故郷にて
by 陽奈
最終訂正日 2005年 2月11日
ときめき
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まだ逢わぬ人に話すよ我が過去をビールの苦きがのどに滲みおり
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たわいなきことを語れる君がいてこのひとときの永きを願いつ
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夏祭り今夜は少し甘えたし浴衣姿の我を見てほし
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逢いに行く小さき手鏡の我の目に心変わりのなきを問いつつ
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携帯の声にはずむよ我がこころまだ見ぬ君が近しと思えば
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地下鉄の窓に映して髪に手を君待つ駅はあと二つ先
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携帯を握りて一晩迷いおり返事待つ君ありと思えば
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逢えばまた次にと思い煩えば更に虚しき日々や過ごしぬ
5月16日 故郷にて詠める
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ひさかたの故郷にありて我思う いずこがうたかた時は流れて
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亡き父は逞しきままそこに居る故郷の卓袱台母の傍ら
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故郷の家は昔のそのままで父は居ませり母のかたわら
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ひさかたの故郷の家は母一人老いたる姿見るは悲しき
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故郷のかしましく暮らした我が家には思い出を守る母ひとりあり
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テレビの声人の語らい船の声ざわめきつぶやく我にひそかに
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いっちゃんか 昔の呼び名で我を見る 思い出さないその人の名は
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桟橋より手を伸ばせばそこにある 我が生まれし島は遠くて
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したたかに降る雨よ時を押し流せ 母と娘は今老いていませり
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バナナ一本少しでいいねと分けて食べ 違う時空を生きこしふたりは
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故郷は温かきがゆえ我ひとりこらえきれない寂しさを噛む
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