がじゅまる2004-V
 by  究峰
最終訂正日04年10月31日
2004.9.1
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にが瓜のジュースを飲めば舌触りざらざらすれど一気に飲みし
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夏枯れに歌は少なくありたるかよふやく来る秋の季節よ
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夏休み終わりて後にし残せる幾つかのこと手付かずのまま
9.2
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静かなる市長選もまた良きか合併の後広き我が市か
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妖精の夢にかかりしギリシアの沙翁の話少し訳せり
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よふやくに十の文をば選び終ゆ訳と感想残りてあれど
9.3
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啄木の苦きココアとブ・ナロードはのどかなりしやテロも変わりて
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友となる人を殺して何処へ行く果てしなき続く憎悪の果てに
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平和とは言えぬ世界の只中で信念のみは乱立したり
9.4
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ぎりぎりに上ぐメルマガの書置きの無くなりてより忙しき朝
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次々と沙翁の作を読みてあり昔求めし定価は百円
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最後まで静かでありし選挙戦商店街の寂しき故か
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半年で携帯を変ゆ友ありて文字変換に驚きてあり
9.5
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市長選解説も無き速報のライブ画面をケーブルで見おり
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次々と嵐の来たる年となる一息つきしと思う間もなく
9.6
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テレビにて台風のみを見つめては望みしままに進路予想す
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台風の予想進路の真ん中に心細げな我が島のあり
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台風と地震が続く列島の今年の夏は暑くてありし
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シャッターの前に土嚢を積み上げて店は閉まれる台風の前
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打ちつけし板木も取らず補強する巨大嵐の近づきあれば
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雨風の荒々しさを味わひて原始に戻る我が心かな
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停電を怖れて書けるメルマガでギリシア人と戯れており
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台風の備えならねど大き目のいなり寿司をば皿に盛りたる
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九州で初の女性市長てふこの島のこと載りおるを読む
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飛び交ひし瓦の記憶まざまざと母の寝床は畳みに敷きぬ
9.7
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音のみの台風ならば臥しままで夢の中にて味わひもすれど
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見廻りて安堵をしつつ外を見る襲来前の午前二時半
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晧々と電気を灯し暗闇を懼る母にはさらに長き夜
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樋を越へ雨は流れて叩きつけ川にも似たる音を聞きおり
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仕事場のコンクリートの部屋のこと敢えて忘れて嵐を聞きぬ
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暗闇は限り無しとぞ覚えしが幼き日々の嵐は遠く
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ぼんやりと浮かび上がりし窓明かり不思議な揺らぎ漂ひてあり
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灯り消し嵐の音の競演を聞きおる中に欲せざるもあり
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おそらくは暴風雨圏に入りたればテレビも見ざる午前三時過ぎ
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天井のぽたりぽたりと云う音で目を覚ましたる夜の明くる前
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よふやくに夜は明けれど風音はますます激し雨も混じりて
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つかのまの静かな時を持ち足りて又も吹き荒る午前七時
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時々に画面に映るわが街は人影もなく波のみ高し
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真南より北北東に進みある台風はこの島を蓋ひて
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雨風を子守唄とし今暫し寝んと思ひて目は閉じたれど
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いよいよに近づきたるやつむじ風乱れし如きうなりは高し
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台風は我が島超へて君が住む地へと向かひしつつがなきにや
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台風の端こそ強き風吹くや遠ざかりし後家は揺れたり
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台風の歌は終わりと思ひしがなすこと無くて詠めるに任す
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低空を雲が流れて台風の余韻の残る昼下がりかな
9.8
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マンションの管理のことで言上げをなせば波立つ人の世のこと
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言わざるを旨とすべきか悩みおり金と生き方の問われておれば
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マンションに雨漏る不思議階上はベランダなれば不思議でなけど
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人と人希薄なりせば顔知らぬ人のみ住めるマンションたりて
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エネルギーと時を失う代償に得るものありやそれに迷ひて
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たまたまにサッカーの試合見ておれば停電騒ぎ暗闇なりし 
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台風で公民館に避難すと始めて聞きし故郷のこと
9.9
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三時間のお茶も飲まずに知らぬこと様々伝ゆ翁の話し
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防水のシートの剥がれしベランダを眺めてみれど悩みは減らず
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メルマガの定時発行の出来ざる日休みて後に仕上げておりし
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昼寝して一気に書きし文を上げ心の痞(つか)え和らぎたりし
9.10
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我がままとタイの娘は言ひしかど恋の熱意の冷めし人おり
9.11
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腹痛の苦しみ覚ゆ少女は明日のリレーの選手なりて
