あをもじ2005-X
夕海
最終訂正日 2005年10月31日
2005.9.1
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宿題の終わらず登校ギリギリに仕上げる我が子始業式の朝
9.3
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おだてられ二週続けてスパゲッティミートソースの土曜日の昼
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夏休み気分の抜けず一日中ゲームと漫画我が子も我も
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台風の運びし故か南より生暖き風木立ちを揺らす
9.4
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大会に出場する子を送り出し奉仕作業に我等は急ぐ
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校庭の草払わんと一掴み紫の花見えて鎌止む
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水泳の会場で見る背泳の息子の姿少し大きく
9.5
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ゆっくりと円を描いて近づける14号の瞳も大きく
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大急ぎ荷物片づけ倉庫へと押し込み過ぎて入り口塞ぐ
9.6
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画面より被害を報らす中継に言葉も呑みてただ見入るのみ
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濁流に流されし家バラバラに数分前の生活ありしも
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明日からは修学旅行に行く我が子今日は自宅で待機してをり
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雨風に萎える気持ちを立て直し職場に行けば休日となる
9.7
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重たげに膨らむバッグに詰め込むは着替えとタオルとワクワク感と
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父母を乗せて海辺の病院へ車で向かう台風一過
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眼前に赤き橋見ゆ病室は船と車の往来多し
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体内の石は割れずに痛みのみ遺して父は一泊入院
9.8
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人々の交通安全祈りつつ全国廻るキャラバンを待つ
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待ちかねし父を迎えに病院へ行けば次回の入院告げられ
9.9
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久々のフランス料理とお喋りを堪能されし愉しき時間
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お土産は紅芋饅頭一箱と二泊三日の短き感想
9.10
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台風の戻って来たかと思う程激しき風雨と雷光る
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籤引いて二等を当てし我が子かな衛星放送我が家にも来る
9.11
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鎌持ちて奉仕作業に出かけても手ですぐ抜ける雨上がりの草
9.14
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初秋の夜妖しく匂い音は無く月下美人はくっきりと咲く
9.15
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休み取り入院支度の父を連れ病院行けど日程変更
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入院は窓際がいいと語る父母まとめた荷物解かず帰る
9.16
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叱られてさっきまで泣く男の子乳母車押し涙乾かす
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献立を数ヶ月分チェックして我が侭言ひて会議は終わる
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夕暮れを窓の外見て感じつつ交通安全語るを聴きぬ
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内緒だと言いつつ教えるネズミ獲り残念ながら我が家とは逆
9.18
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泣きながら「一人じゃできない」片づけをとうとうキレて我も手伝う
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十五夜にお団子作れとせがまれて月も見ぬままフルーツ白玉
9.19
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幼き日見た海はまだそこにあり増えし陸地が年月教え
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あの頃は何ともなかった通学路今は車で上るも疲れ
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初めてのデジカメプリント父母のため月下美人と蘭とを贈る
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車停め田圃の中をカメラ持ち首撮る為に我が子と歩む
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水の中石かと紛うタニシあり嫌がる我が子の掌に乗す
9.20
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三人の嬰児交互におんぶして寝かせて抱いて一日終える
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一歩二歩定まらぬ足踏みしめて彼は間もなく幼児をならむ
9.21
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窓ガラス熱帯魚消え秋らしくコスモスの花咲かせて華やぐ
9.22
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表彰は30分で終了し友と楽しむ自由時間
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昼食はお伽話のお店にていつにも増してのんびり語る
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仕事終え会議の前に電話あり不幸のあると欠席を告ぐ
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わかってはおれど較べる内容は去年と違う顔ぶれの差か
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「したくない」そうは言わずに様々な理由を並べ同意を得らるる
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会議後に個人攻撃する人は常に周りに敵を求める
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我等とて好きで役員しておらず変わって欲しいと思うこの時
9.23
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明後日に迫りし我が子の運動会片づけまでが我等の仕事
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秋分の日だというのにこの暑さ堪えかねクーラーつけし午後かな
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のんびりと溜まりし録画を再生し日本語学ぶ我が子と共に
9.25
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昨年の仲間に愚痴を言うあまり我が子の走りうっかり見逃す
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ダンスする児童の向こう遊ぶ子等我が子を含め見苦しきかな
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保育所の子等も来ており運動会来年からは小学生に
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おにぎりを食べる我が子に投げられし一番苦手な蜘蛛に驚く
9.26
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仕事中休憩時間にバス通り交通安全訴えて立つ
9.27
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子育ての十ヶ条なる宣言を選考す我は出さざりおこがましくて
