ネタニヤフにチャンスはあるのか。(1/19)


*Down and maybe out
Netanyahu's survival plan includes a role for Clinton

ネタニヤフをとりまく状況は益々厳しくなってきた。しかしもしかしたら、ま たも彼はこの苦境を乗り切るかもしれない。

外相が辞任して、彼の政権基盤は益々危うくなっている。議会での議席差はわ ずか1。クネセットの120の議席のうち、与党は61。しかも連立を組む与党内部 は政策の違いがかなりある。宗教政党は西岸からイスラエルが撤退すれば、協 力しないというし、自由主義的な政党は撤退しなければ支持しないと脅す。こ れではネタニヤフの政権の命運ももはやこれまでのように見える。

しかしどうもそうはならないらしい。少なくとも今すぐ彼が政権を投げ出すこ とにはならないらしい。ヨルダン国王も、アラファトもネタニヤフが政権を保 持するという前提で、動いている。

不思議といえば不思議。リクード連立政権内部であと2・3人の反乱が起きれ ば、不信任案が可決され、総選挙になる。そうなれば現在の予想は圧倒的に、 労働党に有利。49%対36%ということです。しかしそのようにはならないらし い。ネタニヤフ自身の言葉では、「だれもが、計算をしている。Everyone is doing the math. しかしそれでどうなる?この政府とこの連立政権と、この首 相は計算通りにはいかない」と、相手にもしないようです。

彼の作戦は、穏健派と強硬派の中を上手に泳ぎ回り、西岸についての決定を出 来る限り延ばすことのようです。来月クリントンを訪ねるようですが、クリン トンが11%から14%の領土からの撤退を持ち求めるのに対して、連立政権の基盤 の弱さを理由に6%から8%の方針を伝えるようです。さらに国内向けにはこのク リントンとの会談を利用しようというつもりらしい。穏健派のThird Way Partyが4人、強硬派のthe Land of Israel Frontが17人の国会議員を抱えてい るようですから、どちらもうまく取り込みつつ、政策を遂行しなくてはいけな いのでしょう。益々老獪になってきましたが、これでは画期的な政策転換は無 理ですね。

一部撤退を発表してまず穏健派をなだめる。しかしテロが無くならない限り は、撤退できないという条件をつけて、事実上撤退しないことで強硬派を引き つける。さらに西岸問題とは別に、改革・保守派のラビによるユダヤへ教への 改宗させる権限の議論の委員会報告が今月末に出るようです。結果次第では、 10人の国会議員を有する宗教政党Shas Partyが政権離脱するかもしれない。こ う見てくると、ネタニヤフが政権の座についているのは奇跡としかいいようが ない。まあ彼は自分が政権を失えば、労働党が政権につくぞといっているよう ですし、事実その通りでしょうが、この一点だけで連立与党はまとまっている のかもしれません。このへんが彼の悪運が強いところのようです。 (^^;

さらに駆け引きも上手なようで、どうしようもなくなったら11月に総選挙を行 う手もあるようです。リクード内部で彼のライバルであるのがいずれもテルア ビブとエルサレムの市長のようですが、この両市とも11月に選挙がある。だか ら彼らが首相の座を狙おうとすれば、市長職をあきらめなくてはいけない。今 の状況では、リクード内部で大きな反対にはなれないのかもしれません。

労働党の比較では、ネタニヤフは自分が国際的圧力にも耐えうる実務家である ことを強調しているようです。だからアラファトとも話し合えるというわけで すが、現状維持のままをなだめすかしながら維持していくようでは、アメリカ の幻滅とパレスチナ人のいらいらは増すばかりでしょう。

多くの政治的綱渡りを演じてきたネタニヤフを評して、地元紙の中には「魔術 師」と呼んでいるのもあるとか。しかしかれ自身によれば、単なる生き残り survivorではなく、「勝利者」winnerだということです。しぶといですね。  (^^; 



感想はこちらに・・・YHJ00031@niftyserve.or.jp
Internetの場合は・・・ohto@pluto.dti.ne.jp



ホームページに戻る 

US Newsのホームページに戻る