あをもじ2005-II花



by 夕海


最終訂正日 2005年4月30日




    2005.3.1

  1. 幼子の喧嘩の仲裁難しく泣かれてしまふお昼寝のとき

  2. 我が指をずっと絡めて離さずにしゃぶる代りの玩具とする子

    3.2

  3. 題詠の始まりてすぐゴールあり我も慌てて一歩を記さん

  4. 明日までの締切迫り投稿の用紙を求めやっと送りぬ

  5. 2週間エアロビ行かず久々に身体動かし油注すごと

    3.3

  6. 曇天の空を見上げて恨めしく頭痛になるは気圧のせいと

  7. 家事もせずパソコンもせずひたすらに横になりても治らぬ痛み

  8. 最後まで居れるか否かわからねどビーズ習へば気持ち華やぐ

  9. 2回飲む薬を1回増やすれば効き目はありてスイッチ点ける

  10. 娘なく三月三日の意味忘れいつもと同じ桃の節句も

    3.4

  11. 会議中納得いかぬ発言もあれど黙して我は聞きおり

  12. ご馳走に飲まぬつもりが進められ酔はぬ程度にビール嗜む

  13. 久しぶり他校の校長話しする納得いかぬことなどこっそり

    3.5

  14. 弥生とは名ばかりならむ春の雪知らず知らずのうちに積もりぬ

  15. 雪積もり溶けて再びまた積もり繰り返しゆく春までの時

  16. 今日もまた会議あること思い出し急いででかける閉店間際

    3.6

  17. ぼたん雪音たてて降りじっとりと積もれば午後の日差しに溶ける

  18. テレビ見てビーズ作って買い物しそうして暮れゆく今日という日も

    3.7

  19. 親子共体調悪く折角の書店巡りも取り止めにする

  20. 役場にて旧姓で呼ぶ人もおり嫁か娘か混同するらし

    3.8

  21. 熱のある我が子連れ行き病院で測れば尚も上がりて驚く

  22. 点滴をすると言われて戸惑いし我が子は涙すベッドの上で

  23. 母を連れ急ぎ買い物済ませ後再び戻る処置室の中

    3.9

  24. 仲直り以前の如くおしゃべりを聞かせてくれるその子は4歳

  25. 子を残し実家に帰る母なれば「入院してる」と嘘をつきけり

  26. 遠足にお菓子の要るとメールありアド持たぬ友に電話で伝へり

    3.10

  27. 用紙なく机の上のパソコンとメモ書きのみで申告は済む

  28. 申告の会場に居る係り員見知った顔で気分は複雑

  29. 郷土誌は大きくなりて内容の違いは如何に目次だけ見る

  30. 心配な雨は上がりて遠足はうららかな陽の長串山まで

  31. 枝の先茶色になりたる杉の木を見ないふりしてひと山越える

    3.11

  32. 大急ぎ料理を終えて場所移動会議と講演続けてあれば

  33. ビール煮の肉より滲むほろ苦さ大人の味のハンバーグ

    3.12

  34. カットして色も染めたり美容院前に行きしは何時とも忘れる

  35. デジカメの前を左右にうろうろと友人夫婦に偶然に会う

  36. 数ヶ月待って購入デジカメは掌の中すっぽり収まる

    3.13

  37. 寒さ沁む弥生の雪は春を待つ我等の休日潰す如くに

  38. 吹きつける雪の冷たさ発表会に行く気も削ぐと娘は語る

  39. 初めてのオークションにて落札すLPレコード手元に届く

  40. もうすぐで仕上がる筈のドレッサー間違いありて作り直せり

  41. 満員の回転寿司屋の入り口で40分間お腹を騙す

    3.14

  42. 我が髪に「春が来たね」と言う人と「イメチェンですか?」と訊く人もあり

  43. 西の空青空見えて明るくて東は曇り雪の気配す

  44. 頼まれし買い物忘れ大急ぎ夕餉の支度中断し行く

    3.15

  45. 手伝いを頼まれ保育所はしごして倉庫の片付け汗かきてする

    3.16

