がじゅまる2004-IV
究峰
最終訂正日 8月31日
  
  
7.1
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文月と云える時にぞなりたれば時の速さに驚きおりて
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気がのらぬ時もありけるメルマガの文を書きたす文月の朝
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メルマガの形をとりて我が読みし文ひとつひとつ片付けおりて
 
7.2
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書くべしと思へる文の数多あり先は見えねどひとつ又一つ
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我が好む沙翁の喜劇苦労してよふやく一つ文を選びぬ
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機知溢るヒロインたりしロザリンド魅力薄れず一気に読みし
7.3
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風鈴の音も涼しく心地よき風の吹きぬけ外は炎天
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昼寝して空を見あげて積乱雲台風に追われ足早に行く
7.5
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せわしなき週の初めは予期せざることの出来れば文もかけずに
7.6
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メルマガをふたつぞ終えてつかの間に歌を詠みたる安らぎありて
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あまりにも違う訳とぞなりたれば言の葉探す時は速けり
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つかの間を横になりにし我なれど目覚めてみれば夜十時半
7.7
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織姫に会えぬ心地の七夕に涙雨降り朝に歌詠む
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誕生を祝ひし母は妹ら久しぶりにぞ会えば嬉しも
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投稿の歌を選びし前の夜熱気は無けど日常なれば
7.8
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雷鳴は遠くにあれど止まずあり文を書きおり暫し忘れる
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七月のカレンダー埋めるメルマガの日毎に数字増やしていけり
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選りすぐる十の文をば訳し終え雅歌の余韻を棚に戻しぬ
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大嵐読み直せども選び取る文はおぼろに手付かずのまま
7.9
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来訪の客ぞ続きて歌を詠む暇もなかればリアルタイムに詠む
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母親の足が弱りて施設にぞ入れるべきやと友は悩めり
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見渡せば薬を飲める人の中我のみが縁無きことありて
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生と死と我に起れば理性など忘れ我執の身となりたるや
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コメディをも楽しまぬ日の来たりなば我が灯火の風に耐えうるや
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ガラクタのメール突然に続けざま入り来たれば何処より漏れしや
7.10
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晴れし日の続きてあれば梅雨明けと思ひておりし夜明けの豪雨
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暑き夏冷たく感ず風を入れ昼寝をすれば幸せ気分
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一日にて数十ものガラクタメール入りてあれば感心もしおり
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着信の音は消しまま時々にメールの数のみ数えておりぬ
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現代のエネルギーの先見え来るはカオスにあるやコスモスなりや
7.11
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がらくたのメールの多さに音を上げて我がアドレスは変更されし
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参院の選挙日なれど選ぶべき人のおらずに決めかねており
7.14
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投稿の葉書に記す初めての新しき市の名はまばゆくて
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予定をばこなせずありてふがいなく夏の暑さにまどろみてあり
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携帯でメールを交わすは稀なれど続けざまにぞ入る日もあり
7.15
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和歌の本幾つか選び読みたれどとつくに人の書きしが良しとは
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文字追ひて時をば忘れ読みおるはドナルド・キーンの日本文学史
7.16
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君の歌知る人いるは不思議なし名を見て口に出さずにあれば
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アコーデオンカーテンあければ熱気蒸すうだる暑さの入り込みし
7.17
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本籍を変ゆ古里に母つれて三年ぶりに帰りし従弟
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弁論の席に臨みし少女は己の弁を笑ひて語らず
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学校を違える友と弁論の話に興じて一時過ごす
7.18
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歌詠みで精気を戻し留め置きし文ぞ書かんと気を引き締めぬ
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名古屋なる従弟驚く島風の涼しさは暫し休みてあらん
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熱帯夜窓より入る冷風に小夜に寝覚めて毛布を被る
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わが車庫に寝そべる犬は隣家より暑さに堪えず放たれしかな
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島の夏まろうど多くありたれど人影見えぬ砂浜もあり
7.19
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携帯に波音聞こえ久しぶり投稿の歌載れるを知りぬ
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菓子店の裏手に置きし大き目のペットボトルは今日も光りて
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ビジネスの厳しさ語りストレスの溜まりし友のことにも触れし
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ライバルの企業叩きの様などを可笑しくもまたあきれても聞く
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帰省よりとつくにへ行くが易きとぞ云ひたる姪のつかの間の休み
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本好きの姪は仕事に追われしが帰省の古里で本を借りぬ
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図書館で幾多の本を手にとりて棚に戻しぬ読むべきありて
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我がすべきことは定まり濫読は今は控えん道遥かにて
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アルファ波の被試験者に出ざるしてA型なりやと問われたりとぞ
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盂蘭盆に島に通えるフェリー予約三十分で埋まりたりとぞ
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破産告ぐ壁に貼られし紙切れに材木店のドラマを思う