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図書館に目当ての本は無かりけりシリーズなれど一部欠けおり
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頼りにす本が無ければ無きままに己のみをば信じるほか無し
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吹く風の涼しくあれば心地よき初秋の夜音を聞きたり
9.12
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若者の雄叫び聞こゆ日曜日風が運べる応援の歌
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翌日の牛の競りをば話しつつ嬉しげなりし声の響けり
9.13
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置き去りの文を書き上げ我が夏はよふやく終わる心地ぞしたる
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歌を詠む時を失ひ我が歌の数は減りしかつかの間に詠む
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だらだらと詠む歌多くいつの日か心の充つる歌ぞ詠みたし
9.14
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郡部にはPHSのアンテナの無くモバイルの夢は消えたり
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数日を夢と遊びし友ありて無残に砕くモバイルの夢
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携帯の電波が行かぬ地区もある島の実情忘れておりし
9.15
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夏去りし朝の大波止ターミナルは静かなるままフェリーに消えゆく
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夏休みまだ残れども国試模試控えてあれば島を離れる
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かてきょのバイトで過ぎし夏休み島で過ごせる長き日の終わり
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真夜中の続けざまなる雷鳴はあるべからざる幻のごと
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雷鳴の重ね響けることあるを始めて知りぬ初秋の夜
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涼しさの風にまどろむ昼下がり夕べの部屋はエアコン入れて
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年一回の介護サービスの認定に母は外出てくつろぎおりし
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覚悟決む日よりふたとせレベル四は二となり更に下がりてあるや
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幽霊の出るてふことを疑わぬ若き女に駁す気は無し
9.16
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メルマガを仕上げて憩ふ仕事場に響ける音は緊急メール 
9.17
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大雨に閉じ込められし車より少し離れてここは晴天
9.18
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100歳で若き海馬の翁たちただ感嘆し画面を見つむ
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100過ぎてマラソンしおる翁あり脳の不思議さ人の不思議さ
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運動と脳活性化の関連を科学が少し解明したり
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貝殻の美をば求めし友ありて海の底にも少なしと云ふ
9.19
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女生徒のアナウンス音響きしが島の青さに響き渡りて
9.20
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孫嫁の送りし花を胸にして清まし顔にて写真をとらる
9.21
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空洞の空きしや否を知らねども別れしはずの元に戻りて
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昼下がりラックンラックンと囁ける男と女の片言会話
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ふとよぎる歌のささやきメモせずてつと消え行けば捉ゆ能はず
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欠詠をしてはならじと書きし文わが歌載らぬ日にぞ読みたり
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大胆に詠わんことの難さとは世の習ひにぞ囚われしゆえ
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言の葉の切れの鋭さ楽しみて人の歌読む詠めざる朝に
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投稿に出す歌選ぶ昼下がり君の声聞き合作となりし
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一人にて詠ひ続くる難しさ歌など忘れて日々は流れる
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メルマガで英語を読みて百回の時を数えて峠は見えず
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毎朝の日課となりし英語読み悩みあきらめ文を書きたり
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書き溜めを願へど出来ぬ日々なりて呻吟しつつ文送り出す
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人麻呂が詠みて名残すいちしの花我が庭の隅に鮮やかなりて
9.22
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古里の歌人の出せる歌集なり借りきて読めば想いを移す
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戸岐橋の塗装仕事は夏を経て見上ぐ足場で人の動きおり
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歩き抜く自信はあれど八キロの馴染みのコース四月ぶりにて
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拡声器陽気なリズム流しおり子等はちらほら戸岐小学校
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夏経ても変わらぬ景色迎えたりツクツクボウシ和してありけり
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道端の曼珠沙華は緑なる平和を破る異端の花か
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鳶鳴く海辺の秋も四月前歩きし時と変わりてあらじ
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この夏は市町合併ありたれど市名消え町はそのまま残り
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常緑の人影見ざる集落は蝉とせせらぎ赤蜻蛉のみ
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朝の雨残れる山の濡れし葉に足取られじとゆっくりと歩く
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薄黄なる曼珠沙華が竹藪に群れて枯れしを初めて見たり
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真昼にも人の通らぬ山道に倒るることを思ひつ歩く
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処々に枝は払われ落石もありたる道をひたすら歩く
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よふやくに新たな年のウォーキング終わりて後に凪の海見る
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早足で八キロの山歩き終ゆただそれだけで心充ちたり
9.23
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先人の歌集をひもとき知らざりし島の歌人のことなど知りぬ
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七十年歌を詠みたる人ありて「島の四季」てふ歌集を残し
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戦前の事を知らざる我なりて島詠む歌に身を置きてあり
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知らざりし島の歌人の連綿と詠みてし歌を味わひ続く
