がじゅまる2004-II
最終訂正日04年4月30日
 
2004.3.1
 
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思い出の多く積もりし月曜日エッセイ仕上げ静に過ぎいく
 
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若者が送り来たりし政治歌(うた)我もいつしか詠むことあるや
 
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夜遅く外(と)つ国の旅より戻る君に息する風は優しや
 
3.2
 
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ヨーロッパの貧乏旅行二都巡る美術の旅は若さの証
 
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風のごとはかなき命詠ひたるペルシア詩人読み返しおり
 
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英語ジョーク楽しみたれど日常の意識との落差苦笑したり
 
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常識を詠うなという歌論ありただ我が想ひ詠めるほかなし
3.3
 
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雛祭り楽しみ待ちし温泉は鼠のために泡と消えたり
 
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腰痛め横たわる母真夜中にベルを鳴らして我を起こしぬ
3.4
 
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晴れ渡る春の陽射しは冷たけどウォーキングにはよき日和かな
3.5
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こぞよりの書けずにありしエッセイをようやく仕上げみすずを思う
 
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啓蟄に春の嵐は吹き荒れて窓辺かすみて通りも見えず
 
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週末に雛節句祝う漁師は不漁続きで魚を購う
 
3.6
 
「書く」
 
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書く文字の拙きあまり躊躇ひし昔を忘るワープロ使えば
 
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続けざま文書くことのありしとき気付かざれども疲れのありて
 
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書くことで思いの一部失える心地のしたる時の寂しさ
 
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思うこと書き記してぞわかりたり混沌の中周り見えざれば
 
3.7
 
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愛犬の葬ひのさま語りたる従姉妹は犬を飼わぬと云えり
 
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妻の島牛を飼うため故郷も家族も捨てし男ありたる
 
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鼠来て戯る話おかしくて昼下がりにぞ笑いこけたり
 
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起き上がりふと窓を見て雪積もる屋根ぞ見えたり弥生の七日(なぬか)
 
3.8
 
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人心載らねば倦みて歌詠み止むることもあるらん
  
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投稿は目的ならず初心を忘れ揺れおる心叱れり
 
3.9
 
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昼前に歌詠む癖の出来たりて懈怠を忘れ時は過ぎ行く
  
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和歌の本我の借りおる続編を妹が借り来ておかしくもあり
  
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万葉の世界の浪漫知らざりし注を見ながら楽しみおりし
  
3.10
  
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まず行くは歌集のコーナーになりにたる一年(ひととせ)前は思ひもつかず
  