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映画館島の文化を守るとの心意気をば聞きしときあり
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携帯を持たざるは無き若者もネットに縁なき者が多きか
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携帯でデイトレなすと話しおる傍らでただ静かに聞きぬ
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こぞの今ストレスの中ハリポタの世界に入りて我を忘れし
7.20
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コンクリの部屋の暑さは限りなく動かずあれど汗は滴る
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風止みて暑さを感ず今日の日に40度を記録す地あり
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クーラーつけし窓辺の外の光景は暑きや否やしかと分からず
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洪水の地の水不足新聞で読みて猛暑の夏を思へり
7.21
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老ひし母グループハウスに入りたりと淡々と告ぐ友の訪ふ
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赤蜻蛉群れをなしつつ飛びたれば窓辺の手にて掴めるごとし
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雄大な入道雲の青空ゆ吹き来る風にうとうとしおり
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砂浜に首まで埋められ脅されて屈せぬ女の話を聞けり
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選びたき人のおらざる不幸をば話題になせど盛り上がらずに
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つかの間の古里の夏教え子の受験生に教えて過ぎる
7.22
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ミニトマト持ち来たりたる人ありて我が歌載りしことなど語る
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細長き見たことも無きミニトマト熟してはおらず甘さはわずか
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蝉の声他所に遅れてよふやくに賑やかになる島の街中
7.23
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炎天を避け木の下で童らはカードを見せ合ひ夏休みかな
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明日のためメルマガなどを仕上げんとワードに向ひて文を書きおり
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落人の伝説残る六方(むかた)にて浜辺に響く乙女らの声
7.24
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短めの帰省の時は過ぎ行きて故郷の遠くなりいく夏か
7.25
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おずおずとママにしがみつく幼子はいつしか慣れて駆け回りたり
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携帯の間違い電話かけきたる老婆の話しに耳を傾く
7.26
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名も聞かぬ歌集を送れる人ありし投稿の名を知る人あるらん
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結社にも雑誌などにも縁はなくただ我流にて君と詠ふのみ
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歌詠う心の波は様々に寄せては返し砂を洗える
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何事も変わらぬ時の経るらんと思ひし中に乱れありて
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朝早く波は聞こえずPCメールで君の名見つけ合点ぞしたる
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数のこと忘れておりて気づきたる三千の歌峰と思はず
7.27
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二人とも同じ歌集を送られて歌詠む道を歩みて来しか
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人の歌詠みては惑ふ時のあり我の知らざる巧みのあれば
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同じ市の見知らぬ人の出す歌集誇らしげなる写真に載りし
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君の住む町の女生徒君と似し名前を持つが紙面で栄えし
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地を濡らす間もなく過ぎる雨雲は青空の中孤独なりしか
7.28
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ビル間にぞ響き渡れる蝉時雨いずこで生まれいずこにおしや
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蝉時雨八月近く聞く島は盂蘭盆に戻る人の前触れ
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山間(やまあい)の故郷の夏蝉の声天に響くと覚えておりし
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暑き夏いつも無為にぞ過ごせるがなすべきことの溜まりたる夏
7.29
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待ちわびて酎杯重ねほろほろに酔ひてそのまま寝たきを我慢す
7.30
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タウンページ市町村の合併を実感させて広くなりしか
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川流るせせらぎなりし蝉時雨そのざわめきに今朝もききいる
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慣用句誤用多しと報じられ歌詠むごとに辞書を紐解く
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台風の端より流る風がきてブラインド揺れ涼しかる朝
2004.8.1
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常よりも大きく長くサイレンの響き渡りし八月一日
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故郷もひとつ市となる記念日に夜市も行かで仕事をしおり
8.2
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るんるんと君が出かけしその由を新聞開き納得しおり
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詠えぬ日続きてあるか君の歌投稿欄で輝きたるに
8.3
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明け方の廊下に渡るそよ風に風鈴の音を聞きて目覚めぬ
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寝室の窓ではなくて遠くより伝わり来る風の優しさ
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塩害に被害を受けし巨峰の甘くはあれど粒は揃わず
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一降りのにわか雨にて湿れどもたちまち乾く暑き夏かな
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少年の篤き心の物語ところどころを訳しつつあり
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夏の昼少しまどろむ時を持ち今年のひどき暑さをしのぐ
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沖縄の最高気温が他よりも低きと知りて怒りし人よ
8.4
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台風の近くにあると云われたりネットで見れば確かにありし
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盂蘭盆の帰省のメールは若者の弾む心を伝えておりし
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窓辺より見える青空流れいく雲の名前を調べてみたり
8.5
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四国路に旅なす君も台風の消えてありせば安らかなるや
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ひとひのみ台風たりし低気圧気がつかぬ間に無くなりてあり
