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発行日:1999/6/1発行責任:グループ「ぐろーいんぐ」

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障害児の子育て

 障害を持っている子に対しても、子育ての基本は同じと言うけれど…でもお母さんの悩みはつきません。そんなとき、相談に乗ってくれ、具体的な指導・支援をしてくれるところや、親たちが自主的に行っている活動があります。

 生来、障害を持って生まれてきたお子さんや、保健所の乳幼児検診などで、ちょっと心配だなと思われるお子さんに対して、相談や診断・指導をする公共施設や病院、民間のクリニックがいくつかありますが、今回は、その中から都筑区葛が谷にある横浜市北部地域療育センターと、お母さんたちが自主運営している地域訓練所を取りあげてみました。


横浜北部地域療育センター

 横浜市は、障害児地域総合通園施設構想(昭和59年)に基づいて、心身の発達に障害があったり、その心配がある子どもやその家族に、専門的な療育とそれに関連する支援を総合的に行うことを目的に、市内10ヵ所に地域療育センターを設置する計画をたてています。財政的な事情により、当面は市内6ヵ所(1/人口50万人)となり、現在、南部・戸塚・北部・中部に設置され、将来的に、西部・東部に整備する予定です。

 北部地域療育センターは、平成6年1月に設置され、青葉区・都筑区・緑区を管轄しています。主として学齢前の子どもを対象として

 ●相談部門

 ●診療部門

 ●通園部門(知的障害児、肢体不自由児)

以上3つの専門的機能を持ち、障害の早期発見から一貫した総合的なサービスを行っています。このため、保健所の健診事業は全国的にも高いレベルにあり、早期発見、早期療育の道筋が整っていると言えます。

 北部地域は、他に比べ5歳以下の人口が多<、センター利用の待機者が多<います。学齢前だけでな<学齢期のフォローの問題、潜在化していた軽度の障害の子ども達への専門的な対応への二―ズも年々高くなつてきています。このような現状をふまえて、センターの機能を充実すぺ<努力をしています。


利用システムの一例

 

1歳6ヶ月健診(保健所)

早期発見

・親が子の障害を疑っているか
 承認している。
・子どもの障害が明確。





↓ 

要フォロー

・親が認識していない
・子どもの障害が疑わしい。


療育相談(保健所)

保健所とセンターのスタッフによる相談「診察、心理評価、親との面談」

↓ 

北 部 地 域 療 育 セ ン タ ー

外来


たまごグループ (3ヶ月週1回)
(経過観察)必要に応じた療育・支援を決定


通過

(通過部門)

 知的障害児施設(定員50名)と肢体不自由児施設(定員40名)を一体化して運営しています。年少から年長まで11クラスあり、1クラス子ども6〜7名、担任2名で、現在132名通ってきています。クラスは同じようなタイプの子どもで編成してあり、子どもの障害の状況によって週1〜5日の通園に別れています。幼稚園と併用して通園している子どもが約4O%います。

平均釣な一日の流れ(知的障害)

AM 9:45 登園(持ち物整理、コミュニケーションなど)

  10:20 〜朝の集まり、園庭(動的なプログラム)

  11:00 おやつタイム

  11:l0  〜日替わりプログラム

    ☆教材・製作・音楽・サーキットのいずれか

  11:30 〜自由遊び(給食の用意)

PM 0:00〜給食、歯磨き・着替え(個別に指導)

  1:30 降園

    ☆年中・年長は火・土は2:30降園

    ☆家事プログラムが入る

★肢体不自由児の子どもの場合はもっと個別のメニュー


障害児地域訓練会

  障害児の保護者等が自主的に組織し、地域において、いろいろな目的を持って活動しています。

【主に都筑区の親子違が活動している自主訓練会】

調練会名

活動日時・場所

活動内容

あおぞら会保青部

火・土 10:00〜13:30
港北区障害巻地域活動ホームしもだ

生活訓練、リトミツク、乾布摩擦、散歩、手遊びなど

あおぞら会汽章ボツボ

月 15:30〜17:30
  横浜ラボール
水 15:00〜17:00
  高田小学校
火(第一)16:00〜17:30
  活動ホームしもだ

水泳

体操

オイリュトミー

おひさまつ子水泳部

月2回 2時閏/回
  子供の杜、ラポール

水泳教室
勉強会、合宿、バザー等

<じらスイミング

月4回

水泳訓練、余暇活動

らっこグルーブ

木 15:30〜17:00
  北部プール

水泳
 (ボランティア募集)

