温泉に行こう2

 

夜半まで降り続いた雪は朝には止み、変わって青い空がところどころ見えるようになってきた。朝食を終えた二人は部屋の窓から外の景色を見やる。きらきらと太陽の光が雪に反射してまぶしいくらいだ。
「どうする?マリア?スキーをしに行くかい?」
大神の問いに傍らにいるマリアは返答をしかねていた。本当はスキーをしたいところなのだが、昨夜と今朝の行為で、なんだか異物感がずっと残っていておかしな感じがしてうまく歩けない。それに、こうやって大神と面と向かって話すのも気恥ずかしい。
「マリア?」
「きゃっ。」
急に顔を覗き込まれてわずかに悲鳴をあげる。
「どうしたの?ぼーっとして?」
「あの…いえ、なんでもありません。」
「?それならいいんだけど。ねぇ、せっかくだからスキーをしに行こうよ。」
「え。ええ。」
マリアは内心、ため息をついた。まぁ、いいか。そのうちに、この感じも薄れてくるだろうから。そう思いながら外出の用意をはじめた。すっかりと身支度が整うと、出かける前に帳場で地図を貰ってから徒歩でスキー場を目指す。山間の温泉地で町自体は広くはないが肝心のスキー場は町から少し外れたところにあった。
「まぁ…すごい斜面ですね。」
ようやく到着した二人は道具を持っていないためスキー場の入り口で道具を借り受ける。それからぐるりと辺りを見まわすと、外国人や裕福そうな紳士がぱらぱらとスキーに興じているのが目に入った。そして、目の前にあるかなり急な斜面にマリアは驚き、それをさも得意げにスキーで降りてくる外国人に大神は驚いていた。
「うわ…すごいなぁ。」
「ええ、随分と上手な方ですね。」
マリアは横目で見ながら足にスキー板を器用にくくりつけ、続いて大神の足にもスキー板をつけてやる。
「では、歩き方からはじめましょう。」
それからマリアのスキー教室が始まった。


一日みっちりとスキーのレッスンを受けた大神は夕方にはかなり上達していた。もう一人でも問題なく滑って、止まって、曲がってができるようになっていた。本当は日が暮れるまでゆっくりと遊んで行こうとしたが、空が重くなり、日中の日差しとはうってかわって冷え始めた気温にこれ以上を諦めて宿に戻ることにした。ちらほらと、重い雲の下、冷たい山風に吹かれて白いものが舞い始める。
宿に帰るとすぐに冷えた体を温めに温泉に入る。大神にとってスキーは初めての経験で、随分とマリアに助けてもらいはしたものの、まだまだ楽々とは言えずに四苦八苦してしまった。お蔭で随分と汗をかいてしまい、冷え始めた体に熱いお湯は心地よい。白濁色の湯に身を半分沈めてぼんやりとする。目の前の白濁色の湯が頭の中で違うものに姿を変えていく。それは昨夜、雪明りの中で見た青白い、滑らかな、そして思いのほか暖かだった肌。それは焦がれて、夢にまで見たもの。だからずっとその日が来るまで大切にとっておこうと想っていたのに、先の約束もないままに、自分の強い思いだけで我が物としてしまったのだ。それどころか、今朝は彼女にとって酷いやり方で強引に体を繋いでしまった。大事にしたいと、好きだからこそ大切に、これ以上彼女が哀しい思いをしないようにと思っているのに、一度、その体を自分のものにしてしまったら到底離すことはできなくなり、それどころか彼女の全てを奪い、酷いやり方までしている自分に愕然とする。要は自分は子供なのだ。どんなに酷いことをしても自分のことを愛してくれるかと言う、自分への愛情の強さの確認。そんなことをしなくともきっと彼女は自分に黙ってついてきてくれるはずなのに、それをこんな馬鹿げた方法で確認しようとする。…いや、違う。ただ単に普段冷静な彼女を乱れさせたい。それだけなのかもしれない。子供よりももっと酷い…。
見上げると、夕方には舞う程度だった雪はあとからあとから降って来ていた。