9.28
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出勤し充血の目を指摘され眼科へ行けば休職告げられ
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嬰児とたまたま過ごす一日に接触感染知らず知らずに
9.29
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違和感とチクチク痛む左目は涙溢れてティシュ離せず
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お通夜にも行けずに友と相談し後日ひっそり行かんと決めたり
2005.10.1
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伝染るから駄目だと言いても来る子等に食事を出して良いかと悩む
10.2
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蟹カゴを一年ぶりに仕掛ければ漬け物石の如き亀おり
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カニ、エビとカメも泳げるこの川は小さく見えても豊かだと知る
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アンテナを付ける準備に板打ちていよいよ取り付け準備万端
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病にて応援行けぬ大会は我が子預けて家で留守番
10.3
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入院の当日蕾の膨らみて撮影任されカメラの準備
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三度目の正直これで済ませたき父の結石今度は取るるや
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今回も海を見下ろす病室で平戸大橋くっきりと見ゆ
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母からの「花が咲いた」の電話あり次男を連れて夜の花見に
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細かな字見づらくあれば第の字と弟間違い落ち込む夜中
10.4
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登校の息子と共に亀を持ち学校へ行く通学道路
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「撮れたね?」と我が身のことより気になるや月下美人に魅せられし父
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手術室ストレッチャーで運ばれし父を見送り母とドライブ
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手術終え医師の説明母と聞き体内の石砕けると知る
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朝昼晩食事抜かれて哀れなり食いしん坊の父に同情
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提出す書類を急ぎ書くために病院内の食堂借りる
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文化祭コーラス指導の先生と打ち合わせをする時は迫りて
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牛蒡餅お土産にして訪れて母の寂しさ涙で語られ
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夕方の小学校の理科室のガラスケースに亀は鎮座す
10.6
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アンテナは取り付けられて誇らしげ中のテレビは肩身の狭し
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パン買いに車走らす頼まれて稲穂色づく秋をドライブ
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校外のスケッチ大会学校は抜け殻となりしんと静まる
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お互いの近況報告しながらのかつての如きアッシーになる
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休み取り行くはずだった講座へも行けずに電話で注文のみする
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「カニ食べる?」水泳講師に尋ねれば「食べる」と答え取りに来させる
10.7
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涙して喉の痛みを訴える息子を連れて小児科へ行く
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たくさんの薬を貰い痛みよりブルーになりぬ息子の顔は
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受診して仕事の許可はやっと下り社会復帰の準備始めん
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午前中病院三軒ハシゴして我の日課はやっと終われり
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帰宅して電話を貰い学校へ熱の上がりし息子を迎えに
10.8
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入院の父を見舞いしその足でコスモス園へドライブとなる
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曇天の空の下でも濃淡のコスモスの花人を誘う
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遙かにはグレイに霞む水平線九十九島を雲に包んで
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蟹入れて持たせし鍋を返されてピカピカになり恥ずかしきかな
10.9
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休日のロビーはしんと静まりで灯りも暗く患者を待てり
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点滴も薬もなくて入院は石の出を待つことだけ課題
10.10
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病室を訪ねてみても姿なき父はテレビで野球観戦
10.11
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二週間休みし職場に復帰して感染源の子等と遊びぬ
10.12
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久々のエアロビ教室参加者のふたり増員会場狭し
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帰宅して我が子の怪我を知らされて片づけ始む今更なれど
10.13
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息子乗せ病院へ行くその帰り退院許可の父も乗せたり
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怪我の訳言う度我も恥ずかしく責任感じ身を縮めたし
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コーラスの打ち合わせして人数の確認すれば余りに少なし
10.14
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検診の手伝いしつつ友人と四方山話す仕事二の次
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参加者へ練習日程電話してピアノの伴奏OK貰う
10.15
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朝一の携帯メールは娘より誕生祝のメッセージかな
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年重ねめでたきこととは思わねど悪い気はせぬこの誕生日
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大好きな金木犀の香りして今年も年を取ったと実感
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手招きし愚痴言う友の困惑と我の悩みはシンクロしおり
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コンビニのデザート数種夫からのプレゼントなり減量中に
10.16
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地区に住む老若男女集い来て好きも嫌いもおくんちの日和
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去年まで共に歩みしお御輿を写真に納め見送りをする
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ボタ山に緑増やすと強制で集められたる町民あまた
10.18