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図書館で男らテレビひたすらに見つめておるは市議会中継
  
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万葉の本を借りきて読み行けば知りたる歌に出遭うぞ嬉し
  
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地下鉄のねずみの話面白しパリの写真はわずかなれども
  
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金も無く土産も買わず写真も撮らぬ旅して又も行きたし
  
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貧乏の旅行に求む土産なりルーブル絵葉書良くぞ買えたり
  
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謝恩会卒業できぬ友のため参加をせざる学生の群れ
  
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携帯と株式買わす会社あり新入社員半ば辞め行く
  
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弾みたる話のあれば歌を詠む暇も無かりし昼前時か
 
3.11
 
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特攻で散華し逝ける若者の映画をPCで見ておる朝
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あるはずの見当たらざる本をふと見つけし時の安堵の気持ち
3.12
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アマゾンで買ひたる歌集届きたりすぐに開きて読みはじめたり
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名前のみ知りたる歌集読みけるが尚不思議にて続けと思ふ
3.14
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仕事場のHPを作りよふやくにあわただしきとなる年度末
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若者の引越しすてふ連絡を仕事中に携帯で受く
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その昔慣れ親しみしホームページや掲示板など消え行く寂しさ
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エネルギーは今年は充つる年なりか思いは形となりて
3.15
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一年に一度のちらし原稿を印刷所に持ち行けば春
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新芽出す枝垂桜の苗木をばもらい来たれば土にぞ植ゑん
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道の傍畑の中に咲き誇る菜の花の黄は異彩を放つ
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杉の葉が甘さを包むなんや餅買い求めては舌をとろかす
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春の陽を光(て)りかえしおる海面は(うみずら)は金属破片空舞うごとき
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縦書きの画面で味わう歌もよき楽しさ勝る心地がしたる
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ホームページを仕事で使ふつもりにて一より学ぶプログラム言語
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0と1のデジタルのなす冷徹さいらだちあるも愛しさもあり
3.16
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単調な作業のごとく思いしが新たな構想次々湧きて
3.17
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君教ゆエクセル文書出来上がり我がホームページは見映え良くなり
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退寮し独り住まいを始めたる若者のメール寂しさを告ぐ
3.18
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弥生にぞ次々起こる出来事の我にも及び眼鏡の折れし
3.19
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初期化してまたも失うファイルあり苦労の甲斐もあぶくと消えぬ
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禍と福と交互にきたる弥生にて落ち着くときはいつになるやら
3.20
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折込は挨拶のごとと知りたるも反応薄く寂しくはあり
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誰も見ぬ仕事のページひたすらに作らせおるは何処に宿るや
3.22
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古きマック忘れおりたるファイルなど記憶を戻し蘇りたり
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労力と時間をかけしひと時は忘れしままに捨て去るが良きか
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ハードディスクにファイルを移し本体を掃除し終わり快適なるや
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春雨で寒が戻れる昼前は慌ただしくも時を気にする
3.24
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図書館で借りたる本は数千の無名の歌人の心を伝ゆ
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まどろみつ夢を見ておりけだるくてしばし楽しむ虚ろの世界
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物語モノトーンで読むPCソフト睡魔催し耳鳴りひどし
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無名なる歌人の出せる寄贈本生き様見せて面白きかな
3.25
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時忘れ読みふけりたる我が詠みし歌ではなきと思ひたるかな
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昼前に歌を詠めざる日の続きやきもきしおる忙中の春
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続けざま歌を選びて文を書く懐かしければ楽しみてあり
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アンケートに謝礼はあれどそこまでも人に教える義理は無かりき
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真夜中に若き女の呼び出しを待つが慣らひとなる友おりて
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卒業の夜も泊まりし友ありて荷作りをする旅立ちの前
3.27
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旅立ちの便りの続く弥生末旅せぬ我はただ思うのみ
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九州に別れを告ぐる前の日もオフで楽しむ若者たちよ
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歌人などネットの図書館築きつつ知らざることを新たに覚ゆ
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爛漫と咲けるらん花まだ見ずて今年の春は過ぎ行かんとす
3月28日
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高校の教科書の注文を受くる主はなぜか苦虫
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うららかに閑散とある日曜日本町通りの店は寂しげ
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恩師らの島を去り行く岸壁にかつて学びし子らが集える
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駿河へと姉妹の旅す前の夜福岡もまた遠くになるや
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華やぎの声の絶えたる家二軒若者巣立つ島の春かな
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PCつけてまたも見つめるウィルスメールブラクラもありサイバーテロもあり
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仕事場の棚の奥より現れしO嬢の本持ち帰りたり
3.29