夕食を済ませる頃には雪は本降りとなってきた。風がないので吹雪にはならないけれど、かなりの勢いで降っている。窓辺から二人はしんしんと降る雪を眺めていた。
「明日は吹雪になりそうだね。」
大神は窓側の籐の椅子に座っているマリアを振り返って言った。
「そうですね。…明日はスキーは無理ですね。」
マリアも日本庭園の植木に綿帽子のように積っていく雪を眺めていた。こうやって沢山の雪を見るのは故郷を出てから以来のことだった。ニューヨークでも雪は降ったし、帝都でも雪は降るけれど、これほどまでに全てのものを飲み込んで積る雪は暫くの間見ていなかった。雪深い故郷で何度も雪はたくさんだと思ったけれど、久しぶりに見るとなんだか落ちつくような気がする。それは大神が隣にいるせいなのだろうか。
飽かずに雪を見つめるマリアを大神は隣で眺めていた。マリアの霊力は氷や雪の形をとって現れることが多い。それは彼女の育った環境によるのだろうけれど、随分と彼女にふさわしいように思う。雪の女王、雪の精。冷たいまでの美貌を持つ彼女の本当は。昨夜の彼女の痴態が脳裏をかすめる。
「なんですか?隊長?」
途中で気づいたマリアは小首をかしげて尋ねる。大神は微笑みながら首を振るとそのままマリアの側に寄って、そっと唇をふさいだ。
「んっ…。」
急に唇を塞がれ、驚いたようにマリアが体を引こうとしたが唇を割って入り込んでくる大神の舌に体の力まで絡め取られ、逆にくったりと大神の胸に体を預けるようになってしまった。心地よい脱力感に体をまかせ、口腔内に遠慮なく入り込んでくる大神の舌におずおずと自分の舌を差し出すと、全てを味わいつくすように絡められる舌の動きにマリアは気が遠くなりそうだった。
やがて大神の唇が離れてほっとしたのもつかの間、今度は大神の唇がマリアの白い首筋を食んだ。びくりと体を震わすマリアに大神は目だけで微笑むと、片手で彼女の丹前の紐を解き手早くその合わせを開く。
「た、隊長…。」
慌てて丹前の合せを閉じようとマリアは身を捩るが、大神はマリアの両手の動きをあっという間に片手で封じてしまった。
「だめだよ、マリア。」
優しく言い聞かせるように耳元で囁いてから今度は浴衣の紐を片手で器用に解いていく。そして浴衣の合わせをも開くとマリアの真っ白い、綺麗な肌と豊かな胸、そして柔らかな茂みが現れた。大神は首筋に這わせていた唇を離し、マリアの全身をゆっくりと眺める。その大神の視線を感じたマリアは羞恥の余りに顔を真っ赤にして懇願した。
「隊長…あかりを消して…ください…。」
マリアの切ない願いに大神はゆっくりと首を振った。
「マリアを見たいんだ…。」
「いや…。」
マリアの懇願を無視してじっくりと彼女の全身を嘗め回すように視線を這わせていく。その淫猥な視線にさえマリアの肌は感じ、羞恥で全身に粟立ちの波が一気に走るが、それは不快ではなくむしろ熱をもったものであった。
「綺麗だよ…。マリア…。」
マリアはなんとか封じられている手を振り解こうと腕に力を入れた。カンナほどではないけれど、これでも腕力はそこそこにある。なのに、やはり男女の筋力はあまりにも違って、マリアはそれを振りほどくことができなかった。
「マリア。ダメだってば。」
大神は抵抗をしようと試みるマリアに苦笑しながら椅子の足元に落ちている丹前をまとめていた紐を拾い上げる。そして有無を言わせぬ早さでマリアの両手首を椅子の背もたれの後ろでまとめ、結んでしまった。
「隊長、何をなさるんですかっ!」
「だって、マリアが隠そうとするんだもの。…こんなに綺麗なのにね。」
大神はマリアにごめんねとばかりに唇に軽くキスをすると、手首を結んでいる紐の両端をそれぞれ椅子の後ろ側の足に結びつけ椅子から逃れることのできないようにしてしまったのだ。邪魔をする手がなくなったあと、大神はゆっくりと丹前と浴衣の合せを充分にはだけさせた。