  46. 暖かき春の海風吹く朝に中学生の巣立つとき見る

  47. 来賓の控え室とはいいながらお茶汲みすれば緊張もせず

  48. 壇上に上がる前から泣きべその答辞読む子にもらい泣きする

  49. 歌に寄せ心の内を全員で合唱する子等感動もらう

  50. 生活の態度も勉強せぬことも全て悪しきは我がせいになる

    3.17

  51. 役員の苦労を語る友達にあと一年に気は重くなり

  52. 本できて未だ手にせず子ども等の編む方だけが手元に届く

  53. 全員の合格聞ける我が息子テレビを減らすと今日は言ひおり

    3.18

  54. 余裕あり今日は泣かぬと思ひしが子等の決意を聞けば涙す

  55. 厳しさは愛情のためと言ひ切りて涙ながらに謝辞言う彼等

  56. 保護者より来賓客の多くあり見守る人の多さの故か

  57. 掃除して体育倉庫は少しだけ広くなれどもすぐ元通りになる

    3.19

  58. 園庭のジャングルジムより飛び降りて骨折するは友人の子

  59. 晴れた空飛行機雲のその先に輝く機体は音もなく飛ぶ

  60. 一日中園児と共に過ごす日は我が子の顔が大人に見えおり

    3.20

  61. のんびりと休みの時間満喫す静けさ壊す地響きの鳴る

  62. ガタガタと揺れし音聴き外を見て大型のダンプの姿を探す

  63. テレビ観て被害の様子鮮明になると怖さの徐々に湧き出ず

  64. 友ひとり博多に行きけり心配で携帯かけても永く通じず

  65. 初めての地震を感じこの土地もプレート上にあるを確認

    3.22

  66. 今風を嫌ふ人あり今風に少し傾く我に語れり

  67. 雨降りて倉庫の片付けできぬため並べ替へする紙芝居棚

  68. 焦りつつ溜まりし予定を消化する時間のなさは風邪のせいにし

    3.23

  69. 贈られし保育短歌と師の歌集重みを感じ背筋を伸ばす

  70. 来月は異動の辞令口頭で昨日までより子等の顔見る

  71. 大急ぎ会議に行けば課長待ち遅めに始まり早めに終わる

  72. コンサート着いて初めに聴こえしは「エリーゼのために」耳に馴染みの

  73. フルートの艶かしさにうっとりと聴き惚れており奏者も美人

    3.24

  74. 花束を取りに行くのも自分だと気付くの遅れ慌てて走る

  75. 空席を見ないふりして宴する去り行く彼等と別れの時間

  76. 様々な思ひもあらむ胸の内隠して集ふ保護者と先生

  77. 翌日も飲み会あれば2次会は遠慮し行かずカラオケボックス

    3.25

  78. 厨房は戦場のやうあたふたと慣れぬ作業に悪戦苦闘

  79. 幼児のお遊戯見れば可愛さもひとしおならむ我が子我が孫

  80. 「せんせいへ」と袋に書かれしプレゼント園児の手作り繭玉ひとつ

  81. ギリギリの時間となりてお迎へは行けぬと電話を息子に頼む

  82. 送別会その場で司会を頼まれて緊張すれば声も枯れたり

  83. じっくりと話をすればそれまでは知ることのなき本音も語れり

  84. 我が子との繋がり深き先生ともっと早くに語りたかった

  85. カラオケに行っても歌う人はなく時間を惜しみただ語るのみ

  86. 「今晩は遅くなる」とは言ひながら真夜中過ぎの帰宅になるとは

    3.26

  87. 月曜の卒園式の準備してレースのカーテンあちこちに吊る

  88. 遊技室人数分の椅子並べ保護者の席の多くとられし

  89. ここに寝た子どもがもうすぐ一年生学校にての再会待たれる

  90. 休憩の時間に帰宅し作りたる資料を見れば疑問の湧きぬ

  91. ギリギリに間に合う筈の予算書は実家のコピー機借りて印刷

  92. 引継も総会の途中紙袋一式の道具渡されしのみ

  93. 帰宅して喪服に着替へ通夜へ行くあまりに早きその死を悼みて

    3.27

