永泉×頼久

 

説明文
この話しはメールのやりとりで筋書きができました。
訳アリで天真くんに抱かれてしまった頼久さんを目撃していた鬼畜詩紋(笑)。それをネタに『あかねちゃんにばらしちゃうよ?』と言って自分とも関係をするよう迫ります。あかねちゃんにどうあっても嫌われたくない頼久は泣く泣くそれを受け入れますが、鬼畜の詩紋のこと。自分だけでなく、器具を使用してさんざん頼久を陵辱します。身も心もぼろぼろの頼久はそれでもお召しがあるとあかねの元に行くのです。
これはあかねの部屋に行った直後のお話です。





神子の部屋を辞した頼久は重い足取りで自室に向っていた。
とにかく今はもう、一人になりたい。そして、眠りたい。眠ってしまえば、もしかしたら、今まであったことは悪い夢で、また普段通りの朝稽古から始まる日常をおくることが出来るかもしれない。そんな儚い期待を抱いてずるずると鉛のような体を引きずってようやく自室まで引き上げてきた。後手に戸を閉めると崩れるように倒れ込む。上着も脱がず、そのまま、夜着に着替えぬままに、とにかく横になった。これで、悪い夢から抜けることが出来る。そう安堵して、ゆっくりと暗紫の瞳を閉じた途端だった。
「頼久殿?」
こつこつと戸を叩く音と小さな声が聞こえる。びくりと身を強張らせ、すばやく上体を起こすと刀に手を掛け戸口の人間を伺った。
「私です、永泉です。夜分遅くに申し訳ありません。」
品の良い小さな声がした。頼久はとりあえず刀を置くと戸をからりとあける。確かにそこには永泉が立っていた。
「どうなさったのですか、こんなところまでおいでになるとは…。」
武士の住まう場所。このような下賎の場所は帝の弟である永泉が来るような場所ではない。呼ばれたら参上したものをという思いを言葉の上に載せる。
「いえ、先ほど、なんだかあなたの様子が変だった様にお見受けしたものですから。どうしたのかと思いまして。」
おずおずと永泉は来訪の意を告げる。
「なんでもございません。」
しかし、頼久は顔を強張らせたまま勤めて平静に答える。それは先ほど、自分と詩紋の間で交わされた絶望への入り口の会話と同じだったから。
「そうでしょうか…。…その…。」
永泉が言いにくそうに口篭もる。頼久は永泉の言葉を封じるように口を開いた。
「お気遣いありがとうございます。本当に私はなんともございませんから、どうかご心配なさらずに。」
「傷の手当てを…。」
明るさを装っての頼久と対照的に永泉は辛そうに眉根を寄せ、その唇から発した言葉に頼久はぎくりとした。その様子を知ってか知らずか、永泉は法衣の袂からごそごそとなにやら取り出して貝に入った半透明な薬を見せた。
「その…詩紋殿が…あなたのことを…。」
永泉は困ったような顔で言って、それ以上の言葉を繋げることをしなかった。目線さえ頼久から外している。知られている。そのことに頼久はひどく動揺をした。
「あ、あの、別に私はその…。」
怯えているような頼久に永泉が慌てて付け足す。しかし、動揺の収まらない頼久に永泉はふぅと小さなため息をひとつついて言った。
「私も、経験がありますから。」
思わぬ永泉の告白に頼久は驚愕し、そしてだんだんと悲しげな表情に変わって行った。お坊さんの世界には稚児と言うのがある。女性にふれることができない僧侶達は見目麗しい男の子を相手に性欲のはけ口とするようだ。頼久は随分昔に聞いた話を思い出した。帝の弟宮とはいえ、兄弟子たちに嫉妬され、そういう目にあわされたとしても何ら不思議はない。辛いことだったろう。わざわざ心配してきてくれた永泉になんという辛い告白をさせてしまったのだろうか。謝罪の言葉を口にしようとした瞬間にそれに気づいた永泉が封じるように先に口を開く。
「ああ、いいんですよ。もう、大丈夫ですから。」
頼久に余計な気遣いをさせまいと健気な笑顔を永泉が浮かべた。
「それより、きちんと手当てをしないと膿んでしまうかもしれません。失礼ながら私が手当てを…。」
「いえ、自分で…。」
「自分ではできないのですよ。その…傷口に塗り込まないと…いけないので…。」
困った顔で永泉が続ける。
「きっとお嫌でしょうけれど…でも、それで八葉のお勤めに障るような事があったら…。明日は神子殿に同行なさるのでしょう?」
