女子高生の神戸連続殺傷事件論(きったきよこ)


  こんにちは。きよ子と名乗る者です。勝手に名乗ってます。
 私が何故「きったきよ子」という仮名にしたのかと言いますと、特に
 意味は無いんですけど、家で洗濯物を干しているときに洗濯用のハン
 ガーに「きよ子・きった」と書いてあったのを見つけて、誰が書いた
 のか判らないんだけど使わせてもらったという次第です。きよ子(本
 物)って誰なんだろう・・・というわけで深い意味はありません。
すいません(^。^;)謝りついでに、今回のハナシは結構真面目だ
 と断っておきます。内容重いです。何せテーマが「神戸連続殺傷事件」
 ですからね。これにつきましては、回数をテーマ別にわけるかもしれ
 ません。結構複雑な問題なんで。
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  <神戸小6殺害時件>
  *5/24に土師淳君が行方不明になり、27日。切断され
           た頭部が友が丘中学の校門前に放置された。
  *5/29、午後6時。被害者の通夜が営まれる。NHK、事件に
   配慮して教育テレビの番組延期を決定。そして被害者の頭部に
   えられていたメッセージの全容が判明する。
   −さあゲームの始まりです          +
   + 愚鈍な警察諸君 ボクを止めてみたまえ  + 
   + ボクは殺しが愉快でたまらない      + 
   + 人の死が見たくて見たくてしょうがない  +
   + 汚い野菜共には死の制裁を        +
   + 積年の大怨に流血の裁きを        +
   +      SHOOLL KILLER  + 
   +            学校殺死の酒鬼薔薇−    
   (この声明文はテンポが良く普段から詩を書き慣れている人間だと
     分かる。第2の犯行声明文も細部は一貫していないものの
                      まとまりがある−きよ子)
  *6/4、午前11時神戸新聞社に声明文が届く。独特の字体で
   「ボクはこのゲームに命をかけている」「もっと怒りと執念を持って
    ボクを追跡したまえ」などの文体。ご丁寧に前回の声明文が読み取
    りにくかったようなので、と全く同じ内容の手紙も一緒に送ってく
    る。(しかしここで「一緒に送る事にしました。」とわざわざその
    手紙も同封しおまけにここだけ敬語になっているところが律儀だな
    あと思った−きよ子) 
  *6/28午後7時5分、近くに住む市立友が丘中学3年の男子生徒を 
   殺人・死体遺棄の疑いで逮捕した。
  *7/18容疑者の自宅から押収された「犯行メモ」の全文が明らかに
   なる。<愛する「バモイドオキ神」様へ>で始まる日記である。
   これによって3月に発生した小学生女児2人が殺傷された通り魔事件
   との関連が色濃くなる。    ・
                  ・
                  ・  
         事件の名称が「神戸小6殺害時件」から「神戸連続殺傷事件」に切り
  替わった。私がこの事件をずっとテーマにしなかったのは、一部の情報
  や噂だけで全体を把握するのは危険だと感じたからである。今となって
  も、少年が犯行に及んだ本当の目的は分かっていない。神戸地倹は7月
  25日、犯行の動機について「祖母の死をきっかけに死への関心を持ち、
  人を殺してみたいという欲望を持った」との見方を発表したが、怪しい
  ものである。(小6男子殺害の取り調べに対して少年は、「殺したいか
  ら殺した」と言ったらしい)同日、容疑者の少年に対し神戸地裁は観護
  措置を決定し、身柄を神戸少年鑑別所に送った。観護措置は4週間以内
  で、その間家裁での調査、審判手続きが行われる。
    ・家裁は、精神科医らに精神鑑定を命じ、場合によっては容疑者の
     男子生徒を鑑定のために病院などに留置させることができる。
    (観護措置期間中に留置が決まると、観護措置は一旦取り消され、
     更新期間が残っている場合は鑑定終了後に再び措置決定する事も
     あり処分の決定はその分遅れることになる<保護観察・教護院
     などへの送致・少年院への送致など>。)   
  *しかし精神鑑定については、思春期で発展途上の精神段階である少年
   に対してどこまで正確な診断が下されるかが問題になっている。
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  >と、いうわけでこれが大体現在にいたるまでの事件の経過です。
    私はこの事件について、犯人と年齢が近いこともあって非常に
   興味を抱いています。私は自分なりにこの事件について関連する
   事柄を調べ、身近な例などもあげて凶行に及んだ少年について、 
   <14歳という年齢の特殊性・少年と宗教観・学校教育や教師と
    の現代中高生の関わりや家庭での教育問題など>についてを考
   えていきたいと思います。(ちなみに私が中学3年の時に関心が
   あったことの一つに現代の教育問題があげられます。「今の中高
   生はヤバいな」、と前々から懸念はしていました。私って、自分
   の立場を当事者と言うよりは客観的に見つめていることの方が多
   いのかも。)
   −で、今回は(前置きが長くなりましたが)「14歳という年齢
    の特殊性」についてです。私も結構、14歳っていうのは特別
    だったなあと思っています。私が以前読んだ小説に、今回の犯
    人と似通った部分のある少年が出てくる話があって、同じよう
    に少年法について考えさせられたところもあったので抜粋した
    文章を載せてみることにします。(これって著作権とかの問題
    があるのかな?)