  94. 雨の中公民館に集ひたる地区の人数年々減りおり

  95. 退院と聞いて自宅を訪ねれば元気の余る幼き人は

  96. 父親に抱かれて彼女はご機嫌で「飛んでいくよ」とはしゃいだ声で

    3.28

  97. 卒園の名残の花束脇に避け机を運ぶ新しき部屋

  98. 何年も仕舞はれしまま忘れられ陽の目を見るは捨てらるるとき

  99. 女性のみ働く職場のお茶どきはおやつの数も豊富なりけり

  100. お土産は卒園式の引き出物子ども喜ぶシュークリーム

    3.29

  101. 初めての朝から出勤ひとりだけ浮いてるようで落ち着かなくて

  102. 試し書きすれば使へぬペン多くビニール袋いっぱいになる

  103. 清掃車山と溜まりしゴミを載せ久しぶり見る地面は湿りぬ

  104. お昼寝で使う予定の毛布類子ども来るまで真空パック

  105. 仕事終え買い物行けば先輩の副会長に偶然出会う

  106. 離島へと単身赴任の夫追ひ船の旅すと友は語れり

    3.30

  107. 指示なくてかねて気になる紙芝居外箱の補修黙々とする

  108. 昼休み急ぎ帰宅し投稿の葉書を書きてポストへ投函

  109. 仕事終へピアノ講師を訪ねれば話し込むままなかなか帰れず

    3.31

  110. 長かりし手伝ひも今日遂に終え送別の宴飛び入り参加す

  111. 右からと左から聞く非難あり聞かぬふりして互ひに笑ふ

  112. 最後の日初めて子どもの世話をして保育所に居るをやっと実感

    2005.4.1

  113. 休みの日待ってましたと電話あり買い物行こうと二度のアッシー

  114. ひととせの今頃桜は満開に咲けど今年はやっとちらほら

  115. 乗車して窓は開けずにクーラーを点けて走るは四月一日

  116. 婦人会踊りの助手も息子連れハンカチ振りて「マツケンサンバ」

    4.2

  117. 友よりの作業の連絡受けたれど仕事のあれば引き受けられず

  118. 飲み会で作業はできぬと言ひづらく飴だけ買ひて後を頼みぬ

  119. 役員の前で踊れば「難し」と言はれて覚えし振りつけ変える

    4.3

  120. 突然に暗さを破る閃光と雷鳴ののち土砂降りの落つ

  121. 小遣いを使い果たして我が息子途中で電話す「迎えにきて」と

  122. 完成にあと僅かまで漕ぎ着けてワイヤー無くなりビーズは未完

    4.4

  123. 新しきスタッフとする初仕事庭の落ち葉を集めて捨てたり

  124. 新しき名札を付けられ晴れ着きて入園式のすまし顔かな

  125. 移動した部屋を再び模様替へ文句たらたら歓迎の宴

    4.5

  126. 担任が変わり慣れない子ども等にふり回されてヘトヘトになる

  127. 突然に職場にかかる電話にて呼び出されたる昔の職場

  128. 改まり応接室に通されて依頼されたる役職重し

  129. 歓迎会昨夜楽しく過ごしたる所長に起こりし不幸に驚く

  130. 異動せし教頭からの電話にて残りし我は連絡係り

    4.6

  131. 園児等を抱いて負ぶって遊びたり次々に来る小さき暴君

  132. 昼食のテーブルに乗る桜花ランチョンマットもお洒落に敷いて

  133. 泣き崩る若き夫人は声も出ず気丈に振る舞う父の無念さ

    4.7

  134. 着る服がなくて悩んで遅くなる痩せる決意はその時だけで

  135. ついあの日見せた涙を思い出に今日は輝く瞳で入学

  136. 打ち合わせあると言われて入室す校長室は煙にかすむ

  137. 去りて尚噂に上る教頭はある意味スゴイ人だと思ふ

  138. 3時間働くつもりが5時間のフルに伸びたり代理の先生

  139. 続け様亡くなる不幸何故か心の準備もなき死は辛く

  140. 新しき校長加わり初会議本はできても仕事は終わらず

