がじゅまる2005-II
by 究峰
最終訂正日 2005年 4月30日
3.1
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題詠の時が始まり我が歌も共に走りて跡を残さん
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プリントの題をひたすらに見つめしが詠む歌未だ沸きては来ざり
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我が詠まぬひと日のうちに二時間もかけずにゴールす人あるを知る
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見慣れざる題は無けれどもすらすらと湧き出る歌もまた無かりしか
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メルマガを忘れてありし如月は弥生になりて時は流れる
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異端児が浴びる言葉は変わらずて変革阻む力は強し
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変革を望む心も潜みおり常たる日々に時に湧き出づ
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知らぬ間に狭量たりし我が心優柔不断で揺れ来し果てに
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入試前不安にからる乙女らは友に負けじと不眠を競ふ
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眠り魔に魅せらる如く乙女らの首が項垂る授業の間かな
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声立てず眠りに落ちる乙女らの深き疲れに刻を思ひし
3.2
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名古屋なる従兄弟は電話間違えてただソーリーソーリーと云ひて切りたり
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初めての七首の歌を記したり推敲をする暇も無けど
3.3
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見たことも無き大きさの胆石と外科医の云ひし手術が終わる
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プラスチックのケースに入りし血塊は石には見えず大きくありき
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裸足にて廊下を走る幼子を母らが追ひし手術中
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成功と告げる言葉に安堵して疲れし姉が自宅へ戻る
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故里の父を見舞いて病室で兄弟が過ごす手術の夜
3.4
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不用意に後で来ると云ひおけば母は臥さずに待ちておりとぞ
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心地良きストーブに忘る夜の寒鉄の薬缶は空となりおり
3.5
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運動を為さざる日々が続きおり四階までを急いで登る
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難しき試験なりしと告げて後答え合わせをネットです国試
3.6
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入院の父らに見せて旋回し機首を向け行く鹿児島の地へ
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病室で息子が送るウォークマンで静かに聴ける隣の老女
3.7
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月曜のリハビリ辛く泣く母は見舞いし妹に言葉少なし
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聞き取れぬ英語の歌詞の音楽が流れて来るをネットで聞きおり
3.8
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思惑と決断迫る欲望が今日も渦巻く相場を見ており
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坂道を一気に登りて息切れす久しぶりなる山のウォーキング
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引きずりし足も疲れを感じおり見慣れし森を歩いておれど
3.9
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下におるはずと思へる娘なり上がりて来ずば母は不機嫌
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投稿の歌が載りしと知らずまま過ごす数日変わりも無くて
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大きなる不安を持ちて乙女らが受けし入試の初日が終わる
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同室の老女ら二人十字架を話題にしおりカトリックなれば
3.13
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桜花散るが如きに小雪舞ひ季節外れの弥生の一日(ひとひ)
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粉雪舞ひ落ちるとすぐに溶けゆきて弥生の雪は霧の如きか
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点けしまま他の仕事をしておりしラジオの電波今はネットなり
3.14
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送りしと受けとらざりしと争ひてバレンタインカードいずこにあるや
3.17
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慢性となれりと言える看護長如何にすべきや悩みておりし
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涙雨降るが如くにいつまでも止まずにありし合格発表
3.20
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コンクリの部屋が揺らぎてテレビ点く数分後の地震速報
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地震無き島と思へば音を立て揺らぐ部屋にも信ぜられざり
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家にいて大地が揺るを気づかざる人もありしが不思議でありし
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携帯も固定電話も空しかり幾度かけても応えなければ
3.21
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子の待てる福岡に向け君が発つ空港ロビーは人が溢れし
3.23
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黄の道の鮮やかさのみ見えており 久しぶりなる春のドライブ
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中学の制服着るは見納めで母娘連れ立つ高校説明
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夕食を済ませし後のひと時を手すりを伝ひ母は歩けり
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広き野に聳える峰を見上げてはさびしく飛べるすずめが一羽
3.26
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投稿を出さずに過ごす週末は雨降り続き晴れ間は見えず
3.28
若き死を悼む
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電話にて君の死を知る昼下がり呆然たりて言葉とならず
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信じ得ぬ思ひでめくる新聞の訃報の欄に君の名ありき
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地震の日君は逝きしや安らかな顔にてありと人は語れど
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別れしはよとせ前なり福岡に学びし君の便りは無けど
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生と死を想ひ悩むは我が身こそ若さには縁無きにあらずや
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頑丈な肉体持ちて君はあり時はまだしと我は思へど
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関心は民俗なりと言ひたりし君の言葉の耳に残りし
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若者の先逝く知らせ続きたり無常と言へど心は晴れず
3.29
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丁寧に運転せよと義兄(あに)は云ふ手術後なれば痛みてあるや
3.31
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バッテリーの不調が続き予定より遅れて行きし母の退院日
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三月ぶり戻りし我が家如何に見ゆすたすたと行く母の脚かな
2005.4.4
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新たなる自己表現の手段なるブログてふもの作りてみたり
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メルマガと違ひて増えるアクセス数ブログの人気実感しおり
4.5
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掲示板創るはずなる玉響は一足先にブログが出来て