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言の葉の潤沢さが圧倒する歌集を読めど我が道なれば
9.24
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定額のネットをあきらむ友なれどノート型につなぐモバイルの世界
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多作詠するを咎むる人あれど思い浮かぶを詠むが我が流
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若きとき詠ひしならば観念の言の葉多き歌にてあらん
9.25
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大漁旗門にたなびき明日の日は運動会の戸岐小学校
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おそらくは何倍もの大人らが見ているだろう運動会か
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足音を聞きて逃げいく沢蟹をしばし山道でからかひており
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ハナシバをリュックに詰めて足をひき歩く翁の一人だけいて
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赤き橋姿を変えし銀色は見知らぬ橋の如き気がして
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今日もまたイチローのヒット気がかりで戻りて後にすぐつけるPC
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思わざるネットの場所に見つけたるイチローのヒット記録情報
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久々に本の感想書きたしとふたとせ振りに思ふ日が来たり
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こぞの今満ち来る時を待つ如くネットで遊びて癒しておりし
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涼求め今夜も川のほとりにてお茶を飲みつつ語る女たち
9.27
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天主堂海を見据えて散らばりし見しことなきを紙面で見ており
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時を越え幻想界に彷徨ひぬハーンを再び読む日が来し
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十余年乗りたる車迷ひつつ今ひとたびの車検に出しぬ
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あちこちで火をば噴きたる三菱の車なれども愛着ありて
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我が側でメールを使ひし友なれど二時が近づきそわそわしたり
9.28
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歌会の歌を送りて安堵すや長月の日も残り少なし
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仕事終え川のほとりを歩き来る十五夜の月影もなけれど
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最後まで台風多き年ならん行きて戻りて近づきてありし
9.29
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職場にてモバイルすてふ願ひをばかなえし友の報告聞けり
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十六夜の月を眺めつ橋渡る嵐の後の涼しき夜に
9.30
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君書きし小論文を読み終えてすぐに仕上ぐに感心したり
2004.10.2
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頭痛して文を仕上げてテレビつくイチローの記録独り見ており
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いずこにも記録成し遂ぐイチローの笑顔がありし電脳世界
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目を腫らし赤き瞳で見上ぐるはコンタクト故と乙女は告げぬ
10.3
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継続の絆を緩む誘惑を思ひ直して務めを果たす
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詠うことあるやと思へば殊になし詠はぬ昔に戻りし如し
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添削を申し出られし君の歌歌人世界のシナプスはオン
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流れ来る太鼓の音は響きたり癒えし身体を横たゆ耳に
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秋の夜冷たき風に流されて満開の花空に轟く
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様々な幾何学模様煌いて湾に木霊す闇の歓声
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夏ならで秋の風物なりたりし福江の花火冷夜に散りぬ
10.4
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まさかとは思へど尋ねし我が懸念姓の変わりし君の死を知る
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その昔長き髪なる少女の細面こそいまも浮かびて
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病弱の君とは知らずはかなくも消えにし露を語りておりし
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背の高き乙女でありて大人びし声と顔持つやさしき人よ
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わがために鉛筆研ぎて与えしは一年B組十三の時
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転校しまたも会ひたる不思議さも更に交わる時はなかりし
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知らざりし君の家族のことなどを聞きて思へる人のはかなさ
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今にても写真の中で微笑むは優しげなりて寂しげなりて
10.5
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図書館より借りし本の見当たらず部屋を片付く昼下がりかな
10.9
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荒れ狂ふマーゴンの嵐浜松の風も島とは変わらずあるや
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早起きで文書く前に横になり急ぎて仕上ぐ「英語の言葉」
10.10
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茜色ススキは枯れず若々し野のあちこちに芽吹きておりし
10.11
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休日にのんびり本を読みおれば日刊メルマガぎりぎりで出す
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携帯の緊急メールを翌日に見ることあるが続く秋の日
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新垣の堂々たりしピッチング逆転優勝されて終われど
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プレーオフの最終戦は息詰まる試合となれど鷹は力尽く
10.12
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寂しげな鐘の音響く弔いは昔は漁村の習いでありし
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仲間をば誘ひて死せば怖くなしネット時代の自殺風景
10.13
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腰曲がる媼が歩み跨れば背筋を正しバイクで去りぬ
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公園に待ち合わせてはねだられし餃子と刺身届ける関係
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高所より俯瞰し見ればウォーキングの馴染みしコース遠くに見えり
10.15
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涙ためデイの仲間に別れ告ぐ媼はいずこ行くやを語らず
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独力でネットにつなぎし友よりの弾みし声としばし語りぬ
10.16
「玉響」100号記念号のために
