ブラウザー戦争とネットスケープ(98/1/19)


* The browser wars take a toll on Netscape

日本の公正取引委員会も、独禁法違反の疑いでマイクロソフトの調査に踏み切 りましたが、ますます強くなるマイクロソフトの前にはあまり影響はないのか もしれません。今回はマイクロソフトの無料配布とWindowsとの抱き合わせの 政策によって、追いつめられてきたNetscapeの話です。

ネットスケープが1997年全期及び第四四半期での損失を発表したとき、当然の 結果が訪れたと言うべきなのだろうか。同社の株価は暴落し、乗っ取りの噂さ え飛び交っている。

しかしNetscapeの死亡記事を書くのはまだ早すぎる。手元資金は豊富だし、そ の製品への信頼も厚い。その大敵マイクロソフトへの司法省の訴訟は、同社に 短い休息を与えてくれるかもしれない。だが将来が深刻なことに変わりはな い。

NetscapeはNavigateで、最初に閲覧ソフト市場の種をまき、一時は最大87%の シェアを持っていた。それからマイクロソフトが、Internet Explorerを無料 で配布したばかりでなく、コンピューターメーカーに対して、Windows 95をイ ンストールするときには同ソフトをもインストールするように要求した。その 結果、IEのシェアは1996年4月の4%から、現在の40%まで拡大した。今Netscape は、競争のためにNavigatorを搭載してくれるコンピューターメーカーにわず かばかりの、契約料しか請求していないが、これをさらにゼロにしようとして いる。

Netscapeの最初のねらいはブラウザー・ソフトで利益を得ることではなかっ た。剃刀メーカーが剃刀の刃で利益を得るように、NetscapeはWeb上での利益 拡大にブラウザーを利用して、"server"ソフトウェアをWeb content(?)とサー ビス会社に売ることで利益をあげることにあった。

しかしNetscapeの価格政策は、この分野でも、マイクロソフトから圧迫を受け て来た。同じようなソフトをWindows NT OSとバンドルしてくるか、無料で提 供してきたからである。マイクロソフトにはその余裕があるが、Netscapeには ない。「これを競争という人もいるが、その結果技術革新が阻害されている」   多くの会社が、同じようにして淘汰された。消滅した会社に技術革新は出 来ない。

Netscapeの経験は次のことを教えてくれる。どんな技術力のある会社も、マイ クロソフトが豊富な資金とその市場支配力で乗り込んできたとき、事業展開が 出来なくなると言うことだ。あるシリコンバレーの事業を開始した会社創業者 は、どうしたら金持ちになるかと問われ、次のように答えた。「株式を公開す ることでか。違う。マイクロソフトに買収されることでだ」彼はこれを笑いな がら言ったかもしれないが、彼はジョークを言っているわけではないのだ。

剣によって生きるものは剣によって死ぬ。少なくとも深傷を負う。Live by the sword, die by the sword--or at least suffer some nasty cuts. この 言葉で記事は始まっています。Netscapeの現状を表しているものとして紹介さ れているようですが、しかしこの言葉はいつの日にか、マイクロソフトに、は ねかえらないとは限らない。ガリバーは、競争者をすべて打ち倒し、自分しか いなくなった世界で、真の王者足りうるのだろうか。



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