  

  <あらすじ>
  船乗りに憧れる13歳の少年、登は同時に「人間の無用性」や生き
 ることの全くの無意味などについて論じ合う6人の少年グループのメ
 ンバーの一人である。登の父親は亡くなり、母親の房子と住んでいた
 のだが、ある日母親は船乗りの青年・龍二を家に連れてくる。そして
 二人の関係は深まり、それをはた目からみていた登は・・・

   

 /「君は人間の考察にまだ甘いところがある」と13歳の首領は冷たく
   言った。
  「僕たちにできないことは、大人たちにはもっとできないのだ。この
   世界には不可能という巨大な封印が貼られている。それらを最終的
   に剥がすことができるのは僕たちだけだということを忘れないでも
   らいたい。」

*6人の少年達は6人とも、自分を天才だと確信していた。そしてある日、
  「首領」は<猫を解剖>する。(小6殺人犯の少年も、普段から小動物
  を解剖したり、猫の舌を切り取って瓶にいれては友人に見せていたとい
  う)

 /首領は前々から、世界の空洞を充たすためにはこんな行為が必要なこと
  を主張してきた。ほかのどんなものでも埋められない空洞は、殺すこと
  によって、丁度鏡が一面の亀裂に充たされるような具合に充たされるだ
  ろう。彼らは存在に対する実権を握るだろう。
   登は思い切り仔猫をふり上げ、材木の上へ叩きつけた。指の間にはさ
  まっていた温かく柔らかなものが、空気を切って、飛び去るのはすばら
  しかった。しかし指にはまだ、柔毛の感触がほのかに残っていた。
 「まだ死なない。もう一度」
  と首領が言った。五人の少年は、物置の薄闇のあちこちに、裸のまま、
  動かぬ目を光らせていた。

 /「僕は殺したぞ」と登は、ぼんやりと、遠い一つの手が自分に真白な
   賞状を渡してくれるところを夢見た。「僕はどんなひどいことだって
   やれるんだ」   
   首領はぎしぎしと手袋を脱ぎ、白い美しい手で登の肩にさわった。
  「よくやった。君はこれでどうやら、いっぱしの、まともな人間になれ
   たんだよ。・・・それにしても血を見ると、何て気分がせいせいする
   んだろう!」