窓からわずかに入り込んでくる冷気と、先ほどからの視姦のせいでマリアの胸の先端が誘うようにぷっくりとたちあがっている。薄いピンクをしていたそれは、昨夜と今朝の行為でほんのりと紅く色づいてはいたものの、まだまだ処女を感じさせるものであった。大神はもう一度華奢な首筋に唇を落とした。
「あっ…んんっ…。」
マリアの甘い声に大神の劣情が余計に煽られる。自分で酷いやり方をしていると自覚はあるが、どうにも止められない。それどころか、もっと乱れさせたいと思う自分がいる。こんなのは彼女への冒涜だと分かっているのに抑えが効かないのは、もっと、自分に溺れさせたいからだ。大神は自分の奥底に熱風が吹き荒れるのを感じた。
首筋を彷徨っていた唇を離し、同時に両手で彼女のそれぞれの胸の先端を軽くつまむとマリアが悲鳴のような声をあげ、大きく背中をしならせる。大神はその様子を満足そうに眺めてそっとマリアの耳元に囁いた。
「マリアは感じやすいね。」
その甘い声に彼女は力なく首を振るが、その瞬間に更に指で突起を軽く潰す様にするとマリアの全身に力が入り、再度硬直したようになった。指を少し緩めてやるとマリアは浅く呼吸を継ぎ、綺麗な翡翠の瞳を潤ませて大神を見た。先ほどまでは強い理性を感じた瞳もけだるげになってきている。大神は最後の抵抗の力を吸い取るべく、マリアに口付けると先ほどよりも念入りにマリアの舌を絡めとリ弄んだ。そうしている間も指先は絶えず愛撫を続け、マリアは呼吸がうまくできないほどになっていた。
「ふぅっ…はぁっ、はぁっ…。」
大神が唇を離したのでようやく息継ぎができたマリアは肩で息をしていたが、すぐさま、こんどは左胸にぬるりとした湿った感触を覚え、ひっと体を竦めた。見ると大神が左胸の突起の回りをなぞるように舐め上げていた。
「い…ゃ…。」
わずかに残った力で抵抗しようと身を捩るが、それはほとんど効き目もなく、かえって大神に強い欲望を与えてしまうことになった。大神は白い胸に小さな陰影を落としている先端を口に含むと前歯でその根元を甘噛みをした。
「あぁ…っ。」
自分でもわかるような甘えた声が口をついて出てしまってマリアは慌てて否定するように首を激しく振った。大神は左胸から上目遣いでマリアをちらりと見ると更に新たな刺激を与えた。
「あぅ…んんっ…。」
彼女が声を出すのを我慢するために唇をかみ締めようとするよりも早く、矢継ぎ早に愛撫をくわえて行く。マリアも体はすっかりと激しい愛撫に溶かされて最早抗う力さえ残っていなかった。大神から刺激を与えられるたびに体中に電流が走り、やがて熱となってじんわりと体の中に溜まって行く。左右の胸に隈なく愛撫を施した後、ちらりと大神がマリアを見ると、いつもの意志の強い瞳はとろんと溶かされてうっすらと涙さえうかべていた。きっちりと引き結んでいる口も乱れた呼吸で浅い息を吐いているために、わずかに開いている。
大神は胸に添えられていた右手を外すと下肢のほうにおろして行った。その感覚にびくりと一瞬みじろいだが、マリアの膝は既に大神の体に割られており、抗う術もない。容易に花弁に到達した指は軽く合わせ目をなで上げる。すると大量の蜜が指先に掬われた。見るとマリアの中から溢れ出た蜜は体の下に敷かれたままになっている浴衣へと零れ落ち、大きな染みを作っていた。その水染みに大神はふと片頬を緩ませると合わせ目をなぞっていた長い指を中に潜り込ませて行った。
「っ…。」
その感覚にマリアの腰がわずかに跳ねた。中に潜り込んだ指はそのままずぶりと最奥を穿つかと、彼女は身を固くしていたが、予想に反して指はその少し手前で止まるとくいっと指を曲げ上壁をなぞるように擦った。
「ひっ…あっ…。」
彼女の体が大きく跳ね、豊かな胸も激しく上下する。
「ここがいいの?」
もう一度、大神は同じ所をなぞった。すると面白いように彼女の体が反応する。同時にとろりと大神の指を伝って新たな蜜が溢れ出してきた。その蜜の滑りを借りてもう1本指を指し入れると彼女の中の襞が一斉に指に絡みつくように蠢き出した。