    4.8

  141. ひらがなで書かれし園の連絡帳異国に生きる母の想ひを

  142. 母乳だけ飲みて育てる子であればゴムの乳首を嫌ひて大泣き

  143. 歌の載る冊子送られどの歌もさすがと思ひ選び難かり

    4.9

  144. そこここに花見の宴の輪はできて遅き見頃を楽しみており

  145. 投稿の添削ハガキは戻り来て全て直され載るには遠し

  146. 生若布湯通しされて鮮やかな緑に変わり歯ごたえ楽しむ

    4.10

  147. 満開の桜を濡らす大粒の雫は正に花散しの雨

  148. ひと月も放っておりぬHPデジカメ写真初めてUPす

  149. 題詠になればどうして若者の歌になるかを考えて詠む

    4.11

  150. 雨上がり日は射し始めど風はまだ冬の名残の冷たさ感ず

  151. 息子より「シューズ忘れた持ってきて」遠足なれば持って行かざり

  152. 集まりて修正シールを貼りながら四方山話に花は咲きをり

  153. 調子上げ流れ作業も慣れた頃シール無くなり明日に持ち越す

    4.12

  154. 飲み放題コーヒーもありおやつあり作業もありのふれあいルーム

  155. 指先は黒く染まりてつわを剥く友から貰ひて我は炊くのみ

  156. 撮り溜めのビデオを観ては時過ごす慌ただしき日々忘るる如く

    4.13

  157. 何十年立ちたる旧き廃屋もたった二日でサラ地になりぬ

  158. やむをえず休みしエアロビただ一度今日は腹筋8回もできず

  159. 我が家の屋根の真上のひしゃく星伏せておかれり使ひ終えしかも

    4.14

  160. ひっそりと隠しておりぬ紫の我が独り言遂に見つかり

  161. 初めての会議のメンバー顔見知り思ひし以上に発言多し

  162. 役員のやっと全員決まりしは総会前の打ち合わせ

    4.15

  163. ひと安心したと思ひし役員の選考難し波紋を呼びて

  164. アッシーになるを慣れても今日ばかり時間は無くて明日に延期す

  165. 総会は新たなメンバー増へたれど顔ぶれ揃わず挨拶できず

  166. 役員の選考方法変更を訴える声皆耳に届くや

  167. 合併の裏話聴く詳細は我ら町民何も知らざり

    4.16

  168. 体育館裸足で踊る我ひとり総練習の夜は冷えても

  169. 間違いの多き箇所では慎重に踊って間違ふ気の緩みしか

  170. メルマガを発行するも新しき手続き慣れず時間はかかる

    4.17

  171. 町長も県議も来たりページェントおばちゃん達に顔見せるため

  172. 会員にあらざる我もユニフォーム貰ひて踊る「マツケンサンバ」

  173. 間違ひもなくて終はりし振り付けは我等が一番自画自賛する

  174. 地震かと騒ぐ我等に担当者床のクッション強きを強調

    4.18

  175. つわ焚いた残りの汁で筍と若布を煮れば春てんこ盛り

  176. 偶然に出会ひし人の我のこと紹介するは「ダンスの先生」

  177. 猪の庭に入りたる痕跡は掘られし土と足跡のみで

    4.19

  178. 朝9時にピンポン鳴りて買い物に誘われし我いつものアッシー

  179. 「午後からも暇なんでしょう」ドライブは3年越しのケーキを食べに

  180. 遠足は常に変わらず長串山日焼けの顔で帰宅す息子

  181. 目的はケーキなりしやお喋りやただひたすらに噂話す

  182. 観光地なれど少なし人影は商店街もシャッター目立つ

    4.20

  183. 久々に文書く気持ちになる我に次から次へと雑事が誘惑

  184. 塀できて花飾らむと思いつき途中で今日も買い物に行く

  185. 作業ある連絡あれば山寺はいつにも増して賑やかなりけり