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教科書は回帰するごと厚くなり 隣国の火は益々強し
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配食にデイサービスにヘルパーさん介護保険の花盛りかな
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巡り来し春の花をも楽しまずあれやこれやと夢想しおりて
4.7
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長き時途絶えしままのメルマガをよふやく出して部数を数ゆ
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書き出せばつかの間のごと思ゆれど辿りつくまで長き道のり
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吹き荒れし春の嵐に己が美を競へる花は耐えてありしや
4.8
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教会の尖塔を背に公園の桜を通す陽の暖かさ
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里にては咲誇りたる桜花鬼岳にては蕾が多し
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初夏のごと暖かけれど下り行く坂を蓋える桜は蕾
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様々な桜のありし花公園下へ下へと降りて行きたる
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辛夷てふ大きなる花その白く豊満なるが散るを見ており
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妖艶な花びらを見す辛夷花清しと言へず鮮やかな白
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真赤なる椿三輪咲いており桜が匂う花園なれど
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陋屋を蓋ふがごとに大きなる桜がありて影は濃きかな
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蓮華花咲きしが見える山裾を箕岳の桜見んと走らす
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上りつつ箕岳の桜見上げては聞こえし声の太くなりゆく
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満開の箕岳の広場集ひしはデイサービスにて来し群れなりや
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遠景の広場に響くマイク音応じる声の歌が続きし
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桜をば下に見つめて眺むれば赤き鬼岳遠くに見えし
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柔らかき土を踏みしめ一回り広場の上を花も囲みし
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上と下桜が囲む高台で遠くに見える街は鎮まる
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真白なる桜もありし青空を背に清々しきか
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早くより開きしページを更新し現る国試合格番号
4.9
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霧深き朝の桜は恥ずかしや己が花をも無色に隠す
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薄暗き遠景に消ゆ花並木朝の濃霧で人も通らず
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対岸も霞むが如き福江川雨の降るてふ朝の濃霧かな
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幻影の世界にありや無色なる濃霧の中で桜が咲けり
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覆ひたる暗き世界は消えうせて桜の園を彷徨ひたりし
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濃淡の墨絵の如き世界なり聞こえる声も時なき如し
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広げたる枝一杯に咲かせたる古き桜の命満開
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幻想の景を従え咲き誇る畔に立てば花は舞ひ散る
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薄灰の空一面に吸われじと花は散らずに人を待ちおる
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薄雪が化粧したるや橋下に一面に咲く桜の白さ
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霧の中老女が来たり我に問ふ道に迷ひて躑躅を持ちし
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初めての道を進みし霧の中見慣れし場所も気づかずありて
4.10
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強き風吹き抜けおりし街の中 山の桜は散らずにあるや
4.12
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みちのくの寒き雨の夜イヌワシは鷹に食われて羽を濡ちぬ
4.15
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夕間暮れ残りし花のひらひらと風に漂ひやがて消ゑゆく
4.16
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雲晴れて姿現す山なれど今なお霧の漂ひてあり
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楽しげに石を投げおる若者の前に建ちたる日本大使館
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誇り持て反論せざるそのつけを未来の子らに残せと言ふや
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捏造の教科書とぞ批判する者が学びし教科書哀れ
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無知なるを知るや知らずや 心地よくストレス解消デモに集へり
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幻想の歴史を信じ疑はず人は悲しく弱きにありて
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疑いを持てど封じることもあり 生きねばならぬこの世の定め
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思想にて人は生きるや 思想のみ語る言葉のときに虚しく
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国民でなく政府のみ批判すと語る言葉の虚ろな響き
4.18
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争いを好まずあれば今日もまた市場は下へ下へと下がる
4.21
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ひたすらに文を書きおり されど尚数多ありせば目を癒しけり
4.26
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知らぬ間に目を惹きたるやメルマガへの隠れしメールを遅れて見たり
4.27
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少しずつ書き溜めしても崩れゆく速さを追ふて今日も書きおり
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果てしなく道は遠くに続けども途切れずあらば異景を見るや
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ただ書きてされど遅々たる歩みなり マイマイのごと跡を印すや
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我が目には伽藍と覚ゆ幻の消えずにあれば今を楽しむ
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夢追ひて実を結ぶ日の来るらんか 来ると来ずとは知らざるなれど
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疲れ目を休めて想ふ 踊瀬の緑の畑に遊べる日々を
4.28
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ネットにて地元会社の倒産を若き娘が書きて拡めし
4.29
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山間に牧草揺るる畑眠る居着きし人は今はあらざり
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牧草の中を歩みて確かめつ 土は豊かであらざる如し
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幻影のネット世界はひとひにて我が見し夢も跡形もなし
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今もなお御大師さんを飾りたる草餡餅を従姉が与ゆ
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体調をこじらせ臥せし叔母を乗せ久しぶりなる病院に行く
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何処より湧きたる如く現るや オサダの前で車は進まず
4.30
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新しく出来上がりたるターミナルによふやく行きて荒れし海見る
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太古丸遠くで見れば大きかり デッキ接岸降客風景
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