とまとのおうち

第1・3月 1530〜16:15
第2・4月 15:30〜16:15
第3土 13:00〜4グループ
     (各20分)

体操
リズム
音楽

バナナのおうち

火 10:00〜13:00
  川和福祉会館

手遊び、つむぎ、体操

 お母さんの生の声が聞きたい!というわけで、
 現在「とまとのおうち」で活動していらっしゃるIさんとMさんにお話をうかがいました。

 Q:「とまとのおうち」はどうやって作られたのですか? また、どんなお子さんが通ってきているのですか?

 A:代表が年々替わっているので詳しいことはわかりませんが、最初「バナナのおうち」ができて、「とまとのおうち」「ペンギン(今年から)」と必要に応じて作ってきたそうです。それぞれ、年齢によって保育部、就学部、学校部に分かれていて、現在「とまと」には幼稚園、北部療育センターの通園施設、保育園に通っている発達に遅れのある子ども達が15名参加しています。

 Q:どんな活動きしているのですか?

 A:私たちは子ども達が生き生きとした活動ができるようになることを目的としています。体操、リズム、音楽も一つの道具だと考えています。ですから、母子で楽しく参加できることが一番大切だと思っています。

 Q:以前は、調練会というと何か調練して教え込む、治療教育とかいうイメージがありましたが、お母さん連はあまりそういう部分を望んでいないということでしようか?

 A:「とまと」に関してはそうだと思います。特に私たちの子どもの場合は、ほとんどが通園施設に週1〜5日と通っている子が多いので、そこでの指導でよいと思いますが…

 A:親子でホッとする時間・場、それでいて横のつながりがほしいという発想で作られたと聞いています。親の会もあり、勉強会・親睦会などの行事もしています。
学校部が今年から分かれたのも、子どもの数が多くなったこともありますが、ニーズから考えても「とまと」の活動内容とは少し違うのがよいのではということで、行事中心プログラムのものになるそうです,

 Q:今、考えていること、不安に恩うことがあれば教えでFさい。

 A:よく話しにでるのが兄弟関係です。もちろん親は分け隔てなく愛情を注いでるつもりですが、やっぱり障害のある子に比重がかかってしまい、気がついたら兄弟に我慢をさせてしまいがちです。兄弟児で悩んでいる先輩のお母さんから、そんな話を聞くと不安になります。いつかどっと問題になってしまったりして…

 A:来年、学校に入学します。自閉症の子どもの状態から養護学校を選ぼうとは思っていますが、そうすると、地域とのつながりが希薄になるでしょう。最近ノーマライゼーションとか共生の社会を目指そうといわれていますし、もっと子どもの障害について地域のみなさんの理解を求め、私も何か努力したいとは思うのです。しかし、上の子のPTAで役員をしようと思っても、障害をもつ子の送迎時間があるし、一人で留守番させるのも心配だし、会合に連れて参加というのも難しいし… それで、近所の関わりはどうしても消極的になってしまいます。なかなかチャンスがないんです。

         

 今回は、2時間程いろいろなお話をして下さいました。その中で特に心に留めておきたいところを抜粋してのせさせていただきました。お二人ともすでに、お子さんの障害を受容なさって、子どもの状態に合う環境や対応を大切に考えて、前向きに生活していらっしゃるのが素敵でした。また、訓練会も子どものための活動だけでなく、親同士の情報交換や心のオアシスになっている要素もあり、必要な活動だと思いました。


