今年は、養護学校教育の義務制の施行から20年になります。すべての障害児に義務教育が保障されたことによって、年々、義務教育後の後期中等教育(高等部・高校)ヘの教育要求が高まっています。全国的には、障害児学校の高等部への進学率は9O%を超えましたが、まだまだ障害の程度や種類によっては、充分な選択肢があるとは言えません。今号では、障害を持つ生徒の後期中等教育を中心に取りあげてみました.
Q:市立・県立・国立・私立で違いはあるのですか?
A:学校教育法71条の規定により養護学校高等部は「高等学校に準ずる教育』をする学校で、文部省の定めた指導要領もありますから、原則的には同じです。ただし、私立は一般高校と同しようにかなり独自性がありますし、国立大付属は大学研究に協力することも目的にしてあり、新しい試みに積極的と言えるかもしれません。
A:学習指導要領に基づいていますから基本的に同じですが、作業学習の内容や、グループ分けの方法、課外活動の内容などは、各校特徴があります。ちなみに、みどり養護は教科によって必要に応じてグループ分けし、場合によっては学年を超えてグループ化しています。高津養護は、学習集団を三つに分けています。
また、市立の中でも高等養護は、中・軽度の知的障害児のニーズに対応するため設立された学校である事から卒後の就労に力を入れています。
A:市立高等養護と横浜国立養護は11月、私立聖坂養護はl2月上旬に入学選抜があります。
他の養護学校は、2月上旬に行われますが一校に希望者が集中し定員(受け入れ可能数)を上まわり、不合格者を出さざるを得ない事態にならないように、事前にいろいろ御相談させていただいております。お子さんの状態や通学時間等のことを考慮して進めますので、学校参観や教育相談を十分していただきたいと思います。
A:学校教育法では「小・中・高校に特殊学級を作ることができる」となっていまずが、日本国中どこへ行っても高校に特殊学級はありません。理由は、小・中学校とは違い、高等学校の場合は、学習指導要領に基づいて教育課程を編成できるという規定がないためです。
A:津久井方面については、測量調査に入っています,
県立高校の再編成に伴い統合される高校がいくつかあります。その跡地利用について各方面からの提案が出されている段階ですが、教育庁としては、川崎北部(柿生高)と横浜南部方面に養護学校の新設を考えています。とはいえ、まだ計画に入ったわけでもなく、再編成の実施が5年後ですから、その後の整備になります。
中・軽度の知的障害者を対象とした単独高等養護学校で、教育目標に「健康・自立・就労」を柱として掲げ、積極的に社会参加できる人間の育成を行っています。カリキュラムは教科学習・作業学習・進路学習(現場学習)などの領域を合わせた総合的、体験的な指導が行われています。卒業後は企業就労を目指す生徒が多いため、進路指導に力が入れられているのが特徴といえるでしよう。2年生になると、校内現場学習(1学期1週間、2学期2週間、3学期1週間)と現場学習(3学期1週間)が行われます。1年生での労働週間(普段の授業を作業に代える。各学期1邁鴫)をもとにして、2年時ではB校舎を工場と見立て、生活・作業をします。玄関も普段の昇降口からではなく、一日がタイムカード押しから始まり、作業終了後はタイムカードき押して帰るといったように実際の職場に近い雰囲気で行われています。こういう体験を積み重ねて3年生では、現場学習(各学期に3〜4週間)へと企業や授産所へ出ていきます。
市立高等養護生母(加賀原)
地下鉄弘明寺駅から地上に出ると、すぐ学校の入り□が見つかります。乗り換えなしでセンター南駅から40分の秉車時間はちょっと長いけれど、乗り換え時の混雑を考えると、とても魅力的な通学です。
校内にはいると広い校庭、i macが並んだパソコンルーム、ホ−ムページには学校紹介をはじめ行事の様子がいろいろ…
