がじゅまる2005-III



究峰


最終訂正日 2005年 6月30日





    2005.5.4

  1. 故里でどこへも行かずのんびりと連休終えて姪は帰りし

  2. 飛行場着くと行くとで賑わひしゴールデンウィークの只中にあり

    5.6

  3. 四つ切の夕陽の写真　古の絵葉書のごと時が止まりし

  4. 自家本の薄きに込めしそれぞれの想ひを我もつかの間持ちて

  5. 名のみ知る郷土歌人の歌集なり　歌で知り得ぬ生き様を読む

    5.7

  6. 母の日を前に集ひし子らを見て元気が出しや臥すことも無し

  7. 一筋に歌を詠みたる人々の残せし文は多くはあらず

  8. 凝縮し選び抜かれし言の葉は今だ縁なく我が歌軽し

  9. 言霊の熱気は失せど今も尚去りてはあらず歌は出来つつ

  10. この島に連綿として続きたる歌詠み人を我は見つけり

  11. 文と歌書きつ詠みつつ今日もまた過ぎ行くらんか変わらぬ日常

  12. 翁頭が遠くに見える吉田の里妹らが移る日も真近にて

    5.8

  13. ぐるぐると回りて探す空き場所に車押しこみ買い物をする

  14. 朝市の賑わひの中ほだされて次から次へ惣菜を買ふ

    5.10

  15. 人気無き長き回廊振り向かず福岡に戻る姪を見送る

  16. 連休も明けて寂しきターミナル改札場所に列は無かりし

    5.11

  17. 歌読みて初めて知りぬ汝が悩み風邪をひきしと思ひておりし

  18. 創世記よふやく終えて選びしは乙女の夢のあしながおじさん

    5.12

  19. 年経りて童に戻る叔母のため従姉が買ひし玩具様々

  20. 聞かざるが良きと思へる知らせのみ多くなり行く年を経たれば

    5.14

  21. 早朝に我が名を呼びて上がり来る母の姿に愕然とせり

  22. 人眠る頃に起きては何やらとごそごそしおる母の物音

  23. 本棚の奥より見つくペーパーバックすぐその後にアマゾンより来し

  24. タイトルも中味も同じ本なれど印象違う表紙の絵かな

  25. 歌人会明日に控えて如何なるや我に縁なく君は参加す

    5.15

  26. 歌人会楽しくありや伝え来る君のメールは弾みておりし

  27. 朝寝して思ひだしたり図書館で古き雑誌を放出せるを

  28. 図書館の小道に並ぶ車列見て狩りの本能湧き出る如し

  29. 人波の帰るも見える図書館に急ぎ足にて我も入れる

  30. 数多なる歌集を見つけ貰ひ受け箱より出して目と手で愛でし

  31. 我が好む本は人には見えずして我の来るをば待ちたる如し

  32. 赤茶けし児童向けなるブリタニカ今は要無く我が手元にあり

  33. 貰へども読まざるままになりゆくかそは知らねどもただ満足す

    5.16

  34. 青空に夕陽を浴びて群雲は瞬きもせず時を止めたり

  35. 5.17

  36. 残りたる本を求めるハイエナの如図書館に今日も行きたり

  37. 収穫を祝う心で帰りては持ち帰りし本暫し愛でたり

    5.21

  38. 一日に一冊ずつは読めるやと読書の後の一時思ふ

  39. 大型の汲み取り車が何台も並ぶ土曜の病院駐車場

    5.22

  40. 小雨降る日曜の朝　裏通り抜けて行きたりアイアンマン日

  41. 雨の中声援受けし鉄人ら街をバイクで走り抜き行く

    5.24

  42. 期待せし小さき夢が壊れし日日常の重み感じておりし

  43. 世の矩の何処にあるや見失ひ迷ふ心地のネットの時代

  44. 詠ふ間も無くて過ぎ行く時なりて底に溜まれる詠えぬ歌あり

    5.25

  45. 卒業の後に決まりし就職を苦労忘れて喜びてあれ

  46. 古里に近き大学病院にて歩を記しゆく検査技師となり

    5.28

  47. 歌詠むと決めたる心うち忘れ詠まざるままに今日も終わりし

    5.29

  48. 日曜の朝市に行き目移りてあれもこれもと指差しており

  49. メルマガの数を重ねて見ゑし峰思ひてあれば近くにならず

    5.30

  50. 読みふけり時を狂わす掲示板麻薬にも似る無気力の波