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夜中まで鼻水出ては起こされて薬局へ行く出勤の前
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お昼寝の子等を寝かせる我もまた添い寝をしたき心地になりて
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合唱の練習せんと集いしはたった四人と飛び入りひとり
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鼻炎かと思へど喉も痛み出し身体はだるく風邪と確信
10.19
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エアロビを休むつもりが都合にて休講となり電話連絡
10.20
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待ちかねし宅急便は今日届き娘の気持ちやっと受け取る
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小道具も衣裳もできてあとはただ本番を待つお遊戯会は
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ゼロ歳児踊らなくとも衣裳着て舞台に立てば可愛くあらん
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精米所近くに出来て初めての今年の玄米持って訪れ
10.21
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だんだんと病院通いの増えてゆく親を思へば寂しくもあり
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暫くは行く事なしと思いたる海辺の病院また訪れし
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何枚も不祝儀袋を駄目にして香典包む友とふたりで
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花々の祭壇の中おだやかに生前のまま面影はあり
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忙しき日々の日課をこなしつつ不在の意味を人は知りゆく
10.22
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我が家では出しっぱなしの扇風機他所の家のを先に梱包
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毎週の如く集いし中学生ラーメン持参で可愛いくもあり
10.23
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右耳の痛さ耐えかね起き出して鎮痛剤飲む夜中の3時
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留守電の無情の声は休診を一方的に我に告げたり
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日曜の当番医院に電話して受診を願う内科なれども
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鉄製の古びた椅子に腰かけて耳を見らるる身を固くして
10.24
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4ヶ月ぶりの教室訪れて「けんたうさぎ」の二回目を読む
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我の読むお話し聞きて笑う子等勇気を貰いまた読まんとす
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先月の宿題せずに当日の朝から見直す会議の前に
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持ち寄りし宿題三枚だけを総合し全てを決めて会議は終わる
10.25
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改めて耳鼻科に行けば症状は思う以上に悪化しており
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耳の中薬液入れられ横たわる我が身は何故か円を描いて
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鼓膜切り膿出す音の不気味さに力の入り全身硬直
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保育所の馴染みの幼児とバッタリと病院で会う同じ病気で
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殆どのメンバー揃い合唱とダンスの練習次は本番
10.27
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音楽会会場入り席探す我に手を振る友も笑顔で
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伴奏のピアノの音も聴き馴染み生徒の声と一体となる
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声聞けばビデオカメラを持つ腕に鳥肌たちて感動再び
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画面にはいつもと違う我が子あり指揮見る眼差し本気とわかる
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客席に戻りし友の目に涙安堵の表情我も嬉しく
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無事終わり友とお茶する夕方のファミレス殆ど貸し切り状態
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愚痴言いて少しすっきりお互いにお喋りすれば心も晴れる
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初めてのマラソン参加し締め切りを目前にしてやっとゴールす
10.28
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病院のハシゴは耳鼻科と眼科にて目だけは治るひと月ぶりに
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文化祭ビーズの展示に友と行きひと足先の木彫を見る
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暗き場所急遽ライトを取り付けてやっとビーズは輝きてある
10.29
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久しぶり土曜出勤してみれば普段と変わらぬ騒々しさも
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先輩に買い物頼まれコンビニでデザート買いてこっそりと食べ
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文化祭息子の土産は一匹の金魚とピンクのビニール人形
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発表の舞台の前夜スーツ着てネクタイ締める練習する子
10.30
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秋の日の朝からテントに座り込み店番したる古本売りの
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知り合いの通る度毎声をかけ買ってもらいぬ半強制で
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前日の練習活かすネクタイでスーツ姿の息子は現わる
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指揮をする姿に成長感じられ画面と壇上交互に見おり
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伴奏の止まりし後も歌声は途切るる事なし最後の音まで
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子ども等に負けじと上がる舞台上先生達の笑いに負けたり
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クラスでも個人でも獲る金賞に笑いの止まらぬ担任であり
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長男の好きな刺身を一パック受賞を讃え買って帰りぬ
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帰宅して御礼の電話二件かけやっとホッとす打ち上げなけれど
10.31
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休日は病院通いと買い物と子どもに付き合いそれでお終い
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病院の待合い室で会う人は話せる人とそうでない人
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薬局で話す会話の面白く泡立ち草は此処でも悪者
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100円の金魚入れたる容器には八丁味噌のラベルの残る
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