  186. 貸し借りを互ひに作り精算すチケット代と笛と漫画と

  187. 甘夏を使ひて作るケーキなりひとつ覚えも役には立ちけり

  188. 新旧の役員集ひ総会の打ち合わせする我も混じりて

    4.21

  189. エアロビの帰りに寄りて渡される「マツケンサンバ」のお礼のケーキ

  190. 三時間厨房係りと仕事場へ行けば代理の先生となり

  191. 十日ぶり職場に行くは照れあるも子等はすんなり我を受け入る

  192. 誕生会ご馳走食べ過ぎ顔面を蒼白にして洗面器持つ

  193. 急にくる仕事の依頼断れず着信履歴6回もあり

    4.22

  194. どこにても役員人事話題なり受けたる人も受けざる人も

  195. 身勝手なリーダーシップに反撃す友の話に胸はすきたり

  196. 緊張で喉は渇きて一杯の水を飲みたき会議の前あと

  197. 議長して脱力感と安堵感懇談会は上の空かも

    4.23

  198. 骨折の足のギプスは外されてこわごわ歩む幼き人は

  199. 会場に進みし我に携帯の鳴りて誘わるコンサートかな

  200. 数ヶ月ぶりに会ひたる懐かしき笑顔と歌声元気を貰ふ

  201. 童謡とクラッシックに聴き酔ひし楽しき夕べ瞬く過ぎぬ

    4.24

  202. 2年目を終えし息子の演奏は練習不足で見るに耐えざり

  203. 車でもバスでも行かず徒歩になる観光客の多き日曜

  204. 枯れ枝の杖をつきつつ登りたる長串山まで息も絶え絶え

  205. 満開のつつじを縫ひてふり向けば九十九島は春霞の中

  206. とりどりの色も鮮やか長串山太鼓の音も我等を誘ふ

  207. 前日はコンサートで来しレストラン今日は食事で賑やかなりし

  208. 来た道を下りは早く帰宅する渋滞の列横目に見つつ

    4.25

  209. ひっそりとスタッフ4人観客は5人のみなりアリスの部屋は

  210. 練習もせずにいきなり紙芝居大型絵本もぶっつけ本番

  211. 初めての運営委員会議あり未だ決まらぬふたりは空白

  212. プリントに弁当の日の書き並ぶひとつき5回は多くはないかい?

    4.26

  213. 一新す講座の初日気になりて参加をすれば意外に多し

  214. 顔ぶれも見知らぬ人の多くあり説明するはかつての倣ひ

  215. 土のなき我が家なれども講演を聴けば野菜もできる気になる

  216. 「送って」と「迎えに来て」が口癖の息子しぶしぶ歩いて往復

    4.27

  217. 紙芝居大型本を読む今日は見慣れた子等も観客となる

  218. 手品して内輪で受ける種あかし慌てる本人楽しむ我等

  219. 朝夕と二ヶ所で行う読み聞かせ反応違ひ読み手も楽し

  220. 予定なき2時間使ひドライブに連れて行きたり今日も突然

    4.28

  221. コロッケを取りにおいでと友よりの電話を貰う子を待つ時間

  222. 世間では黄金週間始まれど関係なき身の如何に過ごさむ

    4.29

  223. 雄大な九十九島の景色見る旗日の朝の全国放送

  224. レコード盤聴こうと手にす息子かな「聴く側どっち?」我に訊ねり

  225. 撮影に行かむと思ふ藤の花明日の一日散らずにありや

  226. 訪問は作り過ぎたる押し寿司の戸別販売農協婦人部

    4.30

  227. ほんのりと藤の香りに誘はれし蜂を避けつつ人も集ひぬ

  228. 藤の屋根潜りて歩む参道を抜ければ神の宿りし木のあり

  229. 幾百年藤をその身に纏はせて巨木は聳へり枝を広げて

  230. 紫も紅白もある藤の色その濃淡の色合い愛でる

  231. 鬼の蹴る眼鏡岩てふ穴ふたつ人の声せず深閑とあり





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