「ぁああっ…。」
大神は胸への愛撫も再開させると中への抽挿を開始した。マリアは体のあちこちで同時に与えられる愛撫に気も狂わんばかりの快感を覚えた。体中の力が抜けているのに大神の指の動きに合わせて痙攣のように震える体。そしてこんな格好を取らさせて恥ずかしいはずなのに、もっとしてほしいと思ってしまう。
「っんん…ふっ…あああっ!」
マリアが白い喉元を見せて大きくのけぞった。大神は体のわななきの感覚が短くなってきたことで彼女の限界が近いことを知った。中に入れていた指をかきまわすように一層強く動かすと彼女は短い喘ぎを漏らしてかくんとくずれてしまった。
「マリア…?」
涙をたたえた瞳は熱でとろんとしたようになっていて焦点があっていない。短く上下する胸の動きと呼吸が彼女の熱を放散させようとしている。
大神は胸から彼の上体を離すと屈む様にして今度は下肢に向った。彼女の膝の裏に手を入れると体を折りたたむようにして彼女の体にその長い足を押し付けた。
「い…いやぁっ…。」
ようやく我に返った彼女が身を捩るが両腕でしっかりと抑え込まれていて相変わらず身動きがとれない。電灯の元にこんな恥ずかしい格好でこんなところを大神に見られている。それだけで消えてしまいたいくらいだ。大神はためらいもなく彼女の花に顔を近づけると舌を差し出して花弁の合せをゆっくりとなぞってあふれ出る蜜を舐め取った。
「ひゃ…。」
指とは違う、柔らかく湿ったものが蠢くと先ほど達したばかりで熱の残った体にまた新たな熱が篭る。快感で震える腰を大神は足と共に封じ込めてさらに淫らな水音を高くあげながら次々と溢れる蜜を飲んだ。やがて、舌は秘裂から上にずれるとぷっつりと勃ち上がった花芯の回りを這いずりはじめた。
「ひぃっ…ああんっ…ゃあ…っ。」
漏らす喘ぎも段々と激しくなる。花芯を口に含んで軽く噛むと彼女の体が大きく跳ね上がった。満足そうにそれを眺めていた大神は再度、指を彼女の中に指し込むと激しく抜き差しをはじめた。
マリアは大神の激しい愛撫にまた達しようとしていたまさにその時、大神は指を引き抜き、顔を上げてその動きをとめた。
「…?」
中途半端な状態で放り出されたマリアは浅い呼吸をしたまま訝しげに大神を見つめた。大神は黙って微笑んで自分の着けていた浴衣を脱ぐと破裂しそうなほどにいきり立ったものをぴたりとマリアの花にあてがった。
「マリア。」
優しい声で呼ばれてはっとすると、大神は一気にマリアの中に突き進んできた。
「…っ…。」
指よりも太いもので貫かれ、マリアは声にならない悲鳴をあげた。苦しい息の下からおそるおそる自分の下肢を見ると大神のものをしっかりと受け入れている自分が見え、恥ずかしさのあまり目をぎゅっと閉じてしまった。体が強張り、力が入るためマリアの中も肉襞がまとわりついてくる。その蕩けるような感触にくらくらとしそうになりながら大神はゆっくりと律動を開始した。先ほど、達しそうになっていたマリアは大神の動きが再開するとほどなく唇から濡れた喘ぎを幾度かこぼして急速に高まっていく。
「いっ…ゃあっ…あ…ひぃっ…。」
やがて大きく体を痙攣させると中を満たしている大神を強く締め付けながら崩れるように椅子の背もたれに体を預け、ゆっくりと意識を深い闇に落として行った。


マリアがぼんやりと意識を浮上させたのは背中の感触が先ほどまでの固い感触とは違う、ふんわりとした柔らかさの上でだった。先ほどまで戒められていた手に少し力を入れてみると動いた。もう、紐は解かれているようだった。
「あ…?」
はっきりと目を明けると大神の顔が目に入った。
「マリア、気がついた?」
「え、ええ。」
「気を失なっちゃったから心配したよ。」
大神は安堵の表情で微笑んだ。
「私、どれぐらい…?」
「すぐだよ。椅子からこちらに動かしたくらいだから。」
その言葉を聞いてマリアは少しほっとした表情を浮かべた。