この学校は、大学の教膏研究科の計画に基づき、児童や生徒の教育に関する研究に協力し、学生の教育実習の場でもあるということです。したがって年間き通じて、多くの学生の姿が見られます。個別指導計画(IEP)に基づいた指導の実践が研究の主題で、ひとりひとりの個の充実、生活の質の向上を目指した取り組みが行われています。
小学部21人、中学部21人、高等部36人の構成で本年度の高等部外部生の受け入れは5名だそうです。
在籍奢が少ないということは、学校行事等に親の協力が多く求められるということでもあります。障害児の親は子供のためとはいえ、いつまで協力しなければいけないのか…との叫びも聞こえそう。
中学3年生母(中川)
作業学習の内容
@作業班及び主な作業内容
木工/プランターボックス
陶工/湯飲み・さら
コンクリ―ト/平板・縁石ブロック
縫工/テーブルセンタ−
織物/バスマット・小物入れ
紙工/はがき・カレンダ一
洗濯/衣類・台布巾
農園芸/野菜栽培
A「現場学習」等
・2年次は、秋期現場実習として2週間、校内及び企業での体験実習
・3年次は、春期現場学習 3週間、企業での見極め実習及び施設での体験実習。
秋期現場実習3週間、企業での入社実習及び施設での体験実習
必ずしも全員参加(強制)ではありません。希望の生徒が参加します。
担当の先生はボランティア的な参加になりますので、同好会の内容も必ずしも毎年同じではなく、その年、その年のメンバーによって多少変わります。
みどり養護を選んだのはとにかく一番通いやすいことと、のんびりした雰囲気が子どもにあっているなという印象によるものです。それでも、自宅から学校へ着くまでに、バス〜東急〜JR〜バスというコースで、一人で通学できるようになるのに20日くらいかかりました。どの親御さんもそうするように、初めは付き添って、慣れてきたら陰に隠れて後を付けていく、という探偵もどきの経験もしました。
学校生活は同好会(和太鼓)にハマっていて楽しそうです。同好会は盛んな学校とそうでない所があるようで、これも「先生の熱意頼み」という現実があるからなのでしようか?我か子の場合は和太鼓のない高等部なんて、、です。(みどり養護・高2生母)
養護学校か義務化されたとき、何がなんでもつくらねば、と空いてる土地に建てたから……と思いたくなるくらい、どの養護学校も不便な所にあります。
知的障害を持つ生徒の場合、原則として小学部・中学部の時のように送迎バスは利用できません。高校生になった途端、遠くの、時にはいくつもの交通機関を使って、毎日養護学校へ通うのですから一大事です。社会自立のためとは言え、この急激な変化に対応させる事と、三年間続ける事の負担が親・家族に大きくかかってきます。一人で通学できるようになるまで親が付き添って練習しなくてはいけません。また、どうしても一人通学は無理な場合、「空き」があれば送迎バスを利用できることもあるようですが、親が送り迎え(多くの場合車で)をしているケースも少なくありません。そして現実には、親か病気や用事の時は学校を休むことになるのです。
肢体不自由に生徒については、自宅近くにポイントまで送迎バスがきます。
ポイントまで―というのか楽ではない場合も多く、身体が大きくなるにつれ「たいへんさ」は増す一方で、自力通学の生徒とはまた別の問題を抱えています。
新しく計画されている(といってもずいふん先の話のようですが)養護学校も都筑区からは不便なところ。鶴見養護学校は地下鉄4号線が開通すれば少しは通いやすくなりそう。それにしても、横浜市内に1l校しかない養護学校、せめてもっと近くに造っておいてくれたらよかったのに,,,
神奈川県内の私立養護学校は、学校法人聖坂養護学校だけです。
学校法人聖坂養護学校 横浜市中区山下町140
横浜駅より市営バス/横浜駅、磯子駅、京急屏風ガ浦からスクールバス/男女共学/本科3年(30名)
卒業希望により専科2年(18名)/キリスト教精神を基盤とする/知的障害の生徒が対象/交流学習/ショ−トステイケアあり/社会福祉法人聖坂学園と連携
