紫苑の花



by 夕海


最終訂正日 2005年9月8日




    2005.7.1

  1. チラシ持ち風船持ちて行進す子等の演奏先頭にして

  2. 小雨降る梅雨の午後にも楽器持ち歩む子等の背健気に見ゆる

  3. 各校のプライド見えつつそれぞれの特色語る代表者かな

    7.2

  4. 我が歌に似たるを見つけコメントす袖擦り合うもマラソンランナー

  5. 土砂降りの雨を潜りて山越えぬ「どこかに止めて」と我が子言いつつ

    7.3

  6. 早く着き校門潜れば我が子より文句言われて言い訳できず

  7. 始まりの時刻に強く降り出しぬ雨も止みたり奉仕作業

  8. 鎌を持ち数人ずつに固まりてお喋りしつつ時計を睨む

    7.4

  9. 淡々と本は読みても我が子の眼批評家に見え気になりており

  10. 声聞かぬ日々の続いて消息を尋ねてみれば入院と知る

  11. やっぱりねそんな答えを予期していたと口にはせねど反論もせず

    7.5

  12. 初めてのクラスに並ぶ子等を見て先生に見られ緊張し読む

  13. 嫌がりし嬰児負ひて部屋を出て廊下を往復重くなるまで

  14. 「おしっこ」と言ひし男の子のズボン下ぐ何時の間に履く普通のパンツ

    7.6

  15. 教室の最後列に座す息子読み進むうち最前列に

  16. 担任の居る前でつい自らを「先生」と言う職場のつもりで

  17. 雨上がり陽を受けながら研修へ行けば我等の仲間が多し

  18. 珍しき『他己紹介』をさせられて場も解れたり研修会場

  19. 明日からの二夜は会議で潰れるとエアロビ休みビール飲む我

    7.7

  20. たなばたに「たなばた」の本読む朝のとき天の川さえ良くは見ずとも

  21. 旧友のHPを見ていると嬉しくなりぬ「大人になったね!」

  22. 多過ぎの児童と保護者に驚きててんてこまいのビーズ教室

  23. 会議より帰宅す我に息子言ふ明日は朝から仕事の依頼

    7.8

  24. 昨日見た交通事故の当事者を助手席に乗せ職場へ向かう

  25. 被害者も加害者もまた知る人の事故は聞いても後味悪し

  26. 連日の会議に呼ばれ出席す昨日と同じ顔ぶれ並ぶ

    7.9

  27. 雨音と朝の光に目覚めればあまりの激しさ眠気も飛びぬ

  28. ひびの入る足をギプスで固定されベッドに独り座る友は寂しげ

    7.10

  29. 雲低く山の頂すっぽりと隠して我の行く手も見えず

  30. 雨音に対抗せむと川の水威張り散らしてぶつかり流るる

    7.11

  31. 10人の幼き人と一日を過ごせば我が子の大人びて見ゆ

  32. 唐突に変更さるる予定かな講演会を諦めて行く

  33. 時間なく慌てる我に何時になく電話は多く時計を睨む

  34. 思うより少なき数の参加者に説明する側気落ちしており

  35. 我が子には志望校にはあらざれど気持ち傾きしめしめと思う

    7.12

  36. 場違いな会議の出席後悔す代理の必要感じぬものを

  37. ビデオ借り見たくもあれど我が姿写ると知れば見る気になれず

  38. 嬰児と一対一でふたりきり抱いて背負いて懐かしき時

    7.13

  39. 我を見て人見知りする児を抱けば泣き声更にオクターブ上ぐ

  40. “しゃべり場”に集いし母は十人で男性教諭身を縮めおり

  41. 何よりも気になる話題進学はそれぞれ違い収拾つかず

    7.14

  42. 新しき折り方習ひ熱帯魚団扇の海に泳ぐを楽しむ

  43. 地区よりの役員候補選出はくじ引きとなりやっと決まりぬ

    7.15

  44. 米5キロ明日のため買う娘への手土産として担いで行かん

  45. 仕事とはひと味違う検診の手伝い何度行っても慣れず

    7.16

  46. 以前とは違う道行きまたしても迷路を探す娘のアパート

  47. 開演の時刻間違え早く着き差し入れ求め駅まで歩む

  48. 舞台にて演技する子は活き活きと自分の世界を輝かせおり