「気を失うくらいに…感じた?」
大神の問いに耳まで赤く染まる。最中に意識をなくしてしまうなど、なんてはしたないことだろうか。
「もう、大丈夫?」
「はい…。」
「そう。良かった。」
にっこりと大神が笑う。その途端に彼はマリアの足をひょいっと持ち上げて大きく左右に開いた。
「たっ、隊長っ…!」
「ごめんよ。もう少しつきあってくれるかい?」
大神はそう言うとマリアの返事も待たずに一気に腰を進めた。
「ああんっ…。」
思わず大きな声が出て自分でもはっとする。慌てて口を塞ぐが大神は優しく微笑むと口を抑えた手をはずした。
「もっと、声を聞かせてくれるかい?」
かぁっと再び耳まで赤くなる。そうしている間にも大神は静かに動き始めた。突き上げるように奥まで捻じ込まれ、そしてまたゆっくりと出て行く。怒張した大神の先端がマリアの中の襞を押し広げ通る度に背中にいいようもない感覚が走り抜けて行く。そして、一番奥ではぐいと押し込むような感覚に下腹部全体がだるく熱を持つ。それはもどかしいほどにゆっくりと繰り返された。篭った熱が出口を求めて体の中を走りまわる。大神の動きがゆっくりな分、篭った熱も発散できないでどんどん体の中にたまっていくばかり。
「あ…ん。ぃゃ…もっと…。」
そこまで口から漏れてマリアははっとした。自分は今、何を言おうとしたのだろう。
「もっと?」
大神は満足そうに笑うとマリアの足を片方持ち上げて肩にかけ、マリアの体はそれに伴って身を捩るように横向きになった。そして次の瞬間、出口付近まで引きぬかれていたものを一気に根元まで埋め込んだ。それは先ほどまでよりもずっと深い結合になり、マリアの最奥部では大神の先端のかなりの部分がめり込み、甘い痺れとなった。
「んんっ…。」
大神も深い到達感を味わうように更に結合部に腰を沈ませていたが、やがてまたゆっくりと動きだす。そのたびにマリアの中は大神に絡みつき、ひくひくというわずかな痙攣を伴って大神を絶頂へと誘った。堪え切れなくなった大神は徐々にその律動を早めて行く。
「ひっ…っく…。」
マリアの手がシーツを掴んで耐えようとしている。何度も穿たれ、どうして良いか分からぬほどの感覚は何かに縋っていないとまた意識をなくしてしまいそうだった。それでもマリアは中にいる大神の熱さや怒張がどんどんと増してきていることは感じられた。激しい大神の律動に体の隅々まで溶かされ、もう四肢に力を入れることも叶わない。ただ、貪欲に大神を貪る自分だけがいた。
「あぁあ…んっ、いぃ…。」
マリアの声に大神が一層大きくなっていく。狭いマリアの中をかきわけて進む張り出した部分はもう破裂せんばかりに膨らみ、更にマリアに快感を与えていく。マリアの体がわななき、腰ががくがくと震え出している。
「も、もう…っだ…め…です。」
堪えきれなくなったマリアは切れ切れに言うと大きく体を振るわせた。それと同時に大神の回りの壁が一斉に一回り小さくなり、ぴったりと吸い付くようにして絡んでくる。今まで我慢してきた大神もとうとう耐えられずマリアの最奥部に浴びせ掛けるように淫水を放出した。

「痛い?」
マリアは手首にうっすらと残る紐の跡を見た。白い華奢な手首に、わずかに赤い擦り傷。
「いえ、それほどでもありませんが…。」
マリアはそう言ってから大神の顔を悲しげに覗き込む。
「もう、あんなこと、しないでくださいね?」
「マリアが胸とか隠さなければね。」
「隊長っ!」
咎めるようにマリアは言うが、それを無視して大神はにこりと微笑んだ。
「なんだい、マリア?」
そうして腕の中に抱き込まれてしまうともう何も言えなくなる。どうしていつもこうなのかしら?そのうちに勝てるようになるのかしら?マリアはそっとため息をついた。



END

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