“名簿”について、ちよつと一言

 ☆中学校の入学式に一人だけ名前が読み上げてもらえなかつた。

 ☆クラス懇談会の名簿は 最後の欄にポツンと我が子の名前が…

 ☆クラスの遷絡綱に名前が載っていなくて、クラスからの連絡がこない。

 ☆卒業式の受付名簿に我が子の名前がない。

 どれも、特殊学級に在籍している子どもをもつおかあさんの経験です。どうしてこんなことがおきるのでしょうか。もちろん故意でなされていることではありません。ちょっとしたミスや名簿の取り扱い方によるものなのです。

学校の名簿には、公簿・出席簿・保健簿があって、用途によって使い分けられています。みなさんが懇談会などでよく目にしているのは、出席簿です。この出席簿(準公簿)の記載の形式は各学校に任されています。バリアフリーの意識から、特殊学級の子ども達も、交流学級の出席簿にあいうえお順に記載する学校が出てきているのも事実です。

一緒に授業を受ける時間、一緒に活動する時間においては、特殊学級の子ども達も通常学級の一員のはずです。名前がその学級にあることで、本人の意識、まわりの子ども遠の認識も違うのです、自然なかたちで学級にとけ込めると毎日が楽しく過ごせるはずです。

パリアフリーの第一歩は名簿からと思うのですが…みなさんは、いかが融われるでしようか。


保育所・幼稚園
   障害を持つ子どもたちは……

 まずキホンのキから‥保育園、幼稚園と言っても運営形態によりいくつもの種類があります。下表は都筑区内の保育所・幼稚園ですが、右端欄は園に対する行政からの助成・加配 (保母の増員)下線は今年度助成の対象となる障害児か在籍している園です,(斜体は昨年度実績)

公  立

中川西 勝田  みどり
大熊
  茅ヶ崎 茅ヶ崎南

・障害児が3人在籍する場合
  保毎(3フ.5時間/週のアルバイト)
  が一名増員できます
・障害児が1〜2人の場合
  保母(30.0時間/週のアルバイト)
  が一名増員できます

認 可

川和  第二しらとり
中川  池辺

あおばチャイルド
第一シープ
仲町台もみのき
池辺しらゆり
マミーベアーズ
メロディ仲町台
メロディ中川
ピッコリーノ
ポピンズナーサリー
アンダンテ

障害児1人に対して

 75,800円/月

私 立

金の星
港北
すぎの森
荏田南
横浜みずほ
都筑が丘
都田
池辺しらゆリ
エクレス
やまた
かちだ

<県より> 
・法人運営で障害児が3人以上
 在籍する場合   
  1人に対し76万円/年 
・法人でない場合または、
 法人運営で障害児が2人以下の場合
  1人に対し38万円/年

<市より> 
 障害児一人に対し23万円/年
*障害児の認定基準は県市で若干異なる

……結構あるモンだなあ、と思います。横浜市は1986年から1994年までの9年間保育所を一ヶ所もつくちず、人口か急増した都筑区では特に幼稚園不足、保育園不足が顕著でした。2〜3年の間に公立保育園か3ヵ所新設され、また横浜市独自の基準での認可を受けて「横浜保育室」かl0ヵ所、さらに私立保育園が来年春開所予定となっています。とはいえ、入園待機者数はあいかわらず日本一で、さらに「保育園に入れたら再就職したいンだけど」という潜在的待機者はかなりの数に上ると思われます。

 さて、こんな厳しい幼稚園・保育所事情のなかですか、障害を持つ子どもたちも元気に通園しています。

公立保育所 今年度の在籍者総数(都筑区全体)は24名。昨年度までは、受け入れ指定園(大熊、みどり各園でした)しか障害児を受け入れていませんでしたか、現在どの保育所でも障害児を受け入れています。障害児何名までという特別枠はありませんか、申し込みの前に福祉保険サービス課に相談することとなっています。

 通常の入所の審査のほかに福祉事務所が調整委員会を持ち、必要に応じて観察保育を行うこともあるそうです。あくまでも「集団保育になじむお子さんか対象(入所案内)」となっていますが…

私立認可保育所 今年度障害児が在籍しているのは川和保育園だけです。他の保育所でも受け入れないわけではなく、希望があれば、保護者と十分話し合って、それぞれのケースに対応している(中川、池辺各保育園)そうです。それとは対照的に川和保育園では、あずかる前から保護者と話を詰めておくというより、子どもの様子を見ながら保護者の希望を聞いたり、園の考え方を話したりして信頼関係をつくっていくということです。