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玉響の重ねし時は長からずされど越え行く百号記念 
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この先に更に高かる峰ありや続く路こそ長くはあれど 
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百歌を詠み終ゆまでの初々しさ忘れはせねど波に悩みて 
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歌詠みに倦みて思ふは湧き出でし思ひを編みしひととせ前 
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百の歌詠めるや否や思ひたる時はなつかし悩みはあれど 
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詠めるとは思はぬ歌の溢れ出る時もありしが今も不思議で 
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日常を見つめて詠みし歌なれば移ろひゆきし心ぞあはれ
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詠まざる日詠めざることを気にかけて過ぎしひととせ楽しくありし
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百首を詠み終えし感慨は今に通じて玉響百号
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淡々と詠むを旨とし歩まんか詠むを止むれど詠みしは残る
10.17
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異国にてアホと言われし娘あり語るほどに涙を見せつ
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息切らす坂を登りて二キロ道峠を下る足は軽やか
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馴染みたるコースなればや歌出来ずただひたすらに歩きおりしか
10.18
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内縁の縁が切れたる後々も愛憎きしむ男と女
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水道も電気も切られ久しぶり戻りし女は何を思ふや
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判らぬと思ひて嘘を重ねつつ行き場がなくて滲める涙
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それぞれの話しは絡み藪の中老いと病と貧と愛もあり
10.19
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期待せず目録を見て目を留めぬ昭和万葉集全二十一巻
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ひととせの時が流れて歌詠みの始まりし日の記念日が今日
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真夜中にふと目覚めたり今回は何をすべきやせざるべきや
10.20
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油断して備えもせずに寝にければトカゲは遠き島でも荒れし
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風の音は様々なりて気になれどケーブルテレビは絵も音もなし
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列島に暴虐加ゆトカゲなる名をば持ちたる台風23号
10.21
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恐るべしトカゲの爪あと山道は折れし枝にて下が見えざり
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その昔欲しと思ひしこともある古典体系読むことあるや
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読まざりし本のみ積る我が部屋に置く場所あるや否や問うており
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投稿の歌を選びて添削す荒削りなるが少し見栄えし
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山道に遊べる蟹は丸々と蟹歌ゆえかおいしげなりし
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大枝の道を防ぎて二三箇所車高高きは苦労をすべし
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専用の箱に入りて送られし昭和万葉ずしりと重し
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古本で何処にありや新しき天金の歌集21冊を得
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飛び飛びに歌を読みつつ人々の暮らしと思い歴史を感ず
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しばらくは歌を読む時多からん昭和万葉読破を思う
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箱に帯、月報に栞、パラフィンも真新しくて我を出向ゆ
10.23
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皆老ひて昔を語るおうなたち母を訪ねて叔母らが来たり
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新潟を大きななゑが襲ひしと仕事終わりてテレビで知りぬ
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その昔長く語りし君の住む大和の町の名をば聞きたり
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台風に続きてなゑが起こる年申の年の云ひ伝へありとか
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新潟の地震の故にや通じざるネット回線に試みており
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弧絶せし集落の様子生々し暗闇の中土砂が迫るとや
10.24
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夜が明けて寸断されし国道の生々しさを画面は伝ゆ
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苦しみを敢えて求めて汗だくで急峻な道を歩きおり
10.26
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古本の価格情報聞きしかば安きのあまり時の流れ知る
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五年前一時停止を怠りて秋雨降る日講習を受く
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しわぶきの一つもなくて沈まりぬ警察講堂の見慣れぬ顔
10.27
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沖縄に次ぎて多かる酒気帯びの交通事故は島人故や
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一時停止異常に多き管内の交通違反おかしと思ふ
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丸四日押しつぶされし車より生還したる幼な子強し
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命とは果敢無くもまた強きかな奇跡と言うはあるやも知れず
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アナログのカタログのみの古本屋古典体系送りて来たり
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十年も寝かせし本は急落し値下げて売ると葉書を寄越す
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紙の本消ゑゆくものと思へども重みを感じ心地よくあり
10.28
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年老ひてかんばせ変る義兄なるや誰なりやとぞ知人が尋ぬ
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半年の足場を外し大橋は真赤な姿輝かせたり
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田畑にて収穫風景見えたりて農に生きたる人の喜び
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青空に鳶が三羽悠々と舞ひておりしが偉そうに見ゆ
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犬放ち犬を乗せたワゴン車に続けて会へる山歩きかな
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八キロの道を終わりて見上ぐればおむすび山の聳えておりし
 - 
燦々と陽を浴びたれど集落に人の声無く姿も見えず
 
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