青葉コース |
青葉区松風台48-15 |
教育委員会認可の「技能教育施設」/星槎国際高校との連携(通信制)で高校普通科卒業資格取得/3年生/学習障害と軽度の知的障害の生徒対象 |
楠の木学園 |
港北区小机町2482-1 |
「学習障害」や知的障害、不登校、中退生など/少人数クラスで一人一人の個性を大切に/中学卒業前後の子ども対象/本科3年卒後希望により専科2年 |
星槎国際高等学校 |
緑区十日市場町1726-4 |
広域通信制高等学校で、北海道芦別市にある本部校と横浜市などにある学習センターでフォローアップ/学習障害のある生徒にも対応/単位制 |
この他にも小さい規模のフリースクール等があると思います。いずれ特集したいと思いますので皆さんからの耳寄り情報お待ちしています。
「学校」以外の選択 一例として、神奈川能力開発センターをご紹介します。
職業訓練法人神奈川能力開発センター 伊勢原市日向496(小田急伊勢原駅よりバス)
職業自立に向けての技術訓練や生活習慣などの体得、就職促進を目標とする/15〜20歳くらいまでの知的障害者が対象/全寮制/2年間/問合せは公共職業安定所、福祉事務所
障害児教育にかぎったことでなく、個人が必要とする教育を、それをサービスできる「場」から受けるという、柔軟で、多様な教育システムをつくっていく必要があると感じました。
私の長男は知的な障害を持つており、市立中学校の特殊学級に通っています。家族は、妻と高校生の長女の4人暮らし、私は会社員です。
今年8月20日、妻が突然入院することになりました。私の職場の人達、長男が参加させてもらってる訓練会の皆さん、地域の学校の先生やご父兄方、そして親戚から多くの支援を受けましたが、仕事をしながら、妻のことで病院を訪ね廻ったり、子どもの世話や家事を続けていくことは非常に困難でした。
妻の入院後、訓練会の方から横浜市には在宅障害児緊急一時保護制度というのがあることを聞き、妻とも相談をしてこの制度を利用することにしました。申し出ると、受け入れ施設から「必要持参品リスト」が送られてきて、それをそろえるのに訓練会の皆さんにほとんど手伝っていただきながらも、前日の夜中3時までかかってしまいました。
9月1日付で「在宅障害児緊急一時保護申請書」を提出し、同日長男とともに横浜市北部児童相談所を訪れました。そこで健康診断を受けた後、相談調整係の方と中学校の担任の先生と一緒に泉区にある受け入れ施設に向かいました。
施設を訪れて、正直言って唖然としました。そこは子どもが人間らしく過ごせる場所には見えませんでした。本来18歳未満の子どものための施設であるはずなのに、18歳以上に人がたくさんいて、昼間から時間と身を持て余しているようでした。一部屋に4人が入っていて、各部屋と入所棟の出入り口は外に鍵がついています。 夜間の職員は一人だそうで、同施設からは、夜間に何か事故が起きても十分な対処はできないことを、あらかじめ了解してほしいと言われました。また、この施設は緊急一時保護はするが、預かった人を寮育する施設ではないので、施設外の学校に無理して通わせることはしないし、施設内で学習させたりもしないとの説明も受けました。
私が施設の様子を見て愕然としていると、施設職員から「子どもを預けるところが他にないからここへ来たのでしょう?いつたん申請しておきながら、申請者側から入所を断るのなら今後は入所を受け付けない」といわれました。
結局、私たち夫婦は長男の入所を断る形になりました。現在、子どもたちの世話は、訓練会の方達や親戚のおかげで何とかやっておりますが、私にも、また支援して下さる方たちにも負担が大きく、このままの状態を維持していくことは困難です。緊急―時保護申請をして分かったことは、この制度は実際には使えないということでした。
(青葉区・男性・48才)
「ぐろ―いんぐ」としても課題をいただいたわけですから、今後学習や調査をし、いずれご報告したいと思っています。