いわつつじ2004-I



最終訂正日04年2月29日






    2004.1.17



  1. カルタ取り体育館で子供らと楽しみおりし姿浮かびぬ (S)

  2. 様々に工夫凝らせし絵と文字で四十六なるカルタできたり (W)

  3. 真剣に子どもに負けじと走りける体育館でのカルタ大会 (W)



    1.20



    即題詠 「祭り」

  4. お神輿を軽トラ乗せて運びおる交通多き地区祭りかな(S)

  5. 少女らが薄き紅ひき大声で神輿担げる富江の社(やしろ)(S)

  6. 肌寒き夜空を照らす花火にて終わりを告げる福江の祭り(S)

  7. 幟持ち友と一緒に町中(まちなか)を練り歩きたるかすかな祭り(S)

  8. 幼き日楽しき祭り待ちわびし想い出遠く今はなつかし(S)

  9. 旧暦の桃の節句に馳走持ち走りまわりぬ只狩の山(S)

  10. 豊作を祝う祭りに子供らは家々を歩き菓子など食べて(S)

  11. 陸奥(みちのく)の祭りが根付き年々にネブタ増え行き街をば走る(S)

  12. その昔不思議に思ひし祭りの残りてあるも廃れつつあり(S)

  13. 長月の寝待月をば浜辺にて待ちし人々何を語らん(S)

  14. スカートをはかぬ娘も浴衣など着たしと言へる夏祭りかな  (W)

  15. 山国の子等は喜ぶ海に映ゆ雨の祭の水上花火  (W)

  16. 秋祭り廃れて今は餅撒きとくじ引きをして人を集める (W)

  17. 綱引きと丸太船漕ぐ海の上祭りの余興は濡れし我等や (W)

  18. 夏休み祭りで探す好きな人暗き夜にも輝きて見ゆ (W)



    1.21



  19. いつの間に景色変へたる雪模様暦通りの大寒なりし (W)

  20. 夕べよりわが街にても雪降りて屋根には白き覆いかぶりぬ (S)

  21. 寒風と雪が舞いける夜にてもフェリーの汽笛いつもに変わらず (S)

  22. 雪だるま雪合戦と図画工作今日の授業は雪の日仕様 (S)

  23. 雪解けの道は埃を巻き上げぬチェーンの音も騒々しきかな (S)

  24. 山道をシャーベットの雪踏みて越ゆハンドル握る手に力込め (S)



    1.24



    題詠 「涙」

  25. 古の涙川には及ばねど恋に流すは現代(いま)も同じか (W)

  26. 映画観て感動極まりひとり泣く涙止まらぬ少女なりし日 (W)

  27. 涙川流せし人は今いずこ袖も濡らさで涙こらゆや (S)

  28. 泣きたくて涙の出ざる悲しさよ独りにてあれ耐えよと言うか (S)

  29. 映画見て涙の滲む時ありてそのまましおき余韻楽しむ (S)

  30. 緊張の時に涙を流したる乙女のいたり看護師になる (S)



    2.1



    合わせ歌から・・・10首

  31. 上ありて下を作れる合わせ歌ときに思わぬ中身となりて (S)

  32. 上ありて下を作れる合わせ歌互いの歌を並べてをかし  (W)

  33. 上を作る時には何も思わずに下で苦しむ我が題の歌 (S)

  34. 上を作る時には何も思わずに続く下の句難しくあり  (W)

  35. 潮引きて岩場に残る牡蠣の殻打ちたる人の上手さを語る (W)

  36. 潮引きて岩場に残る牡蠣の殻貝を拾える指を傷つく(S)

  37. 大雪の降りし今年の冬なれば雪国に住む苦労しのばる (W)

  38. 大雪の降りし今年の冬なれば外に出られぬ集落ありて(S)

  39. 風を切り我も走ってみたくなるマラソン中継見ておりし午後  (W)

  40. 風を切り我も走ってみたくなるすべてを忘れ己を信じ(S)



    2.3



    即題詠「島」

  41. 若者の島を離れる日は近く教習所も賑わいをみす (S)

  42. 島の道ますぐに広くなりたれど住める人々少なくなりつ (S)

  43. 展望台遠くに見える小島あり望遠鏡で家々間近 (S)

  44. 島に住む我に教える汽笛音遠くに聞こゆエンジンもあり (S)

  45. 我歩く島のコースは八キロも人影見ざる時もありたる (S)

  46. 海原に白き波路を残しつつ島々を縫ひ船は行くなり(W)

  47. 島影を海に落して日は沈み色づきたる雲名残り惜しみつ (W)

  48. 名も知らぬ島にかつては人の棲み日々の暮しぞありける(W)

  49. 島のある入り江のみ知る我なれば影なき海はあまりに遠し (W)

  50. 筆執りて夕陽に映ゆる海と島描いてみたし絵心あらば (W)



    2.8



    題詠 「投稿」

  51. 投稿の歌の片隅載りたれば妹からの電話がかかる  (S)

  52. すさまじき己を詠う選者詠生きる証を歌に託せし  (S)

  53. 投稿の歌にまさりて気になるはときを経て出すメルマガのこと  (S)

  54. 横書きの画面と違ふ新聞に載りたる歌は直立不動 (W)



    2.9



    題詠「母」

  55. 死の淵覗き見たりし母なれど冬の最中も健やかなりし (S)

