がじゅまる2005-V



究峰


最終訂正日 2005年 10月31日





    2005.9.11

  1. カトリーナのまさに襲ふを知りたれど貧しき人はなす術もなし

  2. アメリカの破壊の跡に蝶のごとひらひらと舞うナーバーが襲う

  3. 自家製のバナナジュースはどろどろと見目は悪けど甘露にありし

  4. 台風の過ぎし闇夜に鈴虫は常と変わらぬ声で鳴きおり

    9.18

  5. 人気なき潮騒聞こゆ草原に男と女ゴルフをしおり

  6. 草原に赤蜻蛉舞ひ蟷螂が飛び立つ中を磯に降り立つ

  7. 珍しき白き貝殻拾ひたり饅頭貝と思へど知らず

  8. 午後八時自民圧勝でがなりたつテレビに見入る総選挙の夜

  9. 一瞬の静寂崩れかしましく出口調査をテレビが報ず

  10. 臭いゆえ人に疎まるヒチクロの刺身で飲みつ選挙特報

  11. 生臭き故に嫌わるヒチクロを我のみ食べて旨しと思う

  12. 尾を振りて甘え食いする柴犬をからかひ撫でて時を過ごしつ

    9.25

  13. 透明の蒼きボトルの黒糖の焼酎飲めど味は変わらず

  14. 黒糖の焼酎飲むにオンザロックを止めていつもの果実割りかな

  15. 幼らが癒し系とぞ可愛がる柴犬モモは跳ねまわりおり

  16. あちこちで拡声器より響く声 秋空のもと島の運動会

  17. なす術も無きまま落ちる売り買ひに眠れぬ夜を人は過ごすや

  18. 急騰のあとに続ける急落はさらに嶮しく比例配分

  19. 有名と思ふ会社の様変わり時代が動き取り残されしか

  20. また一人かつてのカリスマ身罷りぬ栄華の夢を味わいし後

  21. ハリケーンに右往左往すアメリカはそれでも富みて未来もあらん

    10.2

  22. ガードレールを覆い隠して稲穂干す奥浦の秋まだ暑きかな

  23. 人影の見えぬ漁村の波止場にて波無き海をしばし眺めたり

  24. 青き波止我が知らぬ間に出来ており夏を休みしウォーキングかな

  25. 青き波止赤き鉄橋緑なる山を挟みて蒼き空と海

  26. べた凪ぎの青き海辺の久賀(ひさか)島白き教会がくっきりと見える

  27. 運動会の小学校の校門にコスモスならぬ秋の桜かな

  28. 大漁旗風に靡いて子どもらの歓声響く運動会かな

  29. にわか雨途切れて街にまた響く炎上太鼓の福江の祭り

  30. 大波止に向かう道路の街路樹に祭りを祝ふイリュミネーション

  31. 跳ね人らは若さの限り道中を踊り狂ひて太鼓もうなる

  32. 差し出さる振る舞い酒を味わひつ三人美女のパレード見ており

  33. フィナーレを飾る如くに秋の夜に大輪の花空を照らせり

  34. 窓辺にて眺む花火の色あいは画面と違いあざやかなりし

  35. この島に縁無きものと思いたる泡立ち草の群れ見つけたり

  36. 戸岐湾を巡りて歩む長コースに泡立ち草は未だ見えざり



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