俯いた永泉の言葉に頼久がはっとする。そうだった。明日は神子の供をしなければならない。先ほどの神子のお召しは明日はどうしても散策に同行して欲しいとの依頼だったのだ。詩紋によって酷く傷つけられた頼久の秘所は歩くたびにずきりと耐えがたい痛みが襲ってくる。余りの苦痛に息を詰まらせ、そして動けなくなりそうだったが、それでも神子だけには心配をかけまいとしてようやく部屋に戻ってきたのだ。明日、神子に同道できなかったら、私は神子の信頼を失うことになってしまう。それだけはどうしても嫌だった。
頭の中を羞恥と神子への想い、八葉としての責任感がぐるぐると回る。そして、最後にため息を大きくつくと覚悟を決めてうなづいた。
「良かった。…これは唐渡りの秘薬ですから、すぐに効くんです。」
永泉は安堵の表情を浮かべて言った。
「どうすれば…?」
「まずは、四つん這いになってあちらを向いてください。」
頼久は自分の寝床に指示された通りに姿勢をとる。ゆっくりと傷をかばいながら、丁度、永泉に背を向けるような形である。頼久の背中を見ながら永泉の唇がさも愉快そうに口端を上げて弓なりになったのを見れなかったのは頼久の不幸だったのだろう。
『失礼いたします』と言って着物の裾をめくる。そして、散々蹂躙された秘所を露出させた。そこは擦られて赤く擦り切れ、所々にひどい裂傷が出来ていた。行為のあとを、しかもこんな恥ずかしい格好でこんな部位を見られるなど、羞恥で頼久の顔が歪む。が、それどころではない。
「ひどいことを…。」
永泉が言葉を詰まらせるように呟いたのが頼久の耳に入った。言葉が詰まったのは苦しげではなく、笑いをこらえながらであったのだがまだ頼久はそれを知らない。
酷い傷を見ながら永泉はそれでも眉間に皺をよせる。詩紋殿も随分と容赦のない…。所詮はまだまだ悪戯の過ぎる子供。体の扱いも分からぬままにするからこういうことになるのだ。自分だけが遊べればいいというものでもないだろうに。憎憎しげに永泉が美麗な顔を歪める。
「裂傷が中まで…。痛みますか?」
出来るだけ優しい声音で永泉がたずねた。
「大丈夫です。その…。」
早く治療をして欲しい。そういいたげであった。
「もうしわけありません。」
永泉は頼久の背後で薄笑いを浮かべながら自分の指に半透明の薬を掬った。これは唐渡りの薬。確かに裂傷も治る。だけど、ひどい副作用があるのだ。どうなるか?永泉はそれを痛め付けられたところにそっと塗り込んでいく。
「くぅっ…。」
びりっという激痛が傷口から全身へ掛けぬける。その刺激に頼久の背がしなった。薬を塗られたそこは急激にそこだけに血が集まって行くように脈打ち始め、熱を帯び、まるでそこに蟲でもいるかのようにざわざわとかゆみがあがってきた。
これほど早く効くとは、と永泉が驚く。なるほど、これなら友雅殿が執着するのも無理はなく、その友雅殿を出し抜こうとあの鷹通殿もやっきになるはず。永泉が喉の中でくくっと小さな笑いを飲み下した。そう、この薬は本来、稚児用に作られた秘薬。裂傷の激しい部位の傷を治すが同時に塗布してから一刻ほどはそこがむず痒くなり擦らずにはいられないという薬なのだ。
「大丈夫ですか?」
「はい…。」
苦しげに頼久が返事をし、すぐさまに唇をかみしめた。額にはうっすらと汗がにじんでいる。そこで永泉はさらにもう一掬い指に載せて今度は傷ついた奥に塗り込むようにつぷりとその細い指先を中に埋めた。
「あぁっ!」
頼久の唇を割って小さな叫びが漏れる。それは悲鳴と言うよりはすでに艶めいた喘ぎに近い。そして同時にぞくりと肌に粟がたつような、そんな感覚がした。頭の中がぼうっとしてくる。永泉はそれでもその指先を抜かずに中でくちゅくちゅと壁をこすりあげた。
「ひ…ぃ。」
喉奥から掠れた声が出た。膝から力が抜けそうになるのを必死でこらえていると、指はするりと抜け出て行った。
「申し訳ありません。なるべく急いではいるのですが。もうしばらく我慢してください。」
永泉の声が背中からする。頼久にはそれがすぐ側のはずなのに随分と遠いところからその声が聞こえているような気がした。ぼんやりとしそうな頭をふるふるっと振って遠くなりかけた意識を戻すと、さっきよりも質量を増したものが中に入ってきた。
「は…あっ。」
頼久の中でそれらは違う動きをする。指が2本になったのだ。先ほどは少しだけだった深さも今度は指の根元まで入れられ、壁をつつつと撫でながらゆっくりと入り口付近まで抜き出される。
「あ…ひぃ…。」
その感覚に頼久の下肢がびくりと震えた。