  49. 突然に現る役者に握手されわけもわからず息子驚く

  50. 整列しお客見送る列の中娘にひとこと「おつかれさん」と

  51. 駐車場探す時間を無駄にして急ぎ見つける展示会場

  52. ワープロの文字と筆字の歌並び「港」を詠う表情様々

    7.17

  53. じりじりとプールサイドは日に焼かれ我等も水に入りたくなり

  54. 忘れたる予定を聞きて大急ぎプールを後に研修に行く

  55. 息子よりリクエストありシルバーのクロスを作る練習台に

    7.18

  56. 梅雨開けていきなり真夏の雲は立ちクーラー全開車も家も

  57. 回覧の本をようやく読み始めあっという間に読み終わりけり

    7.19

  58. 午後からの仕事と続く会議あり朝の間にカレー煮込みぬ

  59. 出勤し勤務表には知らぬ間に丸ひとつ増す我が名の下に

    7.20

  60. 壇上で発表途中に携帯のベル鳴り話す忙しき人

  61. 子育ての研修会にパソコンの操作を習うも消化不良で

    7.21

  62. 昼寝どき我の眠気を飛ばさんとお遊戯室でストレッチする

  63. それぞれの今の性格掴めても昔を聞けば意外にも思う

    7.22

  64. 縫い物の苦手な我の針箱に中身はなくて息子のを借り

  65. 冷房の図書室に集う保体部員子等の使いし給食着チェック

    7.24

  66. 照らさるる畳の熱に耐えかねて買い求めたるよしず3枚

  67. 出場の決まり早速電話あり募金集めに保護者も熱く

    7.25

  68. 歌作る意欲もなくて読書して転寝すれば奇妙な夢見る

  69. 転寝の畳の跡を頬に付けチャイムの音に目を覚ましおり

    7.27

  70. 高校のオープンスクール始まりて選択肢ひとつ消す息子かな

  71. 最終の研修となり企画書のプレゼンテーション早口で済ます

    7.28

  72. 夕立を思わす雨のひとしきり降れば花々くっきりと咲く

  73. 宿泊の会議の多く行けぬ我忸怩たる思いすれど断る

    7.29

  74. 偶然に子等の計画聞かされて付き添いて行く他校の校舎

  75. 夏休み自由研究する子等に振り回されてアッシーとなる

  76. 大会も翌日となりこっそりと見学する気で音楽室へ

  77. コーラスの練習をする子等の眼の輝きを見る歌をバックに

    7.30

  78. 朝起きて弁当みっつ作り終えギリギリになる集合時間

  79. コーラスの応援せんとバスに乗る子等と一緒に遠足気分で

  80. バスの中友と語りて二時間余諫早の地は雨も上がりぬ

  81. 同じ曲歌う各校それぞれにカラーのありて審査は難し

  82. 七人の男女の作るハーモニー最少人数生かし聴かせる

  83. 出場の全校生徒はステージに上がりて歌う心を通わせ

  84. のびのびと笑顔で歌うステージはこれぞ青春歌で爆発

  85. 練習の甲斐あり見事に手に入れし盾は銀でも心には金

    7.31

  86. 前日のビデオ見つつの感想は「どうしてあそこが金を獲るかな?」

  87. 玉響と名付けしメルマガ編み続け一年半の時を重ぬる

  88. 歌詠みを重ねて一瞬(ひととき)立ち止まり振り返り見る玉響の数

    2005.8.1

  89. 友よりの電話でわかる出勤日本人知らぬ間に決められ

    8.3

  90. 貸し切りのバスに乗せられ連れられて海を讃える集いに交じる

  91. 三階の席より遙か見下ろして尊きお方のアップは映像

  92. 白きゆり一輪咲ける舞台上雲上よりも人目を集む

  93. 故郷の海の碧さを思い出す歌碑ある山の蒼さ懐かし

    8.5

  94. 真夏日にプールサイドのテント下小さき陰を頼りて動かず

  95. 大声で注意をしても知らぬ顔職場の子等が天使に思える

  96. 汗だくの掃除の途中気になりて投稿葉書先に投函

  97. 担任の話し始めしすぐ後に我が子帰宅す家庭訪問

    8.6

