲む?」
「栄養剤…ですか?」
マリアがどうしようかと考えている間に大神はマリアの横に座るといくつかの錠剤をぽいっと口に入れ、水を口に含むとマリアにそのままキスをした。口移しでそのまま錠剤と水がマリアの口に流し込まれ、思わずマリアはそれを飲み込んでしまった。
「さてと。お風呂に入ってこよう。」
今日初めていつものまぶしい笑顔でにこりとすると大神はタオルを持って部屋を出ていった。その笑顔が出たことでほっとしたマリアも寝る前にもう一度お風呂に入るべく部屋を出た。


部屋に戻ると大神は一人で新聞を読みながら日本酒を飲んでいた。
「マリアもどう?」
勧められ断る理由もないのでそのまま晩酌の相手をする。風呂上りの火照った体に冷えた日本酒は心地よく喉を通っていく。そのままくいくいと早いペースでマリアはコップを空けていった。もともと酒の強いマリアがウォッカよりも遥かにアルコール度数の低い日本酒で酔うことなどほとんどありえない。いや、ないはずだったのだが、気がつくと、マリアの体の熱はどんどん上がっていた。
「のぼせちゃった…かしら?」
マリアはピンクに上気した頬を両手で抑えながら言う。そして頬を抑えるとき、手でわずかに摺れた乳首からぴりっと電流が走る。そして、まるでそれに反応するかのように下肢の間からとろりと蜜が流れ出して行くのを感じた。驚いたマリアは慌てて頬を抑えていた手を外すと再び腕が摺れて電流が走る。
「あっ。」
思わず声を漏らしてしまったマリアはたちまちに紅くなって俯いてしまった。私ってばどうしてしまったのだろう。恥ずかしさに縮こまるマリアの横に大神が来て耳元で優しい甘い声で囁いた。
「感じちゃったの?」
その声にびくりと体が竦み、茂みの潤いが広がって行くのを感じる。耳まで真っ赤にしたマリアはいやいやをするように首を振ったが大神はそのままマリアを抱き上げた。布団に静かに横たえて浴衣を開くと、見事なマリアの肢体が灯りの元、隠すところなく晒される。お酒のせいか上気した体は全体がほんのりと桜色に染まり、先ほどからのわずかな布の擦れに反応して乳首がすっかりとたちあがっていた。
「いやらしいね…こんなにしちゃって。」
大神が笑いながらぴんと指先でとがった乳首をはじく。その刺激にでさえも感じて声があがってしまう。そんなマリアの様子を満足そうに微笑みながら大神は自分の着ている浴衣を脱いだ。大神の体の中心には雄雄しくそりたったものがある。マリアの腹にそれを載せるようにしてのしかかると、腹部に感じる熱さと大きさに三度マリアは蜜をこぼした。いつもよりも多い蜜の量に戸惑い、脚を摺り合わせてもじもじしていたが、大神はそれに気づき、無理に脚をこじ開けて指で蜜のこぼれている秘裂の入り口を軽くなぞった。すると指には粘性の水蜜が糸をひきながら大量に絡みついてくる。
「ふふふふふ。マリア、どうしてこんなになっちゃたのか知りたい?」
大神は悪戯っぽく笑う。
「さっき、マリアに飲ませたの、強力な催淫剤なんだよ?それもお酒と一緒に飲むと効き目2倍のね?」
その言葉にマリアが目を見開いた。抗議の声をあげようと口を開きかけると大神がそれより早くマリアに告げる。
「ゆうべ君は言ったね?なんでもすると。」
冷たい大神の口調にマリアは喉元まで出かかっていた抗議の声を止めてしまう。
「淫乱なマリアを見たいんだよ。快感を貪る…ね。」
口の端をくいっと上げて笑いながら大神はそう言ってマリアにキスをし、豊かな胸をゆっくりと揉みしだく。大神の大きな手に包まれた柔らかな乳房は手の動きに合わせてぐにゃりぐにゃりと形を変えていく。
「はぁっ…ああんっ。」
堪えきれずに思わず声を漏らす。その声が甘い、ねだるような声だったのに自分でも気づいて恥ずかしさのあまりに紅くなった。