永泉は急激に指が締めつけられるのを感じた。見ると、頼久の筋肉のついた均整のとれた足ががくがくと小刻みに震えている。そして、頼久のものがお腹につかんばかりの勢いで屹立しているのも見えた。少し手当てをしただけでこんなになるとは、一体、友雅殿はどういう教育をしたのでしょうね…。そう思いかけたときに永泉も自分の下肢にあるものが力強く立ち上がってくるのを感じた。目の前で、自分よりも逞しく、しかも年上の彼があられもない姿で自分の行為に腰を震わせている。その姿は、何度となく自分の頭の中で犯した最愛の男性の姿と重なった。
「あ…にうえ…。」
永泉の唇からは最愛の男性を呼ぶ声がわずかに漏れていた。夜毎、彼の頭の中で繰り返される強姦のその相手は小さい頃から敬愛し、信頼していた兄であった。今、目の前にあられもない姿で悶えている彼の背中が、腰が、夢の中で最初は拒みながらも永泉を求めてくる兄のものに見えてきた。すぐにあなたも私を求めるようになりますよ。永泉がくくくっと薄く笑った。
永泉は中に入れていた指を抜いた。すると頼久の背中がわずかにしなる。次の薬を指に取ろうとしながら頼久の傷口を見るとそこは、まるでそれ自体が意思を持っているかのようにぴくぴくと痙攣をしていた。あんなに薬を塗ったことは私だって今までにない。寺の坊主ども相手にはそこまで燃える気がおきないのだ。だが、今日は違う。あの趣味のうるさい友雅が執着し、それどころかその友雅の夜伽の相手の鷹通までもが浮気をしようとさえする男なのだ。
頼久のものは怒張し、先端からは透明な雫がまるで涙を流すようにこぼれている。恥辱と快感の狭間で肩を小刻みに震えさせ、どちらに落ちていこうかと決めかねているようだった。ならば、もちろん快感の淵へ貶めてあげましょうと永泉は掬った薬をそっと頼久のものの狩首のまわりにくるりと慣れた手つきで多めに塗りこんだ。
「はぁっ…。」
頼久の腕がびくびくと震え出す。
「も、申し訳ありません。その、こちらはご自身でお願い致します。ここも、かなり擦り傷ができておりますゆえ…。全体によく摺り込むようになさってください…。」
「は、はい…。」
震える声で頼久が体を支えている片手を外してそっと自分のもののまわりについている薬を人差し指で伸ばし始めた。しかし、急激に痒みを増して行くものに、それでは到底おいつかず、とうとう頼久は己のものを握るようにして持って、その手を根元まで一気に引きおろした。
「あぅっ…。」
永泉の目から見てもそれはもう激しい痒みであろうことは疑いない。透明な雫はその量を増し、とろとろとこぼれつづけている。
「こちらはかなりひどい傷ですね…このままでは時間がかなりかかってしまいます…。もっと、手早く致しましょう。」
永泉は自分の着衣を片手で素早くめくるとすっかりと立ち上がったそれに薬を塗り、ひくひくとあえいでいる頼久の秘所にあてがった。
「!」
頼久がその感覚にびくりとしたが逃げる間もなく永泉のものは圧倒的な質量を持って頼久の中に押し入ってきた。
「ぐっ…あっ…。」
もはや、頼久には永泉の行為を非難することさえもできない。それでこの痒さが少しでも取れるものならば。しかし、そんな思いとは裏腹に、先ほどから自身で擦っている己の限界も近づいてきてしまった。出したくない。しかし、あまりの痒さのために擦らずにはいられない。我慢をしている頼久の筋肉がきゅっと締まり、永泉のものを受け入れている部分も当然に筋肉が緊張し、よい締まりになる。永泉自身も薬を局部に塗布したために痒くて擦らずにはいられないよういなっていた。激しく、頼久の中を穿ち、急速に高められて行く。
「う…あ…。」
頼久は永泉に突き上げられるたびに体中が喜びに震えるのを感じて愕然とした。友雅殿に無理に迫られ、鷹通殿や天真に迫られ、仕方なしに体を繋いだはずだったのに。いや、仕方なしにだったのだろうか…。いつから自分はこんなにこの行為を気持ちがいいと感じるようになってしまったのだろう。この己の猛りは薬のせいだけではないのに気づいてしまった。
とうとう、頼久が我慢しきれずに放精した。その瞬間に永泉も強く締め上げられ、頼久の奥深くで欲情を吐き出した。しかし、薬はまだ効いているのである。頼久はそのまま狂ったように自身を握り締め、再びその手を上下させている。永泉自身もまだ熱が収まらず、痒みも収まってはいなかった。そのまま、抜きもせずに再び激しく頼久の中を掻き回し続けた。


疲れて眠りこんでしまった頼久の顔を見ながら永泉が身支度を整える。
「また傷を負ったら治療して差し上げますよ。」
永泉は愉快そうに呟いて頼久の部屋を後にした。



END

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