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1998.7.1発行              編集・発行:鴨池公園愛護会
ホタルの棲む自然

 毎年6月頃になると我が家にはホタルの問い合わせがあります。(まるで、人気アーティストのマネージャーになった気分です) その中には毎年「ホタルはいつ放すのですか?」という問い合わせがあり、どうやら、某レストランのようにどこからかホタルを採ってきて放すと思っている人が結構いてるようです。確かに鴨池公園のホタルも3月末に里親が飼っている幼虫を放流します。しかし、幼虫が水辺から上陸しサナギ、成虫へと変わるには、その年の天候等に影響されます。そのため、ホタルが見られる時期や数はその年によって微妙に違ってくるのです。今年は例年より早くホタルが見られましたが、ホタルの数が少なく、ピーク時でも10数頭しか確認できなかったようです。そのうえ、週末の天気が悪く(鴨池公園愛護会の「ホタルの夕べ」も残念ながら中止となってしまいました)、楽しみにしていたのに見られなかった人達もずいぶんおられたようです。

 今年ホタルがあまり見れなかった原因のひとつは、例年放流していた数より少なかったことがあげられます。これは、愛護会の有志が里親を引き受け、鴨池公園のホタルの幼虫を3月まで飼育しているのですが、その時点でトラブルが起きてしまったからです。

 そうすれば、来年はそんな事が無いように注意して例年どおりの数を放流できるようにすれば、いやもっと里親を増やして多く放流すればたくさんのホタルが舞う鴨池公園になります。

 ????? 本当にそれが鴨池公園のホタルを守ることになるのでしょうか?

 確かに、里親の育成も大事なことです。ベテランの人達から新しい人達に育成のノウハウを伝えてもらい放流できるホタルの数を保てるようにできる人作りも大切です。

 しかし、もっと大切なことは鴨池のホタル水路自体が「ホタルが棲むことができるだけの環境であるか?」ということではなでしょうか? もし仮に、ここにホタルが十分育つ環境があるとすれば、幼虫の放流量が減れば、野生のホタル量が増えて、本来はその数は保たれるはずなのです。ところが全体数が減ってしまったということは、野生のホタルが育っていないということになります。

 ホタルの住む環境というのは、いったいどのようなものなのでしょうか?

 特に鴨池に見られるゲンジボタルは、豊富な水が流れていて、しかもえさであるカワニナなどのたくさんの巻き貝が住んでいる必要があります。その巻き貝が成長するにはコケなどの植物が必要です。そのコケだって水のなかの栄養物を取り入れて成長しています。それだけではありません。ホタルが産卵したり、さなぎになるためには、川岸にコケや柔らかい土が必要です。ホタルを保護する環境づくりとは、これら全てのことがバランス良く保たれた豊かな自然環境をつくりあげていくことなのです。

 はっきり言って、これらの条件全て鴨池公園のホタル水路は十分ではありません。今まで、たくさんのホタルが見られたことはひとえに里親の努力ほかありません。今年のホタルの減少は、わたし達に大切なことを教えてくれているのではないでしょうか。

 

 そうです、今年のホタルの減少はこの大事な事を私達の教えてくれているのです。

 かつてこの都筑区ではたくさん野生のホタルを見ることができたと聞いています。しかし、今ではホタルの棲めそうな環境は激減しています。そこでホタルが実際見られる場所、つまりホタルの生息環境がかろうじて残っている鴨池公園を、生きものが住む環境を考える絶好の場所として、未来の子供たちに是非とも残してあげたいと思います。

 わたなべよしえ


昆虫調査を見にきませんか?

 夏らしい蒸し暑さが増していくにつれ、虫たちの季節も本番もやってきやようです。今年も林床昆虫の調査を始めています。これはベイトトラップという方法で、オサムシ、ゴミムシ、シデムシといった肉食性昆虫を簡単な仕掛け(豚肉を餌にした落とし穴)で捕らえる方法です。是非あなたも、キミも一度見に来てください。いろんな昆虫に出会うことができて楽しいですよ。虫が大好きの子供たちを大歓迎します!

 1. 調査予定日 天気次第ですが、原則として毎月第一日曜日。だいたい10月頃まで

 2.調査時間 愛護会の活動時間の前(8:00頃から)、もしくは活動の後

  (夏の暑いときは比較的涼しい朝早い時間で行う予定です)

 3. 調査場所 鴨池公園の柿の木広場となり(けやきが丘保存緑地の中)

 4. 問い合わせcygnus@mvb.biglobe.ne.jp


前回の活動報告

5月3日(日)鴨池のヨシ刈り

 ゴールデンウィークの真っただ中であるということで、活動の参加人数は少ないかなと思っていましたが、意外とたくさんのメンバーが集まりました。この日は鴨池の水辺にはびこっているヨシ刈りを行いました。ヨシが他の水辺の植物を圧倒してるので、その勢いを抑えるために、ヨシ以外の植物を残して刈り取り作業を行いました。それから鴨池の水のDO(dissolving oxygen)を測定しました。これは水中に溶けている酸素量を測るものですが、測定値は7.8ということで、この数値はホタルの幼虫をはじめ生き物たちが生きていける酸素のレベルだそうです。(by大野先生) また、こどもたちの恒例行事である「ザリガニつり」も20匹以上の成果(?)がありました。そこで釣り上げられたアメリカザリガニとアカミミガメは、こどもたちの手で「せせらぎの道」の水辺に放しました。(外来種のブラックバス、ブルーギル、アメリカザリガニは繁殖力が強く、他の生きものを排除してしまうので、トンボ池には招かれざる客(?)なのです。) 鴨池はできるだけ多種多様な生態系を維持していこうと考えていますので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。

6月7日(日) 雑木林整備、竹切り

 あれれ?どうしてこんなに少ないの?? たまたま「けやきが丘」の作業が重なり、残念ながら参加者は少なかったです。 しかし、さすがは精鋭揃いの愛護会です。少ない人数でも、雑木林に入り込んだ竹を切って、うまく片付けました。 雑木林に竹が入り込むのを放置しておくと、雑木林は竹林になってしまいます。雑木林は雑木林として、竹林は竹林として維持していくことで、そこに棲む生きものたちの多様性が保たれ、豊かな自然と呼べる環境が維持されるのです。


次回の活動について

8月23日(日)

雨天時中止

10:00〜12:00

鴨池の生態系保護区にて

水質調査、水生昆虫・水生植物の観察、トンボ観察、肉食甲虫の観察など

「昆虫大好きの君も、水質調べに参加したいあなたも、いざ鴨池へ」

9月 5日(土)

19:30〜21:30

定例ミーティング

けやきが丘集会所

9月 6日(土)

雨天時は13日(日)

10:00〜12:00

鴨池公園クリーンアップ散歩

「気がついたことなんでもやりますday!」


 cygnus@mvb.biglobe.ne.jp