自殺幇助法案の行方( 11/10)


US News 11/10の記事からです。

* In Oregon, a political campaign to die for
Assisted suicide fight turns ugly

安楽死・自殺幇助認めるかどうかの議論については、ここでも大分前に何回か 話題にしてきましたが、いよいよオレゴン州で安楽死を認めている法律の廃案 を求める住民投票が今週実施されるようです。しかし人間の倫理にとって重要 な問題を政治的に解決するのがふさわしいかどうかは別として、ここ数週間の 運動はかなりの泥仕合的様相を呈しているようです。

Measure 51として提出されたこの住民投票は、世界で最初の医者による自殺幇 助を認める法案Measure 16の廃案を狙ったもの。最高裁はこうした問題に対し て、各州独自の権限を与える判決を今年の夏下しましたから、この住民投票の 結果はかなり大きな意味を持ってくる。オレゴンでMeasure 16の廃案が決まれ ば、アメリカでも当分はこうした動きは出ないかもしれませんから。

仕方がないことかもしれませんが、両陣営ともかなり感情むき出しという感じ ですね。第51号法案賛成論者、つまり安楽死反対論者たちのTVコマーシャル は、健康な若者を登場させて、彼が今にも誤診の結果、苦しみながら自殺す る(あるいは彼らによれば殺される?)というイメージを与えているです。さら に10代の自殺も増えるようなことをあおっている。

これに対して51号法案反対派、つまり安楽死賛成論者はローマカトリック教会 の役割を批判しているようです。16号廃案のために、全国で230万ドルもの資 金を集めたことなどをさしているようです。カトリック・バッシングの非難も 出ているようですが、このへんはカトリック教会のアメリカでの立場を反映し ているのかもしれません。プロテスタントの国、アメリカでカトリックは保守 的というイメージは強いのでしょうか。

しかし戦術的には安楽死容認派の方が上手というか、ずるいというか、かなり 奇妙なコマーシャルを流していますね。16号法に反対な人は、51号法案に賛成 なわけですが、彼らの広告とほぼ同じ広告を容認派が流していて混乱に拍車が かかっている。つまり安楽死反対派は16という数字の外側を赤い○で囲み、そ の中に線を引いているわけです。16, No.というわけですし、そのキャッチフ レーズはfatally flawed致命的欠陥というわけです。ところが容認派は、 fatally flawedの言葉も、デザインもそのまま採用して、数字だけ、51に変え てしまった。これでは、混乱する人が出てきても仕方がない。25%もの人々が 混乱してしまって反対の意思表示をいかねないということです。これはオレゴ ン州の政治で、もっとも賢い作戦だとか。  (^^;

こうした人権の一番重要なところが、単なる政争の道具になっている感じで す。来週には、この結果が分かるでしょう。



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