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亡き母の面影辿る人ありて自筆の絵をば母に送れる
8.7
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若者の遊び心に脱帽す国超え騙す掲示板あり
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氷屋の朝は忙し炎天に汗す男の求めに応ず
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騒音に耐ええず窓閉む真夏日に止むことなきと扇風機つく
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夜ごとに体調崩し又戻る人口風に吹かれておれば
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まぐまぐの本のサイトでクリックしメルマガの位置確認しおり
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幾首かの歌を詠みたるファイルをば削除したりて元に戻らず
8.8
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美しき砂浜のなか高浜が日本一と載りておりしが
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五百年続きおるとの誇りをば少年の声友に告げおり
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民族とサッカーとメディアと様々なことを思ひつ掲示板読む
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雨雲は同じ島にも様々に雨を注げる乾きおる夏
8.9
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雷の騒いでありて雨雲も見えてはおれど雨は降らざり
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投稿の載りしてふメール読みたれどタイトルまでは見落としてあり
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一席!と記せるメールを改めて読み直しおり短かけれども
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意外なる歌が選ばる投稿に迷ひのあれど我が歌なれば
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友よりの電話で起きて祝福を受けし真夏の昼下がりかな
8.11
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若者がただ灯篭を灯さんと戻れる島の夏巡り来る
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坂道に灯篭掛けを肩にして薮蚊の中で雑木を切る
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姉のいぬ初めての盆学生で迎へる夏は最後となりし
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鬱蒼と茂れる杉になりにけり夕陽を隠す大円寺墓地
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人影はまだまばらにて盂蘭盆の備えは明日に持ち越す
8.12
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星を見て君は何をば思ひしや時の流れに掉さす永久(とわ)か
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チューハイの酔いは軽けど冷たきを多目にとれる盆の前日
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故郷にしばらくぶりに行きたれど物悲しくぞあるのみなりて
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何処より沸いて来しやと思ふほど車と人の島に溢れぬ
8.13
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盆の日は信者のみ集ふデイサービス母は初めて福音を聞く
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青空にくっきり浮かぶうろこ雲夕日をあびる蝉時雨
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ひととせに一度の出会い盆の夕暮れ墓地風景か
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線香と花火の煙咽びつつ爆竹を聞く燈籠のまえ
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去年よりも早目に来たる墓地なれば空きし路端を選びしままに
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けたたまし音が撒きたる幾十の落下傘をば歓声が迎ゆ
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故郷で盆を過ごせぬ初めての夏に一人で電話の声聞く
8.14
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チャンココの音が流れる街の中島の盆入り人に告げおり
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今日もまた網戸にとまる蝉の声体を震ひ耳劈(つんざ)く
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連続す爆竹音が風の無き大円寺墓地に響き渡りおり
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隣あう墓所に参りひととせに一度の話し交わしておりし
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日没のまえに蝋燭消えしかば人よりはやく墓地を後にす
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様々な紋提灯の風景は古里の盆と異なりてあり
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両端を車が占めて狭くなる大円寺前盂蘭盆風景
8.15
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盆経で檀家をまわる僧侶は黒き衣で汗ばむ夏か
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幼児のお疲れ様と云ふ言葉思わず笑みて振り返りおり
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雨降りて夕には晴れぬ盂蘭盆の灯篭掛けを外して戻り
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ハナシバを挿すが習ひの島の墓地他所ではせざることをば聞きし
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墓所より帰りて後に花火する子らの歓声暗闇にあり
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秋虫の音色が響く暗闇に爆竹なりて送り灯篭
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上段の墓地に照りつく陽は強く墓の影にて涼む人あり
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網戸にて二匹のヤモリ身構えて獲物が来るを只管待ちぬ
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若者はマニュアル示し日々過ごす発券業務のシステム語る
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中学の同窓会に大阪より集ふ従弟の髪に時を見る
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携帯で詠まんとすれど行き来する人の多くて気は紛れたり
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ストレスの無き身と見ゆる我なりや人の語るに駁しはせねど
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盂蘭盆と共に終われる島の夏熱き日々にも浜に影なく
8.16
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夜九時を過ぎての花火大会があるらん町の声をば聞きぬ
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怠けしや頑張りしやも分からずに盆の休みも今日で終わりぬ
8.17
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暑き夏乾ける大地洗うごと降り続く雨雷も鳴りて
8.18
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台風の進路を気遣い柔道の試合を見ておるアテネオリンピック
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街宣の風に乗りて流れしが意味のわからぬことども多し
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突然に歌に目覚めし君なるやひとひに詠める数の多さよ
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趣味をば持たんと欲す人ありて歌のことなど我に問ひくる
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捨てんとぞ思ふ雑誌で笑顔見す岩崎恭子の十二年前