 

 保育所で障害児を受け入れる場合、前頁の表に記したように市からの助成で保母の増員ができますが、とても十分な手当てとはいえません。障害児3人に一人の保母と言っても年齢も、障害の程度も違うわけで、もう少し「手」があれば、と現場の悲鳴も聞こえてきます。

 地域療育センターとの「かけもち」は現在のところ、制度としては認められていませんが、ケースによっては週に2日程度通園が認められる場合もあります。保育所と療育センターの連携がもっともっと進めば、障害の重い子どもたちも保育所でたくさんの友達と接することがきるのですが。

横浜保育室 横浜市の保育所不足を一時的に解消するための「緊急保育計画」の一環として、1997年創設されました。いわゆる無認可保育所であっても、市が独自に定めた基準を満たしていれば助成か受けられるというもので、全市で100ヵ所、都筑区に10ヵ所あります。都筑区の場合ほとんどが駅前、ピルの一室型です。

 「すべての施設で障害児を受け入れます」とうたっており、助成もされていますが、その対象となる障害児が在籍している保育室は区内にはありません。保育室のそのものか、3歳未満(2歳11ヶ月まで)の子どもが対象で3歳児健診前ということもあり、援助が必要な子どもであっても助成の対象か否かが難しく、また助成を受けたとしても3歳になったら打ち切りという現実かあります。実際にボーダーの子どもや、3歳以上の子どもを受け入れている保育室もありますが、経営者の熱意だけが頼りという状態です。

幼稚園 横浜市の幼稚園はすべて私立ですか、いわゆる「統合保育」は時代の流れ、横浜市幼稚園協会の方針でもあり「門前払い」ということはありません。「統合保育」の受け止め方は園によってずいぶん違いますが、受け入れの方針は健常児か、障害児ではなく、園の保育方針や保育内容かその子にあっているかどうかを保護者の方と十分話し合って‥、という園がほとんどです。保育所と違い、たいてい北部地域療育センターにも通っています。

 幼稚園への公的助成は、保母の増員ではなく運営の助成という形なので、受け入れている園でも増員ばせず、一人の先生でみられる範囲、つまり一クラスに一人程度までというのが現実の受け入れの基準になっているようです。

 

 幼・保時代は一にも二にも「手」さえあれば「統合保育」は難しいわけではありません。その「手」を助成だけに輯るのではなく、父母やOBの父母のボランティアで補っている例もあります。今回は総論だけに終わりましたが、今後、受け入れ園の実例など追々ご紹介していく予定です。


青葉区の生涯学級に参加して

咋年に引き続き、障害についての8回の連続講座です。

 障害児を持つ若いおかあさん達

 ボランティア活動に参加している人たち

 青葉区以外の参加も多く、多彩なメンバー構成に驚きました。

 初めての顔合わせにもかかわらず、どのグループも話が盛り上がっていました。

 その中で、みなさんからでた話題をほんの少し…

◇我が子の障害ということについて家庭内では受け入れているつもりなのだが、外に対しては自分自身の中でまだ抵抗があるみたい

◆自閉傾向のある子ども達にも、もつと理解が深まつてほしい

◇病院や施設では多<の障害児・者とふれあうのに、身近な地域ではほとんど接することがないのはどうしてなんだうう? 障害をもっている人にとっては、まだまだ出づらい社会なのかしら?(看護婦さん)

◆子どもが障害をもって生まれ、初めて障害ということに向き合うことになりました。今まで受けてきた教育の中で、社会の中で障害ということについてほとんど何も知らないことに、気づかされました。障害について語られたり、障害児と接することが当たり前の社会で、育ってこられたらよかつたのに…

◇先輩のおかあさんの話がいういう聞きたい。

◆特殊学級と養護学校、どうしよう。地域で育てたいけど、うちの子にはどこの学校が―番あっているのかな−

まだまだいろいろな声がありました,