「それでいいんだよ。もっと淫らな声をたくさんあげてごらん?」
大神は唇を重ね、無理やりに歯列を割って舌をマリアの口腔内に捻じ込んだ。怯えて縮こまるマリアの舌を解くようにして絡め、吸い上げる。
「んふ…んんっ。」
最初は丸まっていた舌も段々とほぐれて伸びていき、大神のそれの動きに合わせてくねくねと動いている。そして、だんだんと彼女のほうから積極的に大神の舌を捕らえ、吸い上げてくるようになった。大神から自分の唾液を流し込むと小さく喉を上下させてこくりと飲み込んだ。
「マリア、綺麗だよ…。」
耳元で囁いた大神は首筋に唇を落とした。同時に両手で再び乳房をゆっくりと揉む。
「っふ…。」
首筋から鎖骨を通って乳房に辿る唇に体が敏感に反応し、戦慄く。唇が通ったあとはそこだけが熱を持ったようになりそれだけで震えるようだった。そして、大神は彼女の体から一度唇を離してマリアの顔を見た。
「ふふふふ。気持ちいい?」
大神は触れて欲しそうに待ちわびている先端を強目にきゅっとつまんで笑った。途端に短い悲鳴と共に体が後ろに撓り、びくびくと震える。
「もっとして欲しい?」
マリアは返事をすることが出来ずに目を伏せる。やわやわと指先で先端を弄ばれ、それに伴いぴくぴくと反応する体に困惑しながら、マリアは必死に戦っていた。恥ずかしくて絶対に言えない。いやいやと首を振ると大神の指の動きが一層激しくマリアを追いたてる。
「なんでもするんだよね?」
耳元で囁かれ、かぁっとマリアの頬が赤く染まる。
「言ってごらん?」
マリアは目を伏せ、もごもごと小さな声で何かをつぶやいたが大神には聞こえない。
「マリア、聞こえないよ。」
マリアは観念したように情けない表情を浮かべると、ぼそりとつぶやく。
「もっと…してください…。」
「何をだい?」
間髪入れずに大神が聞き返してくる。そんなの言わなくたって分かっているはずなのにと恨めしげに見つめても大神はとぼけている。
「何をして欲しいのか、ちゃんと言ってくれないと。」
マリアは恥ずかしさに涙を浮かべながらいやいやと首を振る。すると大神はすぅっとその目を細めて冷たい表情になった。
「そうか。」
一言だけだったけどあまりにも冷徹な物言いにマリアは冷水を浴びせ掛けられたような心地になり体も一気に硬直した。
「ご、ごめんなさい…。」
慌ててマリアは謝罪の言葉を吐き出した。大神を怒らせて嫌われてしまうのだけはいやだ。
「じゃあ、言えるね?」
うっと一瞬マリアは詰まるが、それでも仕方がない。マリアは諦めたような表情でつぶやいた。
「胸を…触ってください…。」
恥ずかしくて顔を背けながら小さい声でようやく言ったマリアの言葉を確認すると大神はにぃっと笑いマリアの希望通りその薄紅の先端を弄ぶ。それだけでマリアの体の中の熱が上がり、体中の血管という血管すべてを熱い流れが駆け回る。それと同時にもっと激しい刺激を求めてくねる火照る体をマリアは押さえることが出来なくなってきた。
「触るだけでいいの?」
マリアの変化を敏感に感じ取った大神が耳元で囁くとマリアの肩がびくりとする。
「ほら。いってごらん。これからどうして欲しいか。」
急に先端を強くつままれて細い悲鳴を上げる。けれどもそれは痛みからではなく快感からであることが大神にはとっくにわかっていた。
「…口で…して…ください…。」
泣き出しそうな表情でマリアの唇からおねだりの言葉が漏れる。大神はそのまますぐにでもマリアの中に入りたい衝動にかられるなんとかそれを押し留めてマリアの願いを叶えることにした。普段、模範的な真面目なマリアからこんな格好でこんな言葉が漏れるとつい大神も神経が高ぶってしまう。その高ぶりは大神自身に流れ込み、マリアの腹の上でびくんびくんと震えてさらに大きさと固さと熱さを増していく。