 *そして登は、憧れていたはずの船乗りの青年に対し、次第に失望を抱き
  始める。彼は母親から龍二と再婚するということを告げられ、そのこと
  を仲間に告げると首領は龍二を「処刑するしかない」といいだした。
   殺人を犯すということに、さすがにためらう仲間達に対し、首領は−
 /「ちぇっ。そんなこったろうと思った。ふだんは偉そうなことを言って
   いても、いざとなると、からきし意気地がないんだ。安心させてやろ
   う。そのためにこれを持って来たんだ」
   そういうと、自分の鞄から樺色の六法全書を取り出して、目指す頁を
   器用にめくった。
  「いいかい。読むから、良く聴くんだぜ。
    刑法四十一条、十四歳ニ満タザル者ノ行為ハ之ヲ罰セズ。
   大きな声でもう一度読むよ。十四歳ニ満タザル者ノ行為ハ之ヲ罰セズ」
  彼は六法全書のその頁を、五人の少年に廻し読みさせながら、言葉を継
  いだ。
  「これが大体、僕たちの父親どもが、彼らの信じている架空の社会が、
   僕たちのために決めてくれた法律なんだ。この点については、彼らに
   感謝していいと僕は思うんだ。これは大人たちが僕らに抱いている夢
   の表現で、同時に彼らの叶えられぬ夢の表現なんだ。大人たちが自分
   で自分をがんじがらめにした上で、僕たちには何もできないという油
   断のおかげで、ここにだけ、ちらと青空の一トかけらを、絶対の自由
   の一トかけらを覗かせたんだ。それはいわば大人たちの作った童話だ
   けど、ずいぶん危険な童話を作ったもんだな。まあいいさ。今までの
   ところ、何しろ僕たちは、可愛い、かよわい、罪を知らない児童なん
   だからね。・・・」

 *そして彼らは自分たちの隠れ家のある山に龍二を連れていく。(これも
  通称「タンク山」で淳君を殺害した容疑者と似通ったところがある。
   登は龍二に睡眠薬入りの紅茶を手渡し、それを龍二が飲み干したとこ
  ろで物語は終わる。少年達が殺人に成功したかどうかはわからない。寸
  でのところで怖くなってやめてしまったのかもしれない。作者自身も、
  そんな簡単に殺人を犯せる子供なんていないと思っていたのかもしれな
  い。だが事件は実際に起きているのだ。
それは思春期の人間に希にみられる激しい社会への敵愾心もあるのだ
  ろうし、今回の少年の場合ホラービデオによる猟奇趣味的傾向の延長も
  あるのかもしれない。学校への反発心は、あとから起こったものだろう。
   元から少年の内にはそういった猟奇趣味的なところがあったのではな
  いかと私は思う。(同じようにホラービデオを幾多の少年が見たからと
  言って、その全部がその傾向に走るとは思えないからである)そして祖
  母の死にしろ、家庭環境にしろ(私は当事者の周りの人間ではないので
  詳しいことは分からないが)それらが微妙に関係しあって少年の人格が
  次第に曲がった方向に形成されていったのではないかと思われる。
   それから私が注目しているのは、数年前の「阪神大震災」である。
   私は、彼が小学校6年の時に経験した大震災についてある程度影響
  力のあるP・T・S・Dを発症したのではないかと思うのです。
   カウンセリングは充分に行われたと報道されたが、少年は自分が心に
  傷を負っていることを知られたくなかった、または自分自身心の傷に
  気づかなかったか何かで、充分なカウンセリングがなされなかったのか
  もしれません。私はあの大きな自然災害が発展途上の少年の精神に全く
  影響を及ぼさなかったとは考えられないのです。
   注)P・T・S・Dとは・・・Post−Traumatic
                  Stress Disorderの略。
                (日本名−心的外傷後ストレス傷害)
                  個人に、自我が対応できないほどの
                 強い刺激的な体験が与えられ、その結果
                 精神的な打撃を被った(トラウマ)後も、
                 それを夢の中などで再体験したり、外傷
                 と関連するものを避けたり、持続的な不
                 安、不眠等を示す状態が1ヶ月以上も続
                 続する状態。

  *言い忘れましたが、引用文は三島由紀夫の小説「午後の曳航」です。
   彼も祖母の死をきっかけに大量の詩を書き始めたと言われています。
   今回の事件で現行の少年法が問題になっていますが、日本よりも少年に
   対する処罰が厳しい国は結構あります(10歳で刑事責任を問われる所
   もあるらしい)勿論少年法だけが問題だとは思えませんが、今の中高生
   の中には、「−歳以下だからなにやってもいいんだ」という考えの人も
   いるから、ここのところ中高生による重大な犯罪が増えているんじゃな
   いかと思います。



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