  51. 十日てふ時は短き　書き溜めしメルマガははや尽き果てんとす

    5.31

  52. ミシシッピの川辺に遊ぶ少年の冒険話今はいずこに

  53. 深爪の痛みに気づき目覚めたり人てふ者は弱きにありし

    6.1

  54. 黄一色の応援響く甲子園鷹は舞ひたるセパ交流戦

  55. 暗闇に灯りが見えて家主の長き旅路は終わりてあるや

  56. 夜明け前雨音聞きつ歌を詠むまどろむ夢に消えてゆきしが

    6.3

  57. 真紀丸をドックに入れて茶を飲む義兄の横には助っ人がいて

  58. 老人ら病気を語り尽きざりてコルステロールにはアボガドが良きと

    6.4

  59. 誕生日祝ふ暇なく日が過ぐとメールで語る予備校講師

  60. 仕事終えくつろぐ時は深夜なる予備校講師の時のずれかな

  61. 若者の職を辞めしと言ふ話今日も聞きたり珍しくなけど

    6.5

  62. 強風に右往左往す紅き花駐車場を風と走りおり

    6.6

  63. 休み日は文を書かずに過ぎ去れば遅き夜まで起きていたりし

    6.9

  64. 警官の姿を見てはいそいそと締めるベルトは効き目が無くて

  65. 歌詠むと漏れし名前の聞こえしや集金人の女が問ひし

  66. 老ひし母よふやく慣れて笑ひおりホームヘルパー来る初夏の昼下がり

    6.10

  67. 照明の器具なき部屋で捨てざりしスタンド灯る引越しの夜

    6.13

  68. 知らぬ間に近づきたりし千の峰足踏みしつつよふやく越ゑし

  69. 投稿も歌も忘れてひたすらに出すメルマガの記念の刻か

  70. 峰を越ゆ祝ひのカードくれし人交わすメールは稀になれども

    6.15

  71. 玉の緒を絶たねばならぬ苦しさを続けて聞くは不況の島よ

  72. 憎しみを子らに伝ゆを正義てふ国の姿は伝えられざり

  73. ブラインド揺らして鳴らす初夏の風冷たきあまり窓を閉めたり

    6.16

  74. 弁当を作りて急ぐ初出勤まだ見慣れぬ病院の景

    6.17

  75. 気侭なる歌詠みの日々に時として我を誘える人のあるらん

  76. 予期せざる葉書を貰ひ読み返す詠う刺激を呼び覚ますごと

    6.21

  77. 空梅雨の夏至の夕暮れ雲あれど雨は降らさず暗くなりゆく

    6.22

  78. 欲望の渦巻く中に委ねしを思い出したり相場加熱せば

  79. 又一人破産を告げて退くや夢の消えゆく現実の中へ

  80. 若きらが大金稼ぐマネーゲームを真か嘘か自慢しており

  81. 業績を無視して上がるその果てに夢の破れし人の屍

  82. 今日もまた淵を漂ふドコモ株ＩＴの鳥は舞ひてあれど

  83. するなよと我が云ふ言葉聞かずして好奇心にて買ひし人あり

  84. パチンコが生業なりや知らねども豪華なホールに島人集ふ

  85. 見渡せば友も妹らも宝くじ買ひてひととき夢を見ており

  86. 確率で当てると云ひし若者が夢を賭けるやロトシックスには

  87. 母宛に数億円をほのめかす海外メールを破り捨てたり

    6.23

  88. ひととせの昔に聞きし本のこと入りたりとぞ館員は告げし

    6.26

  89. 雨降ると予報は云えど降らざりて川底見えて空梅雨の夏

    6.28

  90. とつくにも日本各地も大雨が降るといえども空梅雨の島

  91. 夜中のみわずかに降りし雨ありて空は曇れど大地は乾く

  92. 決断と非決断の狭間にて一瞬の刻の高鳴り長し

    6.29

  93. 一瞬の沈黙の後動かざる画面が崩れ数字が踊る

  94. 騙しあひ頷きあひて夢語る画面背後の顔は見えずも

  95. 日の長き夕暮れ時の駐車場車も無くて静まりかえる

  96. 空梅雨にブランドでなき五島茶は生育不良で味も悪しと

    6.30

  97. 暴騰の後に来たれる暴落に眠れぬ夜を人は過ごすや

  98. ほくほくと夢を語れる画面より突然聞こゆ阿鼻叫喚

  99. マンションに不審者ありと管理人は二つの戸口閉ざしてしまい



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