くちゅ。マリアの胸の突端を含んだ大神の口から音が漏れる。マリアは与えられている刺激に我慢ができず、先ほどからずっと自分でも耳を塞ぎたくなるような甘えた声を上げていたが、更に激しい声が上がり始める。そして同時にわずかではあるが腰も揺らめき始める。
「これを欲しい?」
大神は胸への愛撫を止めると上体を起こしてから意地悪そうにマリアの白い腹の上に自分のものをぴたぴたと押しつける。息も絶え絶えになっているマリアは呼吸を整えるのに精一杯で返事をする余裕さえもない。大神はくすくすっと小さく笑うと体をずらしてマリアの脚を持ち、左右に大きく広げて秘所を露わにする。そこはもうぐっしょりと水分を湛えて保持することの出来ない蜜は零れ落ち、浴衣に水染みを作っている。ひくひくと小刻みに痙攣している襞はいつ大神は入ってもいいように準備されていた。
大神は悪戯を思いついたように笑うと、まずはマリアの花芯の回りを人差し指の腹でゆっくりと撫でまわす。
「んんっ…。」
そのもどかしい刺激にマリアの背が撓る。
「気持ちいい?」
何度も何度もゆっくりと丁寧に回りをなぞりながら聞くとマリアがこくこくとうなづいた。
「でも。もっと気持ち良くして欲しいでしょ?」
こくりとうなづくのが見える。
「じゃ、いってごらん?どこをどうして欲しい?」
「く…。」
「く?」
「ク、…クリトリスに…。触って…ください。」
大神の指はすぅっと内側に軌道を替えてマリアの蕾に触れた。大きな震えがマリアの体に走り、喘ぎ声も先ほどよりも高く、切なくなってくる。腰を上下左右にくねらせてその快楽を必死に追い求めている。
マリアは堪えきれなくなりぽろりと涙をこぼした。こんな言葉を言ってしまったという恥ずかしさからではなく、言葉を言ってまでも快楽を追い求める自分にである。
とろりと新しい蜜が零れる。快感にひくひくとつま先まで引きつる。
「これからどうして欲しい?」
秘所を2本の指でなで上げながら尋ねるとまた体がびくりとする。
「…い、入れて…。」
「何を?」
それ以上は言えないとばかりにマリアは激しく首を振った。やれやれ、強情なことだ。大神は苦笑するとマリアの体から離れて自分の荷物の方に行き、何かを持ってすぐにマリアの元に戻る。
「何を入れて欲しい?マリア?」
優しい声で聞き返すけれどマリアは唇をきつく噛み締めて首を振るばかりだった。
「ふぅん、じゃあ、これでもいいんだね?」
そう言うが早いかマリアの中に何かがずぶりと刺し入れられた。それは冷たく、固いものである感触がした。ぐいっと乱暴に押し込められてマリアの喉から小さい悲鳴があがる。やがてそれは最奥の壁に突き当たり、そしてそれ以上奥には入らないほどぐいぐいと押された。
「な、何…?」
「紅蘭が作ってくれたハンディマッサージ器さ。ここのスイッチを入れるとね。」
かちりと音がするとウイーンというモーター音とともにマリアの中で何かが小刻みに振動を開始する。
「っはうっ…!」
マリアの体が思わぬ感触に大きくのけぞった。びくびくと体全体を大きく震わせて四肢を突っ張らせている。マリアの中に収まりきれなかった機械の端がまるで杭のようにでて、それが小刻みに振動している。少しの間大神が見ているとやがて新たな蜜がとろとろと零れ出してさらに大きな染みを作って行った。
「あれ?気持ちいいの?…もっと良くしてあげようか?」
親切を装って再び大神はかちりとスイッチを弄くった。すると先ほどよりも強い刺激が送り出される。
「んんっ…ああああっ…。」