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タルムードに智恵を貯めたる人々の使わずありて紛争やまず
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英語にて読める俳句はよそよそしされどすっきり有耶無耶なくて
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携帯のベルが鳴りたる朝6時喜びあふる君からのメール
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山桜人は見らねどあでやかに群れることなく咲き誇りをり
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よそにては咲きにけるてふ桜花蕾のままでそのとき待てり
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猫車押し畑仕事を手伝える童の二人春暑き午後
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海藻生ゑ緑広がる水面はどぎどぎしくて心を乱す
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野に咲ける可憐な桜道の端のあちらこちらで恥ずかしげなり
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うぐいすと木々のざわめき遠くでは目白さえずり風もささやく
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すすき生ゑ山桜咲き鶯は鳴く野の道を汗ばみ歩く
3.30
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寝転びて携帯を見つ歌詠めるまどろかしくて苦労ぞしのばる
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我がPCのキーはままならず暴走するメールを書けども送るあたわず
3.31
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青空は窓枠すべて広がりて昼には花を見に行きたきぞ
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日経の短歌切抜きよふやくに終えたる弥生最後の日なり
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部屋などを掃除しおわり明日よりぞ始まる月のけじめとなさん
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横浜と駿河にて明日船出する若者の声屈託なげなり
4.2
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花見時弁当屋には客集い君は今日も車走らすか
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一気には作るを得ざるホームページ先は見えずに今日も手入れする
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歌の本まとめて頼む図書館に検索結果プリントしたり
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春嵐に蕾のままに散りければ人影見えぬ花園なりか
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花の園嵐を耐えし桜のみ鶯の声響くを聞ける
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坂道の桜は咲けり爛漫とあらねど今年も子供ら迎ふ
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証をば残さんとする意思なりや寄贈歌集は生き様見せぬ
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駿河の地暗き森抜け街に行く東の暮らし戸惑ひ無きや
4.3
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仕事前ベランダに出て街眺めタバコくゆらす医者のくつろぎ
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無名なる歌人の歌を読み終りなぜか親しさ覚えておりぬ
4.4
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牧草を植えたる畑にいつの日か自ら鋤を入れんと思う
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古里に白き桜の花は咲き村人老いて静かに散りぬ
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異郷にて余生を過ごす気はなけどしがらみありて涙をこぼす
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古里で一世(ひとよ)を終えし魂は死後に見知らぬ土地で憩えるや
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土に生き土には死せぬ農婦なり山なきビル間に蕨は採れず
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古里を捨てしにあらぬ想ひはあれど過ぎゆきし時後ろに積もる
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女いて可愛くないとカメラ責むデジカメ借りし友の言い訳
4.5
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暖かき春楽しまず籠もりおる部屋のストーブは赤々と燃ゆ
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今日もまた書かずに過ぎる歌集跋弥生の重し今だ解けずか
4.6
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新年度のんびりしたるつけが来て慌てて選ぶ必需品かな
4.7
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茂りたる木の葉を切りて見違える眼科病院の駐車場
4.8
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昼前のつかの間のみを我が詠う時となして久しくなりぬ
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歌の本歌を詠まねば読まざるについぞ気になり時を忘れる
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今まさに若草萌ゆる春なれど野焼きのごとき我が心かな
4.9
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うららかな春に誘われ我は行く海辺に野山陽射しを浴びん
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わが心解き放ちたく思ひたりせわしなき日々過ごし来たれば
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水を張る田の傍らで鶯と烏の競う蓮華畑かな
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真黄色の拡がり下がる畑には人影見えず菜の花の咲く
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リュック背に歩きおる女(ひと)彩かな色の世界に溶けて消え行く
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ひとけなき駐車場はたまゆらに賑わひを見せ静けさに戻る
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コスモスと菜の花飾る浜辺には遣唐使碑の海を見据える
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うなりあぐ風車の声にたたきつく荒波の音聞こえざりき
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遠目には端麗なりし姿見せ近くに行けば雷神のうなり
4.12
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横に臥しまどろみており春の陽は窓に射しおり熱くするらん
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眠りおるうたた寝のなか時の歩み緩やかなりて幾度目覚めし
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暑きゆえ体だるきや臥しおれば臥しおるままでいたき我なり
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まどろみをつかのま破る救急車汗ばみて又まどろみに戻る
4.13
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ネット終え帰らんとして思い出す歌の時間を忘れおりしを
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頭痛して横になりてはうとうとと定かならざる心地味わう
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牛飼ひを止めて小屋を片付けし時に梁より落ちしを嘆く
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眼前に見ゆる病棟で妻と義母(はは)のともに病むを恥ず男なり
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災ひは共に来たると人は言ひ我も知れども辛き日々にて
