紫苑の花
by 夕海
最終訂正日 2005年9月22日
2005.9.1
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宿題の終わらず登校ギリギリに仕上げる我が子始業式の朝
9.3
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おだてられ二週続けてスパゲッティミートソースの土曜日の昼
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夏休み気分の抜けず一日中ゲームと漫画我が子も我も
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台風の運びし故か南より生暖き風木立ちを揺らす
9.4
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大会に出場する子を送り出し奉仕作業に我等は急ぐ
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校庭の草払わんと一掴み紫の花見えて鎌止む
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水泳の会場で見る背泳の息子の姿少し大きく
9.5
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ゆっくりと円を描いて近づける14号の瞳も大きく
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大急ぎ荷物片づけ倉庫へと押し込み過ぎて入り口塞ぐ
9.6
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画面より被害を報らす中継に言葉も呑みてただ見入るのみ
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濁流に流されし家バラバラに数分前の生活ありしも
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明日からは修学旅行に行く我が子今日は自宅で待機してをり
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雨風に萎える気持ちを立て直し職場に行けば休日となる
9.7
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重たげに膨らむバッグに詰め込むは着替えとタオルとワクワク感と
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父母を乗せて海辺の病院へ車で向かう台風一過
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眼前に赤き橋見ゆ病室は船と車の往来多し
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体内の石は割れずに痛みのみ遺して父は一泊入院
9.8
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人々の交通安全祈りつつ全国廻るキャラバンを待つ
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待ちかねし父を迎えに病院へ行けば次回の入院告げられ
9.9
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久々のフランス料理とお喋りを堪能されし愉しき時間
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お土産は紅芋饅頭一箱と二泊三日の短き感想
9.10
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台風の戻って来たかと思う程激しき風雨と雷光る
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籤引いて二等を当てし我が子かな衛星放送我が家にも来る
9.11
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鎌持ちて奉仕作業に出かけても手ですぐ抜ける雨上がりの草
9.14
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初秋の夜妖しく匂い音は無く月下美人はくっきりと咲く
9.15
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休み取り入院支度の父を連れ病院行けど日程変更
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入院は窓際がいいと語る父母まとめた荷物解かず帰る
9.16
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叱られてさっきまで泣く男の子乳母車押し涙乾かす
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献立を数ヶ月分チェックして我が侭言ひて会議は終わる
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夕暮れを窓の外見て感じつつ交通安全語るを聴きぬ
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内緒だと言いつつ教えるネズミ獲り残念ながら我が家とは逆
9.18
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泣きながら「一人じゃできない」片づけをとうとうキレて我も手伝う
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十五夜にお団子作れとせがまれて月も見ぬままフルーツ白玉
9.19
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幼き日見た海はまだそこにあり増えし陸地が年月教え
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あの頃は何ともなかった通学路今は車で上るも疲れ
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初めてのデジカメプリント父母のため月下美人と蘭とを贈る
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車停め田圃の中をカメラ持ち首撮る為に我が子と歩む
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水の中石かと紛うタニシあり嫌がる我が子の掌に乗す
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