マリアは思わず悲鳴のような声をあげていた。手でシーツを鷲掴みにし、自分の中で激しく振動するものの生み出す快楽に必死で耐えている。マリアにはもう限界だった。焼ききれてしまいそうな理性を必死で繋ぎとめ、体の中で上昇しつづける熱をなんとか逃がしてしまおうとその方法を考えるのに必死だったのだ。大神はそんなマリアを見下ろしながらマッサージ器の根元を持つとゆっくりとひきぬき始めた。くちくちと水音をたてながら筒状のマッサージ器がマリアの中から出て行く。マリアがほっとして体の力を抜くのと同時に大神はすぐさま再びそれをマリアの奥まで一気に埋め込んだ。
「きゃ…あああっんん。」
マリアの嬌声に大神は満足そうに笑うと再びマッサージ器をゆっくりと引き抜き、全て抜ける寸前でまた一気に奥の壁にめり込むほどに強く押し入れる。大神は繰り返し繰り返しゆっくりと抽挿をつづけた。
振動を伴ったものが出入りしてくる感触に最早理性は一瞬で弾け飛んでいた。先ほどまでで限界だったのに更に強い快感に体中を支配されて真っ白になりもう何も考えられない。混濁した意識の中で本能的にただ快楽だけを求めていた。
マリアの腰が大神の動かしているマッサージ器の動きに合わせて激しく動き始めるとマリアの声も一段と高くなり始める。やがてそれは意味不明の言葉も混ざり、か細く尾をひくような悲鳴に近い声をあげて、いままさにマリアが達しようとしている最中に大神はすばやくマッサージ器をマリアの中から抜き去った。
「…?」
極限からいきなり引き戻され、もどかしげに身を捩りながらマリアがとろんとした瞳を大神に向けて何かを尋ねたげな表情を見せる。
「マリア、もう言えるだろう?…何がほしいの?」
耳元でささやくとマリアがくすぐったそうにする。
「たいちょ…の…。」
「俺の何?」
大神の耳元で掠れる声で自分の欲望を正直に答えたマリアに大神がご褒美とばかりにつややかに流れる金の髪をなでてやる。そうしてからマリアのすらりとした長い足を片方持ち上げ、ぐっしょりと濡れたマリアの秘裂に猛りきった分身の先端をぴたりとあてがった。
「んん。」
マリアはそれだけで切なそうに身を捩る。そんなマリアの痴態に余計に煽られた大神は一気にマリアの最奥まで押し入った。
「ひあっ…。」
襞を掻き分けて熱い脈打つ大神のものが入り込んできた感覚にマリアは身を細かく震わせて喜びに満ちて受け入れる。じゅくじゅくと卑猥な水音を立てながらゆっくりと自分の中を押し広げて入り込んではすぐに退いていくそれをもっと欲しくてマリアは自らその白い腿で大神の鍛えられた腰を締め付ける。
「たい…ちょう…。…もっと…。」
虚ろにマリアは口走る。
「もっと?」
大神が聞くがマリアにはあまり聞こえていないようだった。大神が動くたびにマリアも腰を動かしてさらに快楽を貪るようにしている。すっかりと怒張しきった大神はうねるようなマリアの襞の中を悠然と行き来している。とはいえ、大神も決して余裕があるわけではない。意識を持ったように絡み付く襞が大神を高みへと誘っている。
「くっ…。」
大神はとうとう我慢ができなくなり、律動の速度を速めた。持っていた片方の脚をマリアの上体に押しつけるようにし、さらに動きやすいようにした。最奥の壁に叩きつけるように腰を沈めるとマリアの体が大きく痙攣のようなわななきをはじめた。
「っいいっ…ああっっ、たい…ちょ…っ。」
絶叫に近い喘ぎがマリアの唇から漏れた。快楽を追うのに必死で息が上手くつげないようで、ぱくぱくとさせている口の端から涎が垂れ、瞳も焦点が合わなくなってきている。大神に絡み付く蜜がとめどもなく溢れ、マリアの中の収縮も激しくなってきた。
「ああああああっ。」
マリアは最後にぎゅうっと大神を強く締め付け、体中に力を入れて突っ張るとやがてかくりと崩れた。同時に大神も耐えきれずに奥にめり込ませるように突き入れ勢い良く精を吐き出していた。
後には二人の荒い息遣いだけが部屋の中に響いていた。



END

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