  98. 橋を越え絵本の集いに参加する気乗りのせざる息子と共に

  99. 名のみ知る作家の声で自らの絵本を読めば感激新た

  100. 時間なく会場後にし直行す帰省の我が子迎えに行くため

  101. 買い物は食料品とビール二種娘の好む銘柄を知る

    8.7

  102. 定刻になりても揃わぬ人数に嫌な予感の地区レクレーション

  103. 山ほども残る昼食分け合いて持ち帰りてもまた売れ残り

  104. あれこれと物色しては目移りし娘は選ぶ銀の扇風機

  105. 駐車場車を停めし階忘れ一階毎にエレベーター降り

  106. 子ども等とカラオケ三昧楽しみて笑い転げて過ごす二時間

    8.8

  107. 振り返る我が目に見えし軽トラは娘を乗せて長崎へ行く

    8.12

  108. 船内で物落ちるを見てガッカリと宇宙飛行士帰還を語りぬ

  109. 空見上げ星より外の物見ゆる時代はそこまで進化しており

  110. 昔観た映画と音楽思い出しHALの存在なきこと祈る

  111. 8月は涙と祈りの時多く無念の想い推し量るのみ

    8.13

  112. ふた組の兄第のみの園児いてお盆の一日仕事となりぬ

  113. お昼寝の間に学ぶ折り紙は虫と動物何匹もでき

    8.14

  114. 花と鎌バケツに入れて墓参り急勾配の階段見上げ

  115. 寄る度にテレビ観戦少しずつ結果を知るはちゃんぽん屋にて

    8.15

  116. 子等と乗る車の中で黙祷す終戦記念日長き一分

    8.16

  117. 職場より「今日は休み」の報らせあり朝九時半の電話連絡

  118. 毎年の恒例になるイベントで丸太船漕ぐ夏の陽浴びて

  119. デジカメを構えて地面に正座して見上げる花火音まで愉し

    8.18

  120. 夢の中何かを潰し目が覚めてじんと痛んで現実と知る

    8.19

  121. 朝一の寝起きの声の娘より昨日の事件の詳細を聞く

    8.21

  122. 大雨に秋を感じる朝なれど晴れては暑く真夏日のまま

  123. 面影も忘れし幼子成長し金髪ピアスの高校生なり

  124. 百均のレジ打つ知り合い避けたくて混雑を待ち隣りに並ぶ

  125. 宿題にペットボトルが今日要ると2本の中身は別に移せり

    8.22

  126. 折り紙と空き箱使い半日で水族館を息子と作る

  127. 久々に平日の午後のんびりと何するでもなき時間を流す

    8.23

  128. 卓球に明け暮れたりし二年半焼き肉食べて日程終了

    8.24

  129. 朝一でオープンスクール行く息子我の仕事に合わせて早出

  130. 本人の寝た後にくる大会の出場要請代理参加で

    8.25

  131. 雷と雨の音して目覚めれば火事のサイレン追い打ちをかく

  132. 会場の場所がわからず彷徨えば到着遅れ競技見逃す

  133. 訪問は予定外にて姿なく夜逃げの如き娘の部屋は

    8.26

  134. 「休みでもつかまらないね」と言う母は父の入院我に話せり

  135. 指を折り二学期を待つ我ひとり仕事なき時子等に使われ

    8.27

  136. 校長と元校長の懇談会終わりし後は酒宴となりて

  137. 帰り道元校長のふたり乗せ遠廻りして送り届けり

  138. お駄賃のカボチャと酒宴の残り酒懇談会の収穫とせり

    9.1

  139. 宿題の終わらず登校ギリギリに仕上げる我が子始業式の朝

    9.3

  140. おだてられ二週続けてスパゲッティミートソースの土曜日の昼

  141. 夏休み気分の抜けず一日中ゲームと漫画我が子も我も

  142. 台風の運びし故か南より生暖き風木立ちを揺らす

    9.4

  143. 大会に出場する子を送り出し奉仕作業に我等は急ぐ

  144. 校庭の草払わんと一掴み紫の花見えて鎌止む

  145. 水泳の会場で見る背泳の息子の姿少し大きく





Return to the うたのページ 

TOP