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辛きことを恥ずかしと云ふけなげさよ時に政府を責む人もいるに
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姉妹たち皆が老ひしに年順に死すとは限らぬ話題となりて
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花見にて次を見れるや分からずの話題は今は少し遠かれど
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気まぐれの春が齎す風邪なりや怠惰なる日の少しありしが
4.14
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見舞いたる叔母は土産を与えし後に病室の窓より手を振れり
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仕事場は迷路なりしや我が部屋に辿る苦労を又も聞きたる
4.15
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テキストを整理せんとて百円ショップのホルダーを買い占めたりき
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葉桜と花が混じれる水の傍 始めて行きし福江ダムかな
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鮮やかな赤色躑躅陽を浴びて白くぞ見えるデジカメ写真
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花のこと疎き我でも歌を詠む道は遠くて果てしがなきよ
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長くても短く感ず時なれば過ぎしを覚えぬつかの間のとき
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歌詠む我はパブロフの犬と化したるか時と所で違ゑる如し
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窓枠の向こうの空に翩翻と青き流れを鯉が群れたり
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続かじと思ひし至福の時なれど形を変えて過ぎ行く日々よ
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紺色の制服着たるお下げ髪夕闇迫る駐車場で待つ
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入り乱る情報の世はネットにて己で調ぶ権利を持てり
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生の声語れば離る真実は思想の持てる暴力さらす
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人質の家族が黙す本音をば外国記者は容赦なく尋ねる
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FCCJの会見のごとこの国の記者も素直に語ればよきを
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我が捨てし亡霊と歩む人たちは己の正義疑わざりや
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揺れ動く心は時に疎ましく身をば寄せたき思いもありし
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転向や日和見てふ言の葉の幾年(いくとせ)ぶりかに思い浮かびぬ
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悲しきは想像力の衰えしか昔慣れにし思想を楽しまず
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若きころ思想を変えし友ありや不思議でなけど左右が替わる
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信念を変えじと思ひ生きたれどいつしか遠く幻の華
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固まりし体系の中雑念は迷ひもなくて捨てて忘れぬ
4.16
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南天と高さを競うこでまりは狭庭の隅で白く茂れる
4.18
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ガードレールとフェンス挟む崖の上狭き場所にもこでまり茂る
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若者は住まひを変えて職に就きネットをつなげてよふやく馴染む
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騙されて騙すがよきと思ひしや職を変えいく若者ありて
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雨降りて大地に滲みる草花も春の陽差しを糧となすべし
4.19
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聞き分けぬ声の電話に一瞬に過去甦り時の消えいく
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不思議なる出遭いもありしネットなり消えて忘れし想いも多けど
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忘れなば忘るも良しと思ひたり淡白ゆえに悔やむことあれど
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携帯を忘れしときは続けざまメールのありしを次の日知りぬ
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たまたまに歌詠み始め半歳を飽きることなく持ちこたえたり
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友見舞い駐車場に降りくればバッテリー切れで車動かず
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たそがれのいたずらなりて点けしまま弾みし話長くなりたり
4.20
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市街地を歩くも良きか鮮やかに咲きける庭を楽しみて行く
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汗ばみて排気ガスを吸いながら病院へと続く坂を上りおり
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半時間のウォーキングで着く駐車場灰のワゴン車昨夜のままに
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選者は若きに替わる投稿欄我が歌採りし思ひを残す
4.21
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窓からは爽やかな風入り来る自宅で過ごす朝のときかな
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歌の数覚えなけれど新記録少し気になり歌詠み励む
4.22
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新しき選者の元に歌送る長き付き合いなるやは知らねど
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壁剥がし改装しおる家ありて槌音響く曇り空かな
4.23
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荒き風ハンマーも響き磯の香とシンナーの混じる戸岐大橋か
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子供らと数を競える自家用車チャイムの響く戸岐小学校
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黄緑は深き緑の中にあり浮き出る如くまさりて映える
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例のごと分を知らざる雄鶏は続けざま鳴く昼下がりかな
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春陽射し強き中より入りたる木々の天蓋風は冷たし
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森道に幻のごとせせらぎを聞きしと思ゑどざわめきに消ゆ
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深き森暗き木陰に我見つむ影の潜むと夢想しており
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山道に大岩小岩転がりて土壁崩れ苔むしている
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変わりあるわけではなけど清々し山の霊気を吸ふて歩きぬ
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人知らぬ名前で届く宅配を驚き見れば我がメールのID
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続けざまありうべからざる過ちを一日(ひとひ)にみつも経験したり
4.24