  56. 気付かざるうちになりたる人の母ふと振り返り後悔多し(W)

  57. 家庭もち母親同士の会話する我が子と孫の立場違えど(W)

  58. 親雉は傷つくふりして跳び回り雛を逃がしぬ母の本能(W)

  59. 鐘の音に切なさ募る叫び声彼の求めし「Mother」は何処(W)

  60. いつの日か母にぞならむ娘かな孫を抱く身は想像できず(W)



    2.14



    題詠「メルマガ」

  61. メルマガは顔を現しようやくにわがホームページにリンク貼りたる(S)

  62. ワード使ひメルマガUPす今までの苦労は嘘か即座に出来る (S)

  63. メルマガをリアルタイムで出すために矢継ぎ早にぞ発行したり (S)

  64. ホームページの更新日毎続きたるひととせ前はつゆ思わざり (S)

  65. 愛の日に君と語らふメルマガとホームページはふたりの絆 (W)

  66. 歌多き君はひとりで発行す我は次まで3回休み (W)

  67. 逢へぬ日に君は一日メルマガを編みて過ごすや空碧し (W)

  68. メルマガの購読者数ひとり増え感想聞きたし我等が歌の (W)



    2.16



    即題詠「山」

  69. 島なれど高山そびえ海を見ず命を終えし人もいたりき(S)

  70. ふるさとは山奥にあり夏にても下着一枚多く身に付く(S)

  71. 山畑は杉の林と成り果てて歩き廻りし日々は遠く(S)

  72. 七岳はその名の如く七つ峰麓に社鎮座まします(S)

  73. 鬼岳と只狩山は低きゆえ里の人にぞ親しまれつ(S)

  74. 山の端に月は上りて冴え冴えと空を照らせり薄き雲間に (W)

  75. 西に棲む我にはあれど島の見へ夕陽は常に山を染むなり(W)

  76. 山ひとつ越ゆれば僅かに時戻り明るくなりぬ夕暮れの道(W)

  77. 山肌を黒く焦がして枯草は焼かれ新芽の季節を待てり(W)

  78. 山深く住まひておりし猪は里近くなり人を悩ます(W)

  79. 山道といへども慣れた道の横猪(しし)は現れ茂みに消えゐる(W)



    2月17日



    即題詠「図書館}

  80. 図書館と資料館とが立ち並ぶ木立の中に社ぞありぬ (S)

  81. 図書館でゆくりとせずに新刊をその場で借りる癖のみありて (S)

  82. 借りる本無くて廻れど見つけしも読まずにありて返すこと数多 (S)

  83. 歌を詠み歌集を探す図書館に読みたき本は見つからざりき (S)

  84. 本を読む快楽(けらく)は知れど歌詠みの時ぞ詰まりて図書館忘る (S)

  85. ホームページにひとり作りしリンク集幻なれど我が図書館なり (S)

  86. 一冊の本を選ぶは難けれど詠みたる歌を編む楽しさよ (S)

  87. 古本を探す喜び忘れ去り読まざる本に囲まれてゐる(S)

  88. その昔出版元で買い求む復刻本は読まれずありて(S)

  89. 長き時求めし本の原作をネットで見つけて読みしことあり(S)

  90. 本棚の飾りでありし古典歌集思ひがけずに宝となりぬ(S)

  91. 本読みて感想を書くこと絶えてMLは寂びし(S)

  92. 濫読の癖は止みたり願わくは深き世界を求めたきかな(S)

  93. 紙の本無くて生きれる世となるや読まずにありて過ごす日々あり(S)

  94. 書捨てよと云ひし人のありたりき時に真白の世界を知りたし(S)

  95. 町外の図書館通ひこののちに合併すれば大手を振りて (W)

  96. 漠然と通ふ図書館暇つぶし絵本眺めて癒されしとき (W)

  97. 貸す側に居りたる三歳(みとせ)様々に紹介すれど読まざりし本 (W)

  98. PCで本の読めると知らざりし我に楽しみ教えしも君 (W)

  99. 上下刊揃わず借りる時逃がし忘れられたる本も多々あり (W)



    2月23日



    即題詠「窓」

  100. 仕事場の窓から見える青空はビルが妨げ広くは無かり (S)

  101. 窓の外屋根の向こうに停泊すフェリーの汽笛出港を告ぐ (S)

  102. 寝苦しき真夏の夜も窓明けて寒さを感じ明け方閉めぬ (S)

  103. 島に住む我の世界の窓となるネットを今日もつなぎて遊ぶ (S)

  104. その昔窓辺にありし大木を眺めて過ごす図書館のとき (S)

  105. 退屈な昼下がりには窓の下行きかう人を眺めて飽きず (S)

  106. 窓枠を額縁として切り取りて部屋に掲げぬ冬の夜空を (W)

  107. 露つきて曇りしガラス何枚も絵を描く子あり窓は画用紙 (W)

  108. 窓越しに帰る人追う放課後にいつか一緒に帰る夢みて (W)

  109. 音のなき朝になりて窓を開け寒さ忘るる雪景色かな (W)



    2月24日



  110. ためらひて後によふやく船出する我がメルマガに幸あれぞかし(S)

  111. 君の編むメルマガ届く我の元想ひの端を少し覗かむ(W)





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