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欠航で心配するは投稿の歌の届くやなりがおかしき
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作文が県大会に選ばれし少女がありて中味語らず
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福音を説けるイエスの物語我流で少し謎解きをする
8.19
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台風の東側にぞ我が島は取り込まれたり少し遠けど
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様々な音の混じれる強風に二階の部屋が揺らいでおりぬ
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久々に風の与ゆる不安さに眠れぬ夜を歌詠み過ごす
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直撃は無きと思ひし台風のうなりと揺れに眠れぬ身体
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畳みかく風のうなりの叫びにぞ軋みと揺れも重なりてあり
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午前二時テレビ字幕は午前三時暴風圏に入ると告げる
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金メダル授与を映す片隅で台風の動き不気味に伝ゆ
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この島の西をかすめる台風に悩まされしは久しぶりなり
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真夜中の五輪中継を見るはめになりし台風十五号かな
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部屋が揺れサッシが撓むを見ておりしオリンピック眺む人は知らざらん
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風速は何メートルなりやこのうなりそれでも蛙鳴くが頼もし
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鳴く蛙飛ばされざるが不思議なり家ごと舞ふと思ふときあり
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過ぎしかと思へば戻る強風に二階の部屋は揺らぐままなり
8.20
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台風で二日遅れの新聞を一緒に読めど長くはあらじ
8.21
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玉響の解説のみを書き上げて予定を終えず電源を切る
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軒上の瓦失ひそのままに新台風の発生を聞く
8.23
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勾配の険しき屋根の瓦替え見ている方がはらはらしおり
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職人の技はさすがと感心し朝の間に修理が出来し
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ユニエーターと云ふ名前をば持ちし物使わずなりて取り除きたり
8.24
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写真館はしごす乙女ありたるは証明写真気に入らぬ由
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亡き兄の友が寄越せる葉書には入院しおるを告げておりたり
8.25
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鳴り渡るメロディ音に驚きて不審顔なる乙女たちかな
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何もせず何もしたく無き常の夏戻り来たりし歌も詠まずに
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達筆の葉書の文字を判読す能はずあれば返事を書けず
8.26
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「遊ぶ」てふホームページをば持ちしことありと思うは夢なりしかな
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遊々と生を過ごすを望めども人の世は憂さこそ友なりて
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遊ぶごと時を過ごせるつかの間にたそがれ時の近づきたりし
題詠「歩」
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我が生を積み重ね来てその歩み淡々となる感じ強まる
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深き森一人歩める我が上に蝉はここぞと時雨を降らす
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出し続く歌のメルマガその歩みのろくはあれど積み重ねたり
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学校へ歩く児童の朝の道あちらこちらで立ち止りつつ
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アフリカの奥地でルーシーがたまたまに歩みて刻む人の歴史を
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優雅なるレディになるためヘプバーンは頭に本を載せて歩きし
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親しみし森の道をば歩かずに過ごせる夏のよふやく終わり
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引きずりて歩ける姿多くなる若きも老いもウォーキングかな
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我が身体乗せて歩ける年月の長きに渡り故障もせずに
8.28
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晴れ渡る空の昼間に金槌の響きておりし台風前夜
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チャバという名前を持てる台風は数値で見れば恐ろしくあり
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家周り大工仕事に精出して荒々しかる嵐に備ゆ
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古家の処々は崩れ危ふかり見つけて修すチャバの来る前
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開けし窓入りくる風の涼しさは台風未だ影を見せざり
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秋虫の心地よげなる鳴き声に聴き入る夜は毛布を纏う
8.29
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蜂の巣の下に出来るは台風の年てふ伝えそのままとなり
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草を刈り蜂の巣見つけ刺さるれば納得顔の友の顔あり
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停電をおそれて送るメルマガで聖書に暫し別れを告げぬ
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台風で数百ミリの雨降ると報じられしが風のみありて
8.30
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緯度経度確認しつつ台風の何処へ行くや気をもみてあり
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明け方の画面が伝ゆ台風は徐々に牙をむき出してあり
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台風で今日の予定あれこれと思案をしつつ動き見ており
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北風が南風にぞ変われかしされど嵐の歩みはのろく
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とつくにのひととせの雨ひとひにて降らす嵐の北に向かえる
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寝不足で朝寝をせんと思えども雨足と風音が激しく
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蘭棚の吹き飛ばされし雨の中家の陰にぞ引きずりたりし
8.31
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台風の過ぎし青さに過ぎていく夏を惜しむや蝉の響けり
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見下ろせば腐りし丸太諸共に散らばる瓦台風の後
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コンクリの部屋の屋根に滲みしにままならざるは管理てふ言葉
 
   
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