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俳句添え妻の病の回復を告げたる手紙悦び溢る
4.26
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短歌にて書き綴りいく物語り文と違える味わいのあり
嵐
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うなりあぐ風の音激しう響きたり大雨も掻き消されてぞあり
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音をひく風は不気味に続きたり負けじと鳴ける蛙聞こえず
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歌作るきにもなれずに風の音うなるのみをば臥せて聞きたり
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たたきつく雨風ありて天井は二階でなく一階の壁より浸みる
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落ち着かぬ夜はPCをばつけずに別室で携帯と遊んでおり
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挑みたる歌のできざる日の終わり気ままに詠めることもありしか
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携帯のリズムにはまだ慣れねども歌を詠みゆく不便はなくて
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携帯で歌詠みおりて雨風のことをいつしか忘れておりし
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雨蛙かすかにありし鳴き声も聞こえずなりてうなりの強し
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選者のくれし返事の葉書には精進すべしとしたためてあり
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寝転びて書きなぐる歌数多く詠み来たれども今は紙なく
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携帯で詠みし歌をば隣室のPCに送りて終わりとなしぬ
4.27
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嬉々としてタイ語をしゃべり準備する携帯にデジカメパスポートなど
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黒々の髪に白きが二三本嘆く贅沢にこやかに語る
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ウィルスメール入り来るたびに削除しつ慣れにし日々の仕事の如し
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暗闇で臥せて作りし歌なれば夜明けとともにおぼろげに消ゆ
4.28
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澄み渡る青空なれど鯉は見えず風車のみの病院の屋根
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苺食む日々が続きて今朝もまた三パックの苺買い求めており
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黄金の週の始まる前の日も常と変わらず時は流れぬ
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渋々と投稿を書く載らざりし月曜日の朝つまらなくあれば
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悪筆の歌をば見せる気にならず我が投稿はプリントしたり
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連休を前にカーテンも駐車場も休みの風情醸す病院か
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屋根を越え泳げる鯉は西陽浴び隣のビルの壁に映りぬ
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夕暮れと云ふにはまだき時なればランプ灯れど煌煌ならず
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老医師は独り佇み植木見てランプより陽が明るき夕べ
4.29
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整理さる会社に残る日も僅か慣れざるネットに向き合う日々よ
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よふやくにホンダの赤きライフをば購ひてのち気分弾めり
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若葉マークつけざるままにふたとせの時を隔てて運転に挑む
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子供らに教ゆ歓び活き活きとメッセで語る夜更けのチャット
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浜松は湖西にあらず地図を見て始めて知れる東にありとは
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五島灘戻りつつある作業船海の中にて義兄(あに)の死を知る
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死を知れど港に着ける夕刻はまだ長くして大阪は遠し
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佐世保から福江大阪一日(ひとひ)にて辿れる旅も今はすべ無し
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若くして逝けるものあり早くにぞ職を辞めて楽しみてあり
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休みの日あるべきはずのメールは無くて独り気を揉み歌をば詠める
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埋め草の歌を作らん気はなけど心にかかる五百の歌ぞ
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屋根越しに白き姿で見下ろすは病院上の聖マリア像
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爽やかな風を入れてはうとうとす厚き布団の心地よきかな
4.30
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冴え渡る夜の魔法か沖を行く船のエンジン真近で響く
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眠れじの夜に想ひは浮かべどもまとまりつかず歌には出来ず
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屋根裏に住み着きたりし猫ありて日毎人との知恵比べかな
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投稿のジュニア欄にて教えおる子供の名をば見つくは楽し
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長きとき陸に揚がりしみゆき丸今日は波間に揺らいでいたり
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木々醸す強き匂ひを嗅ぎながら海辺道から森へと入る
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処々におきなとおうな見受けたり海山の幸採りて戻るらん
 - 
バイクにて親子の犬を連れ来たり道に放てる女がいたり
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うすぐもる空に晴れ間は見えずともさやけき風に汗流る季節
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むらぎもの心に浮ぶよしな事いつの頃よりか忘れて歩く
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せせらぎのいつにもまして涼しげに響く橋ある戸岐之首かな
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麦の穂の高くなりたる森の端の畑道にはアザミが迎ゆ
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あちこちで土の流れし痕残る曲がりくねりし山道歩く
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草いきれ生命あふるる新緑の匂いを嗅ぎつ虻を払ゑる
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野辺に咲く白百合の花寂しげに群れることなく誰にも知られず
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名を知らぬ広葉樹の黄色き葉目立ちて落ちる島の晩春
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ひと月に五百の歌を詠み終わり拙くあれど心充ちたり
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思わざる数の歌詠みなしたればしまし休みて泉を貯めん
 
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